Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「リヴァイアサン」

 寝すぎて食べ過ぎな正月も2日目。なんでか積読本がいっぱいあるのに急に、唐突に大塚英志リヴァイアサン」のノベライズが読みたくなったので読み直している。
 「このラノベがすごい」大賞が締め切りも近いのに書き始めてはなんだかなあって感じで、頭に浮かんだ話のディテールがもう少し浮かばなかったのでたぶん僕が書きたいのに近いのが「リヴァイアサン」的な世界観だったからだと思う。


 タイトルの「リヴァイアサン」はヨブ記に登場する、終末を告げる獣の名前。光に近いモノ達は、世界の終わりを受け入れない妄想の東京を消滅させるために、三溝耕平を終末を告げる獣・リヴァイアサン として蘇らせて東京に送り込もうとした。しかし、友愛のゲルゲの裏切りによって、三溝耕平は不完全体のまま逃げ出してしまう。そのため第二、第三のリヴァイアサンが東京に送り込まれることとなる。
 という設定であり、この「リヴァイアサン」は同じく大塚英志作「摩陀羅 天使篇」(絶版)における二天童児の青の戦士ギルガメッシュでもある夏凰翔(カオス)の転生したカオス・リヴァイアサンの名前の一部にも使われた。


 カオス・リヴァイアサンは三巻での関東大震災で何度も焼かれながらも再生し自らを神として、という辺りまでが描かれた。ある意味では終末を告げる獣としての神だったのかもしれないが続編は描かれていないのでどうなったのかは知らない。


 僕のラノベという感じは一般的なラノベというものをほぼ読んでいなくて、大塚英志氏が自らの作品をノベライズしたものが僕の中でのラノベなので現実世界のリンクがあって当然だという意識がある。


 「摩陀羅 天使篇」のその後に「摩陀羅」を終わらすために「僕らの時代を終わらすために」と帯に書かれた「摩陀羅 ミレニアム」は角川から徳間書店に移りタイトルも代わり「僕は天使の羽を踏まない」として僕らのライナスの毛布だった「摩陀羅」は作者によって終わらされた。


 その大塚英志「僕は天使の羽根を踏まない」文庫版あとがきには


 少し前、物語の中途で現実を突きつける類の小説が嫌いだ、と、ある優れたノベルズ作家が書いているだか発言したらしい、と誰かのコラムで読んだ記憶がある。ああ、それは例えばぼくの書いてきた小説のようなものを指すのだろう、と思った。作者は読者が小説のページを開いている間は読者が現実ではない世界を生きる権利を保証すべきだ、というのが多分、その作家の考えるプロとしての作家なのだ、と思う。それはそれで正しい。しかし、ぼくは中途でしばしば物語ることを放棄するし、読者に小説の外側の世界をいつも突きつけようとする。なるほど、しばしの間、夢を見ていた読者にとってぼくは迷惑で無責任な小説家なのだろうが、しかし、ぼくにとって小説は夢を見せるためではなく、醒めさせることのためにある。
 それは小説だけではなく、まんがや批評めいた文章や、あるいは大学の教壇で授業をすることを含めて、ぼくの表現はすべからく、夢を見せるためではなく、夢から醒めさせるためにある、と言える。

 
 とあり、僕はこの「表現はすべからく、夢を見せるためではなく、夢から醒めさせるためにある」という部分に共感するというかそうなりたいと読んでずっと思っている。僕自身が夢から醒めないとそれは不可能なのだろうが。


 「リヴァイアサン」は昭和が終わっていない設定であり、これも「天使篇」と共通している。移民を受け入れた東京など書かれた当時から大塚氏がそのうち起こりうるだろう現実問題をラノベと言う形で読者に示す、あるいは現実の可能性として叩き付ける。


 残り日数は少ないが一気に書き上げようと思う。夢から醒めるようなラノベを。なんだか今脳裏にある物語は僕のためのものだろう、だから書く事に意味があるんだと思う。


 ブログは今年も毎日書いていく。新年一発目のランニングをしてきた。バイトから帰って走って、ブログ書いて寝て起きて小説書いてでバイト行ってみたいなローテーションのようなことを毎日できるだけ続けていこう。なんかそういう感じ。


 走った時はいつも通り「文化系トークラジオ Life」の「大忘年会09」のPart5と「タマフル」の放課後Podcastを聴きながら。一月寒い、風が痛いんだよなあ、でも走り続けていく事と書いていく事は両立させたい。長距離を走れるような体力が欲しい、長編を書き続ける持続力も鍛えたい。
 「健全な肉体に宿る狂気」のためには健全な肉体作り、村上春樹さんを古川日出男さんがインタビューした「モンキービジネス」で出てきた言葉。小説家に必要なのは「健全な肉体に宿る狂気」だと。
 大事なのは持続していくこと、そこに孕まれる可能性。とりあえず、正月モードはすでに終わった。だからもう動き出すだけ。


 水道橋博士ツイッターでつぶやいてくれた日に普段の四倍のアクセスがあったのだが、博士のブログ「博士の悪道日記」の12月26日のとこで「愛のむきだし」について書かれていてそこで「イベントで園さんと宮台さんの対談ら。」というとこから僕のブログにリンクしていてそれでけっこう来る人が多い。博士の影響力というか著名人の人の発言力やそういうものってすごいなってつくづく思うのです。

リヴァイアサン (電撃文庫)

リヴァイアサン (電撃文庫)

僕は天使の羽根を踏まない (徳間デュアル文庫)

僕は天使の羽根を踏まない (徳間デュアル文庫)