Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『きみはいい子』


監督・呉美保
原作・中脇初枝
脚本・高田亮


キャスト/高良健吾(岡野匡)、尾野真千子(水木雅美)、池脇千鶴(大宮陽子)、高橋和也(大宮拓也)、喜多道枝(佐々木あきこ)、黒川芽以(丸山美咲)、内田慈(岡野薫)、松嶋亮太(田所豪)、加部亜門(櫻井弘也)、富田靖子(櫻井和美)ほか








そこのみにて光輝く」でモントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を受賞した呉美保監督が、2013年本屋大賞で第4位にも選ばれた中脇初枝の同名短編小説集を映画化。5つの短編から成る原作から、「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」という3編を1本の映画にした。真面目だがクラスの問題に正面から向き合えない新米教師や、幼い頃に受けた暴力がトラウマになり、自分の子どもを傷つけてしまう母親など、子どもたちやそれに関わる大人たちが抱える現代社会の問題を通して、人が人を愛することの大切さを描き出す。出演は高良健吾尾野真千子のほか、「そこのみにて光輝く」に続いての呉監督作となる池脇千鶴高橋和也ら。(映画.comより)



 テアトル新宿にて。火曜日で平日だからなのかわりと年配のお客さんが多かった。呉美保監督の前作『そこのみにて光輝く』を観てファンになったりした層って感じでもないし、尾野真千子が朝ドラ『カーネーション』主役だったからとか? テーマ的に年配層に届くのかはわからないが僕がかなり若い客な感じだったから観に来ている人たちの年齢は高い。
 呉監督は前作『そこのみにて光輝く』も血縁とか小さなコミュニティについて描くのがうまかったが今作もうまい。大きな物語というよりも日常を描いていく、その中での微細な変化がうまく展開されていく。ラストに向かう辺りではそこら中に泣いているのがわかった。僕も泣きそうになった。
 尾野真千子&池脇千鶴同学年コンビも素晴らしいけどあの自閉症の少年演じた子役すごい。『タマフル』での宇多丸さんの評論で聞いてたけど彼は実際に自閉症ではなく演じているらしい、あの指の動きとか体の感じとかを見ると演じてるように見えないのでそう聞いてると余計にすごさを感じる。
 窪さんの『アニバーサリー』『よるのふくらみ』を呉監督でやったらすげえことになりそうだなと思うのは血縁関係や小さなコミュニティでの問題やどうにもならない声をいかにすくい上げるか、すくい上げられなくても問題が解決しなくても死ぬなと、生きろという部分、今回は抱きしめるということが大きな意味を持つ。窪作品とも通じる部分はあると思った。
 あと、大林宣彦作品からファンタジー要素を抜いたら呉監督の作品の要素に近いのかも、というかなにか大林作品的なものを感じたのは気のせいか。

([な]9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫)

([な]9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫)