Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『いい方に』


 『水道橋博士のメルマ旬報』vol.81配信されました。連載「碇のむきだし」は小説『浮かぶように、日々』phase5です。挿画イラストは漫画家の西島大介さん。あれから五年経ちました、その事に関わる内容になってます。





 いただいた図書カードでスティーヴ・エリクソン『ゼロヴィル』を。今日は『あるいは修羅の十億年』単行本を読む。2026年の「島」やフランスやメキシコや東京から屹立する物語を。今日だからこそ読み始めるという僕なりの。分厚い本はいいね。



環ROY / そうそうきょく

忘れてしまうことも多いのだけど、それでも忘れないで、軽やかに日々を過ごしてく。



『いい方に』
空が白と黒にわかれていたのを見た
大きな揺れが起こって
近くの高いビルがグルングルンと回るように揺れていたのを見た
目に見えないものへの恐怖とか
平凡な日常は変化した
街の灯りは落とされて暗がりが増えた
日々が過ぎていろんなものを忘れていく
忘れてはいけないことも忘れてしまう
それでも忘却してはならないこと
あの日、心細くてやっと会えた大事な人を
抱きしめた温もりはとうにないけど
いつだってこの日が来れば思い出す
平凡な日常になっているような錯覚
あの日があって変わらなかったことも
苛立ちも続いている
温もりはいつか失われる
大事な人は急に奪われるかもしれない
だから、いつも少しぐらいの余裕を持って
大切な人たちに優しく接すれるように
いつか終わるなんて寂しいことを言うなって
君は言うかもしれないけど
なにもかも有限なんだ
だからこそかけがえないのものなんだ
ずっと後悔し続けるし世界はいいようには変わらないかもしれない
そんな時でも微笑んで少しでもいい方に
いい方に
もっともっともっともっと