Spiral Fiction Note’s diary

ライター&Webサイト編集スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「BOOKSTAND」で「月刊予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『スリー・ビリボード』

 1月25日、アップリンクで見逃した映画特集で2017年に劇場で見逃した『ありがとう、トニ・エルドマン』を観る。ハリウッドでリメイクすることも決まっている。父と娘の物語。娘が心配すぎる父は「トニ・エルドマン」と名乗り彼女の近くに神出鬼没に現れる。いつまでたっても親子だし、心配だし、好きだけど嫌いでもある血の繋がり。多くの人が絶賛したのはわかる。人間ってものが愛おしく思える。親に対しての思いも自分の中に観終わった時に出てくるんだけど、結婚もしてないし、子供いない自分としては子供がいるってことにちょっと憧れも出てきたり。優しい作品でした。



 1月28日、同じくアップリンクで去年11月に公開されていた『ノクターナル・アニマルズ』を鑑賞。まあ、大好きなやつでした。もうすぐ公開の『聖なる鹿殺し』も温度とか似てる、純文学的というか。すばるか新潮新人賞にありそうな感じなんだよね。トム・フォードが監督だからなんだろうけど、主人公が住んでる豪邸や調度品がたぶんマジなんだろうな、こういう暮らしを知ってる人なんだろうなと思うマジのセレブ感。日本の作品でセレブみたいな感じを出すときは、だいたいみんな金持ちと付き合いがないからイメージのセレブでしかないんだよなあ。ものすごく画もキレイだし、同時に小説の中の出来事の野蛮さの対比、過去と現在と、元彼が送ってきた小説の中の世界が交互に描かれて行く。本当に素晴らしい作品だと思う。年末に出た『フリースタイル』で小説家の樋口毅宏さんがこの作品に書いているのだけど、これはやっぱり絶賛するよ。



http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

 『第九地区』『宇宙人ポール』が公開したその年のマイベストだったんで、この『シェイプ・オブ・ウォーター』はすごく突き刺さりそうな予感がしてすごく気になっている。『第九地区』『宇宙人ポール』も宇宙人が最後には宇宙に帰っていく話ではあるんだけど、宇宙人がもちろん一つはメタファーとして、地球と宇宙の関係性、外部と内側、差別と正義みたいなものを作品に内包してるものに惹かれやすいのかなって思う。
 この作品は宇宙人っていうよりはホモ・アクエリアス岩井俊二監督の小説『ウォーレスの人形』に出て来たやつ。この小説はすべての岩井作品の中で僕は一番好き。自分の好きな小説でもベストに入ってくる)みたいな感じなのかな。



 今日は雪の中、朝一でTOHOシネマズ渋谷にて『スリー・ビリボード』を鑑賞。解決されない娘の死、母は三枚の広告看板を出すところから動き出す物語。この作品と相撲協会の昨今の貴乃花親方の行動に通じるものがあるんじゃないかなあ、と観ながら思ったりした。すい臓がんで末期の警察署長と暴力的な警察官、娘を失った母の強い思い、田舎町で誰もが知っている中で娘がレイプされ焼死体となった事件は未解決のまま、そのことに関しては同情をしていたが、広告看板に事件についてのことを載せて、署長に事件はどうなってるの?と問いかけたことで町中から彼女への当たりは強くなる。村社会と停滞したものを動かせるために誰かが動けば叩いてくる人間たち、もう、本当に社会という群れの中にいるということはいつでもこういうことに巻き込まれるし、巻き込まれている。自分はその時、何を思ってどう動くのか、誰かの顔色を気にしてしまうのか。非常に素晴らしい、訴えかけてくる作品。