Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『5つ数えれば君の夢』


監督脚本編集・山戸結希
出演・山邊未夢/さく、新井ひとみ/斎藤りこ、庄司芽生/宇佐美彌生、小西彩乃/宮本都、中江友梨/委員長みちるほか


5人組ダンス&ボーカルグループ「東京女子流」の映画初主演作となる青春劇。文化祭を間近に控えた女子校を舞台に、少女たちのきらめきと葛藤を、5人が演じる少女それぞれにスポットを当て、叙情的に描き出した。監督・脚本は、学生時代に手がけた「あの娘が海辺で踊ってる」が第24回東京学生映画祭で審査員特別賞を受賞し、劇場公開もされて高い評価を受けた新鋭・山戸結希。(映画.comより)


 シネマライズの18時半からの回を鑑賞。正直なことをいうと山戸さんがこの作品をやるというまで東京女子流の名前を何となく知らなかったので主役の五人というか彼女たちにたいしてとくに思い入れもなく、十代の若い女の子、初々しいなというぐらいの感じだった。  
 山戸さんも元々CINRAとかで名前とかは見てたけど作品は観た事なかったんだけどワタリウム美術館のオンサンデーズで『すべ日』展の西島大介×山戸結希トークイベントで山戸さんの映画や寸劇を初めて観た。
 山戸さんと西島さんのやりとりとその指向性と他動性に批評的視点は近いんだなあと感じた。
 山戸結希さんは少し前に話してた事が現在話している事と同時並行的に考えて、その前の事について話す、一瞬話が飛ぶような気はするがそこは感覚的に繋がっている感じで西島さんはそれをどっしりと構えて聞いて自分の場合を話。なんか普段刺激されない脳の部分がジリジリとした。


 この映画公開にあわせていろんなインタビューを受けられていたみたいでクイックジャパンの山戸結希監督のインタビューをば読んだり。

 『switch』の山戸さんインタビュー読んだら小六とかで『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』に影響されたって、上の世代に俺らが本当の岩井俊二世代って言われるらしい。それは三十代中頃より上の人だろうなと思った。岩井俊二に影響を受けているのは確かに僕よりも上なんだろうが今作を観て彼女が受けているというのはなんとなくわかった。






 鑑賞して山戸さんが岩井俊二さんに影響受けてるとインタビューで言ってたのは観てて感じるところはあった。キレイな画とか音楽とか、バレエっていうかコンテンポラリーダンスだっけあの娘の踊りとか『花とアリス』を彷彿させるものはあるけどなんだろう光の感じが近しいのかな、と。
 台詞はところどころポエムというか詩的なものが入って来たりしていて女子高生たちの世界の中にそれが入ってくるから物語の輪郭が急にフワッという感じになったりして、なんだろう、少女漫画的な部分があるのかな。岩井さんも少女漫画の影響を受けていたはずだけどそういう系譜にあるのかな。
 観ていて全体的に白昼夢な感じがあって、輪郭バシッてのとフワフワしてるのが同居してる。わからなさが時折、このつかめなさは最後のモノローグみたい。掴もうとすると舞い逃げる。


 山戸さんがめっちゃファンタジーとか現実から半歩ズレた世界を撮ったらどうなるんだろう。やっぱりとんでもない人なんだなあ、どこか懐かしくどこか新しいものを感じた。


『ああ素晴らしき音楽祭』奇妙礼太郎 "天王寺ガール"


窪美澄さんのツイートより↓
・3.11からの日々を私が忘れないために書きました。『アニバーサリー』という作品です。読んでいただけたら、うれしいです。
・こんな日まで宣伝? そうです! 死ぬ思いで書いたから。私はなんでもすぐに忘れてしまうからです。あんな日々だったね、と、いつか笑いながら話したい。
・三年前のあの日、この時間、依頼のあった官能小説の、冒頭の濡れ場を、脂汗を流しながら書いていた。三年後も脂汗を流して小説を書いているとは‥‥。
・今、生きていてよかったと心から思っている。そう思うことが、亡くなったかたにできる、たったひとつのことだと思うのは、傲慢なことだろうか?


 本当に誠実な人だと思う。僕はそれを受けてツイートした↓
・窪さんの『アニバーサリー』は読んでて3月11日を忘れないためにすぐに風化した95年や近過去について書こうとしているのがわかってすごいなって思ったのをよく覚えてる。でも、それともうひとつ『晴天の迷いクジラ』が僕は今文庫化とかしてもっと読まれたらいいなって思っている。
・三年経っていろんなそれぞれに想いがあって、逃げ出したい気持ちになる人だっているはずで、『晴天の迷いクジラ』はある意味では生きるために逃げた人たちの物語。何かを放棄して自分の場所から逃避する、そうでもしなければ死んでしまう時に僕は逃げるしかないと思うから。
・『晴天の迷いクジラ』は岡田惠和脚本『夢のカリフォルニア』同様に好きなんだけど、逃げた責任はいずれ取らねばならないことはしっかり描かれている。生きていく中でそれを背負うし償えないかもしれないけどその事は心にずっと残しながら進んでいく。生きるために時々フェイドアウトする時もある。
・でも、そういう作品は一回見たり読んだりした後二度目をって感じにはすぐにならない。その時はかなりの状態に陥ってると思う。ちょっとライナスの毛布というか、いやそれは違うな。ライ麦畑のキャッチャーのように。


 あの日から三年経った。いろんなものは当然変わっていて、変わらなければいけないものは逆に停滞していたりしてみんな何かに怒っている。だけどその怒りは原発反対デモもなにかに回収されるようにいつしか忘れられてしまうように。あまりにも大きな社会というシステムの中で僕らは生きていてそれを変えるにもあの大惨事があってもさほどそのシステムは変える事は難しいんだと思うけど、だけど終わっているものをただ延命させる意味はやっぱりなくて震災前に戻してもダメなものをいかに今の時代、いや未来に向かって新しくできるかということなんだろう。システムというものは厄介だなと思うこの三年だったりはする。

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すべてがちょっとずつ優しい世界

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アニバーサリー

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晴天の迷いクジラ

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モダンタイムス(上) (講談社文庫)

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モダンタイムス(下) (講談社文庫)

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