Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『散歩する侵略者』


 黒沢清監督『散歩する侵略者』 をば。黒沢作品は『回路』から劇場で観始めたから、わりと観てる監督だよね。長澤まさみってこんなにも小泉今日子に似てたっけと思いながら映画を観ていた。作品自体は黒沢監督がずっと描いてきたどこか日常が壊れていくような、何か得体の知れないものが入り込んできてしまう感じがあった。「概念」を奪う侵略者たち、記憶を失って帰ってきた松田龍平は妻の長澤まさみをガイドにして地球のことを知っていく。彼はもう宇宙人≒侵略者であり、妻は彼と一緒に行動をしていく。長谷川博己演じるジャーナリストも二人の侵略者のガイドとして、徐々に侵略されていく世界において茹でガエルのように死ぬ寸前になって気付いた時にはもう遅い、と言われているみたいな内容。戦争であれなんであれ気がついたら全てのお膳立てはされていてもう後戻りできない。世界は一気にひっくり返らない、準備された事柄がゆっくりと一枚ずつオセロが裏返っていくように。