Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『アタック・ザ・ブロック』

 先週土曜日から公開が始まった『アタック・ザ・ブロック』をシネクイントにて昨日観賞。友人二人を誘ったら来てくれたので三人で観る。レディースデイだったので女性客が多かった。



監督・脚本: ジョー・コーニッシュ
製作: ニラ・パーク / ジェームズ・ウィルソン
製作総指揮:エドガー・ライトほか
キャスト・ジョディ・ウィッテカー、ジョン・ボイエガ、アレックス・イスマイル、フランツ・ドラメー、リーオン・ジョーンズ、サイモン・ハワード、ルーク・トレッダウェイ、ジャメイン・ハンター、ニック・フロスト




ストーリー:南ロンドンの公共団地で、不良少年たちが看護師のサム(ジョディ・ウィッテカー)を恐喝していたところ、突如、いん石の落下とともにエイリアンが出現。リーダー格のモーゼズ(ジョン・ボイエガ)らは、エイリアンを殺してしまう。すると、さらに凶暴なエイリアンが次々と飛来。団地を襲撃するエイリアンに、モーゼズは反撃を決意する。


チェック:イギリス・ロンドンの公共団地を襲撃したエイリアンと団地の不良少年たちがバトルを繰り広げるSFコメディー。『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライトが製作総指揮を務め、コメディアン出身のジョー・コーニッシュが初メガホンを取る。本作をきっかけにテレビドラマでマイク・タイソンを演じることとなったジョン・ボイエガら注目の若手俳優が出演するほか、『宇宙人ポール』などの人気俳優ニック・フロストが共演。若者たちの会話やエイリアンの造型など、ツボを押さえた笑いやこだわりが見どころ。(シネマトゥデイより)



 ↑がモーゼズ役のジョン・ボイエガだけど悪ガキって感じがよく似合う。ブロック=団地を舞台にしているんだけどこれはイギリスのロンドン郊外にあるって設定で実際には存在しない団地名を使っている。で低所得層向けの団地で悪ガキどもはそこの住人。この映画のアイデアの発端は監督のジョー・コーニッシュが実際に悪ガキ共にカツアゲというか脅されて財布とか一切合切持っていかれた事からヒントを得たらしい、転んでもただでは起きない人だ。


 イギリスの低所得層のキッズたちは貧困なブルーカラーで親が離婚していたりとか様々な問題を抱えている。まあ世界中そうなんだけど。
 今の世界のシステムは一部の富裕層はずっと富裕層で一族が続いていく。権利や金はある場所にずっとあるから。お金がなく環境が悪くて学校も行かない子供は識字率も悪く就職も難しく悪い連鎖から抜け出す事は難しい。
 どんなにマジメに這い上がろうとしても周りの環境に影響され抜け出すにしてもよほどの覚悟がないと無理だ。しかも周りの同じような連中はそういう人間を応援するとは限らない。イギリスの貧しい家庭に生まれた子供はサッカー選手かロックスターになるしか抜け出せないとオアシスのリアムが言っていたように。


 今作はカツアゲしていると目の前に隕石のようなものが車に落下してくる。その中にはエイリアンがいた。モーゼズはそれを殺してしまう。そして団地に住んでいる彼らの兄貴分のような本物のワル、ドラッグディーラーの温室にその獲物を持っていく。そしてモーゼズは彼に次にステップに行けとヤクを渡され300ポンド稼いでこいと言われる。そして彼らが住む団地近くにどんどんエイリアンたちが落下して団地を目指してくる。その辺りの伏線は見事に回収され物語をうまく展開させていく。



 ↑ペスト役のアレックスは悪ガキ軍団の中では唯一の白人だ。彼は花火だとか爆竹を持って応援する。なんだか『グーニーズ』のチャイニーズな発明博士なあの少年をなんとなく彷彿させた。白人vs黒人という対立は存在していなく。
 彼らは同じ団地に住む同じコミニティの仲間として成り立っている。彼らの問題はもはや人種差別などではなく同じく貧しい場所にいること。そこから抜け出せないそれに幼少期から向かい合わされている事が共通の痛みであり社会への怒りだ。


 製作総指揮はエドガー・ライトエドガー・ライトと言えば『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』の監督脚本で『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』は今作の監督のジョー・コーニッシュと共に脚本を手掛けている。エドガー・ライトファミリーと言えるサイモン・ペグとニック・フロストのコンビなら『宇宙人ポール』という傑作宇宙人コメディ映画がある。



アタック・ザ・ブロック』ではニック・フロストがヤクの売人の手下役で少し出ている。彼の元でヤクを買っているなよなよした感じの青年ブルース役のルーク・トレッダウェイは役どころとしてかなりおいしいし物語の謎を解き明かす役割としていい味をニックと共に醸し出している。ルークって十年ぐらい前のいしだ壱成さんが浮かぶような感じの役者さんだなあ、雰囲気が。


 エイリアンたちがなぜ団地に集まるかはネタバレになるんだけどまあ最初の出来事がすべての発端であって、モーゼズの仲間のうち何人かは死んでしまう。そのために彼は自分を責めて今までの行いを悔やみ何匹も集まって来たエイリアンたちを決死の覚悟で誘い出し一網打尽にする作戦を決行する。



 仲間たちの何人かを失うが誰を生かして誰が死ぬかについては監督は因果応報というよりは現実的な無作為な危険を反映させたかったと語っている。偶発的で道徳的な構造ではないと。


 『宇宙人ポール』は宇宙人映画のオマージュたっぷりな作品だがこの作品も監督の様々な映画へのオマージュが現れているようだ。最近だと『スーパー8』とかもあったしあれもスピルバーグ監督作品のオマージュや『スタンドバイミー』『グーニーズ』なんかの少年少女の冒険譚としての映画のオマージュが溢れていた。


