Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『浮かぶように、日々』


 『あるいは修羅の十億年』読了。
 『すばる』掲載時から掌編・中編・連載されたものが再構築と加筆修正されたことで、物語の輪郭がさらに尖っているのに読みやすい。
 「森」はメタファではないにしろ、『ゴッドスター』以降の古川作品にある天皇小説な部分すらある。頓挫したはずの『黒いアジアたち』の因子も溶け込んでいる。胞子となり飛んでいる、2026年の「島」と東京とフランスを。




 浅野いにお『勇者たち』は『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』に通じる世界へのアイロニーがあるなあ。




『浮かぶように、日々』
見えるかい
いや凝視できるか
いちばん遠くの音を意識できるかい
すぐそばにいる人の温もりを感じることができるかい
浮かぶように、日々がある
いや地に足をつけて生きている
たまに、ふいに、宙に浮くように
非日常っていうか物語に接続するように
浮かんでいる
君と僕はその刹那だけ浮いている
戻れない時間だ
浮かぶように、日々