Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸ノ篇』


監督/堤幸彦
エグゼクティブプロデューサ/ー濱名一哉
プロデューサー/植田博樹今井夏木
アソシエイトプロデューサー/大原真人


キャスト
戸田恵梨香/当麻紗綾、加瀬亮/瀬文焚流、竜雷太/野々村光太郎、北村一輝/吉川州、栗山千明/青池里子ほか


解説
戸田恵梨香加瀬亮が主演し、「ケイゾク」の堤幸彦が監督、「SPEC」と呼ばれる特殊能力をもった犯罪者と対決する未詳事件特別対策係=通称「未詳(ミショウ)」の特殊捜査官の活躍描いた人気シリーズ完結編2部作の前編。ニノマエとの死闘を終え、瀕死の状態で病室に担ぎ込まれた当麻と瀬文。2人の距離は縮まったようにも思えたが、世界はある人物によって破滅へと進み、やがて当麻に宿ったSPECが覚醒する。戸田、加瀬をはじめドラマ版レギュラーキャストに加え、謎の白い男セカイ役で向井理、物語の鍵を握る謎の女役で大島優子が出演。歴代のSPECホルダーも総出演する。(映画.comより)



TOHOシネマズ渋谷の朝イチの回で。客層はどうなんだろう、まあ若い感じかなあ。
歴代のSPECホルダーも総出演するって解説にあるけどそれはこの『漸ノ篇』でなく後編の『爻ノ篇』でしょうね、今作ではスペックホルダーとしての当麻はその力を使う事について葛藤しているし、使おうとするとスペックホルダーたちからお前はこっち側だあという声に苦しんで左手を拳銃で吹き飛ばそうとすらするから。


前作にあたる『天』の異能者バトルみたいなバカバカしさはないのでだいぶマシな気もするが。ギャグや小ネタが上滑りしている感じがする。
せんだみつおさんもワンシーン出てるがのちのナハナハみたいことを登場人物がするが「あれいるかなあ〜」と。
上映前に『トリック』の完結編の映画が来年一月にするみたいながあって、『SPEC』は『ケイゾク』からの流れで、『トリック』も14年のシリーズが完結するという九十年代の最後辺りに始まったこれらの堤幸彦作品が集中して終わるということに何か不思議な感じをおぼえた。



野々村さんの回とでも言っても過言ではない今作。みやびちゃんが読んでるあの手紙っていつ書いたんやと思うんだけど。





以下はネタバレというか『爻ノ篇』観ないとほぼわからない事ばかりな『漸ノ篇』って感じ。
映画は↓な堤クオリティ、しかし、あんだけ製作委員会いて誰もツッコまないのか謎だ。
前作の天よりはマシだけど。
結の後編の予告して終わったけどスタッフロールすらないとか珍しい、そのぐらい時間なかったのか。


白い男セカイはお面の男・ヒミコを兄じゃと呼んでいる。どうやら彼らはスペックホルダーらしいが先民人だっけ、まるで柳田の山人みたいな設定なのか、太古からいた人々。
大島優子演じる白い女は里子の子供であり、彼女を助ける。つまり彼女の子供として生まれたが意志自体はすでにあって彼女の胎内を借りてこの世に生まれ落ちたような話をセカイとしている。
彼女は話す時に何秒に一回ぐらいはしゃっくりみたいな感じで「ヒッ」と痙攣するような描写になるのだが、あれに意味はあるのだろうか。



このシーンあったっけ、『爻ノ篇』のシーンかな。
野々村さんが大活躍というか、スペックホルダーについてとそれらを抹殺するシンプルプランが今回の大きな要素。野々村さんは単独行動に出るのは当麻がスペックホルダーだったからでもあり仲間でもあったから。日本はセカイの兄じゃが各国の秘密結社の代表と対立しシンプルプランを進めようとする海外と対立するという大きな構図の中に巻き込まれていくが、野々村さんが電話している人は誰なのか、なぜ野々村さんがそこまでスペックホルダーやシンプルプランについて知っているのか。

セカイと白い女が高い建物の上で話している時に鴉が、東京上空を鴉が舞っている、大量のそれが。しかし、一瞬映る鴉の足は三本ある。そう八咫烏である。太陽の化身。
ファティマ第三の予言はバチカンから公表されてないとはいえ、ガイア理論とか世界の終末とかやっぱり出てくる並行世界の可能性の示唆とか、九十年代をリプレイしてるみたいだ、でも、今はあの頃よりももっとたちの悪い世界なんだけどさ。


雅ちゃんへの野々村さんの手紙どう処理すんだろと観終わって思ったよ。野々村さん殉職やん、引き継ぎ書はあったやん、でも雅が冒頭で読んでる全てが終わった後にその経緯を書いたようなあの手紙っていつ書いたの?
まさかの並行世界からの手紙、あるいは雅は並行世界にいったとか、謎が深まる〜。


北村さんの吉川のあのくだりとかかなりサムいんだが、野々村さんの最後でわりと泣けるような雰囲気にしてるけど全然泣けないんだが。
悪フザケや小ネタがやっぱり今作ではダダ滑りで、最後に意味を持たすことができれば凄いってなるンだけど。


ケイゾク』から『SPEC』に続くもの。パンフを読む限り八咫烏は『ケイゾク』最初のシーンに出てくるって植田さんが言っている。
さて、この流れどうケリをつける。
終わり損ねた九十年代を終わらせることができるか敗れ去るか、それが問題だ。


今はやはり、九十年代の呪縛としか思えない。