 『第九地区』はとても好きな映画のひとつだけど、映画におけるエイリアンは異物として部外者のメタファーだった。だから侵略されそうになって戦ったり有効的な関係が築けるかどうかだったりの物語だとか、人種問題のメタファーだとかそういう自分たちとは違うものに対しての関わりだった。


 『アタック・ザ・ブロック』で描かれるエイリアンはコミュニケーションはとれないし真っ黒で毛もじゃで鋭い牙は蒼く凶暴に光っている。エイリアンたちが狙うのはとある理由だが彼らは自分たちの団地を守るためにエイリアンと戦う。だがそういうことになってしまったのは作品の冒頭でのモーゼズの過ちだった。


 エイリアンたちから逃げる悪ガキはバイクやチャリで郊外の団地付近を逃げていく。それは疾走感があって少年が主人公だから成り立つ空気がある。一瞬のように終わってから気付く少年時代の速度みたいな疾走感が少年映画には必要だ。
 彼らのしていることはもちろん正しくはない、エイリアンたちと戦う中で仲間の事を自分たちの事をきちんと考えて過ちに気付く。最後ヒーローになるモーゼズに団地の人から浴びせられる喝采は犯罪者として罵るのではなく団地を救った事による感謝だ。彼らはきっと変わっていくだろうと思えるラストだった。


 悪ガキたちよりもさらに年下の幼いコンビは可愛いんだけどやっぱり発想が悪ガキに影響されていてエイリアン退治に連れて行ってとせがむがモーゼズには家で『ナルト』でも見てろと言われる。世界的には『ワンピース』よりも日本的な『ナルト』のほうがやはり受けているし受け入れられている。映画に出てくる少年少女の会話は監督がリサーチしてリアルな言葉を脚本に落としこんでいるのでとても言葉が生き生きしている。


 もうすぐ『宇宙人ポール』もDVDとかで出るのでそちらも面白いから観たらいいと思うんだけどこの『アタック・ザ・ブロック』も面白い。なんか観てて僕はもう少年には戻れないけどこういう面白い事をどんどんやっていきたいなって思った。もし映画とか作るのに関われるならこういうエドガー・ライト的な作品とかやってみたいなあとか思ったり。


 次に観るのは『くそガキの告白』ですね、こちらは自意識をこじらせた感じの主人公なんで痛みに耐えながら観たいと思います。


 あと『宇宙人ポール』と同じ日に園子温監督『ヒミズ』も出るのでこちらも本当に観てほしい。『ヒミズ』観てなんにも今の日本の現状に疑問を抱かないのならあなたの魂は死んでいる、つまりはもうゾンビだってことだ。『ヒミズ』はやっぱり染谷・二階堂コンビを観るだけでも近年の中でも最高峰の青春映画だって思えるから、いやマジで。


 映画を観た後は今年知り合って仲良くなった映画観に行った友だちと楽しく飲んだ。みんなやりたいことをやろうとして良い意味で我侭な連中だから一緒にいると楽しい。



 ほんのり二日酔いのまま起きて葛西臨海水族園に電車に乗って向かった。脱走したフンボルトペンギン(No.337)を観たいと思ってて。これもある意味で取材というか書きたい物語にペンギンをってのがあって。


くるり 春風

 園内を歩いてる時にiPodからシャッフルで流れて来たこの懐かしい曲がすごく雰囲気にあっていて心が和んだ。


 大震災があって毒(サリン)がまかれた1995年に生まれて高校生になる年にまた大震災があって毒(放射能)がまかれたSEVENTEENの物語なら『輪るピングドラム』があるわけだし、かつて九十年代に思春期(十代)を過ごした三十代の近過去なら西島大介さんの『I Care Because You Do』がある。
 で今のSEVENTEENを主人公にしてペンギン出てきたら『輪るピングドラム』になるわけだが、脱走したペンギンを見つけた小学生がかくまって育ててるんだけど大人に見つかってチャリンコの前かごに幼鳥のペンギン入れて町をかけていくみたいな、例えば『グーニーズ』や『E.T』、昨日観た『アタック・ザ・ブロック』みたいなあの感じで書きたいなあみたいな。二人の幼馴染みの少年と被災地から越してきた少女と脱走したペンギンをSEVENTEENの僕なりの『リバーズ・エッジ』のような物語の中に組み込みたいと朧気に思ってたから水族館に観に行ってみた。


 此処ではない何処かに行きたいけどそんな場所はなくて帰りたいけど帰れないとかたぶん僕は居場所について書きたいんだと思う。


 まあ平日なんでほぼ引率されて連れてこられた小学生とか子供ばっかりでしたね。ヤロウがひとりなんてほぼいなかったような・・・。









 オスなので彼でいいのだろうが、彼だけ両翼の付け根にあるカラーつきのリングはどちらもついてないのでそれで見分けるしかないのだが見つけるまで時間がかかった。
 あと東京湾や江戸川という外部を冒険してきたのでどことなく皮膚がボロボロでクチバシでかいていたかゆいのかなあ。



 脱走した時に撮られた写真。まあ互いに鳥類だしカラスに脱走したペンギンがどこ行けばいいのか聞いてたりしてと想像できる一枚ですね。


 明日でもろもろ終わって七月からは戦闘モードでやるべきことをやる新しい季節が始まります。仕事終わったら国会議事堂前に行ってみようと思います。ただ単純にどういう景色になっているのか見たい。もちろん再稼動反対だから行くんだけどなんかきちんと自分の目で見ておきたいと思うから。

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