Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『雨球』

スローモーションみたいに雨があがる
一粒ずつが地面から空に戻るように
逆回転している
空に降る雨はレーザー光線みたいに真っ直ぐな軌道
雨だけが時間を遡っているのに世界の時間は進む
次第にすべての水分たちが地上から球のように浮かび上がり
どんどん集まって大きな水溜りになって宙に上っていく
やがて僕の体からも水分が溢れ出て
地上からすべての生物が消えた