Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『All About Lily Chou-Chou』

 1998年、Sony MusicのSDオーディションを受け、また同社の歌手養成機関で音楽のスキルを磨いていたSalyu、そこでSalyuを射止めた音楽プロデューサーの小林武史、映画監督であり作家の岩井俊二のスリーピースユニット。
 Salyuはボーカル、小林はプロデュース・楽曲制作、岩井はプロモーションビデオ制作・楽曲制作を、それぞれ担当する。


 岩井が映画『リリイ・シュシュのすべて』の企画段階で現実世界と映画世界との融合を狙っていたことから、それに合わせて結成される。
 なお、このプロジェクト以前にも小林武史岩井俊二は既に1995年から映画『スワロウテイル』(1996年公開)でのYEN TOWN BANDCHARA)で、映画の作品世界と連動した音楽プロジェクトを手掛けている。


Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜


 映画『リリイ・シュシュのすべて』はいじめ、恐喝、万引き、援助交際、レイプ、殺人、自殺など社会の闇の部分を描いているため、過激な表現も少なくない。そのため役者には体当たりな演技が求められ、生徒役の少年が全裸で田んぼの中を泳いだり、人前での自慰を演じたり、少女が実際に丸刈りにしたりと、衝撃的なシーンが多い。


 ↑はwikiからコピペ。


 CHARAが出演している岩井俊二監督『PiCNiC』では浅野忠信が出演しており二人は撮影中に付き合い出したためにエンディングが変わった。実際には精神病院から抜け出した三人の物語だったが一人はそのために途中で死ぬ設定に変わっていると聞いた事がある。


 映画『リリイ・シュシュのすべて』が公開されたのは2001年で僕が観たのは大阪のテアトル梅田だったような気がする。当時大学を辞めて実家に戻って上京資金をバイトで貯めていた僕は月一ぐらいで高速バスに乗って大阪でミニシアター系映画を観に行っていた。


 僕らぐらいのほぼ三十路から四十手前ぐらいの世に言うロスジェネ世代の文化系な映画とか観てたり好きだった人間にはミニシアターというジャンルはやはり大きな影響を与えたと思う。
 今のような映画館のシネコンができて観客動員数が増えるその少し前に日本映画ってカッコいいとかこれから面白い事が起きそうだという予感や面白くしていく人達がそこにはいた。僕もそういうものに憧れを持っていた側の人間だった。


 この数年で『文化系トーク系ラジオ Life』関連で大学生や院生の自分よりも若い学生の人と話すと岩井俊二という名前は知られてないのだなっと思っていた。長編映画だと『花とアリス』(2004)以降は撮っていないし、あとは脚本とかプロデュースとかだったしそれも仕方ない事だと思っていた。


 その間と言ってはなんだがリリイ・シュシュを歌っていたユニットで歌うポジションだったsalyu小林武史のプロデュースで少しずつだが売れていった。初めて観たのはカウントダウン04/05でまだアルバムも出てなくて『彗星』も出る半年以上前の彼女は持ち歌があまり多くなくリリイ・シュシュの曲を歌っていて僕は初めて彼女がリリイを歌っていたのを知った。だけど僕が惹かれたのはその声で、『彗星』という曲だった。


彗星/Salyu


 それから彼女が出るスペシャのライブとか、最初は新宿ロフトで三組ぐらい出るやつとかそういうの。でも、そこにも小林武史はキーボードを弾いていた、だから小林武史は本気でsalyuを売ろうとしてると感じた。
 その後アルバムが出たりして少しずつ売れていって会場も多くなっていくと小林武史ではない人がキーボードになっていったりした。まあ、武道館とかツアー最終日とかには小林武史がキーボードするんだが。


 その五年の間に僕は脚本家を養成する岩井俊二主宰『PW・プレイワークス』に応募して作品を契約して半年間開発して僕の力不足で映像化の方向には向かわずPWメンバーとしては登録?された。飲み会を寝過ごして行かなかったりして岩井さんには一度も会った事がない。


 『Life』で知り合って『路字』でもお世話になっている編集者の仲俣さんと下北でお茶をしている時に岩井さんの話というかPWというのに所属してるという話になって、高校の時に読んでた岩井俊二×庵野秀明『マジック・ランチャー』って本があってみたいな流れになったら仲俣さんがそれ構成というか手伝った本だって話になって「初めて読者に出会った」って言われて、世界って狭いなって思った。


 実際にゼロ年代の中頃以降の僕は、須藤元気著『神はテーブルクロス』とかに書かれているシンクロニシティみたいなもの自ずから動いて行ってmixiをはじめとして出会った人との繋がりの繋がりでいろんな人と知り合った。
 その流れの中で『Life』関連の人と出会っていくと世界はやはり広大だけどある業界や関係の中に入ると世界は狭かった。人間関係は繋がっているからそう感じてしまう、誰かの知り合いは誰かの関係者で繋がっていた。それをよく思うのがゼロ年代の終わりの三年ぐらいは特にそうだった。


 だけど、僕はその中でも誰でもなかったしできる事もほぼなかった。僕はけっこう変な感じで絡ませてもらっていた、単純にそういう運が強いしあるということだった。リスナーなんだけど関係者の知り合いというポジションで。
 ただその場にいるという事の意味がデカイと思っていたけど、増々自分の不透明な何者でもない何にもなれていないという想いは当たり前に強くなっていった。


 何にもなれていない事のプレッシャーは最近わりと減った気がする。その場にいることの意味は大きくなっているような気もする。


 話をだいぶ戻さなくてはいけないが来年で公開から十年経つ『リリイ・シュシュのすべて』でリリイ・シュシュというユニットだったものがニューシングルを出し中野サンプラザで復活ライブをやるというのが急に発表になった。


Lily Chou-Chouエーテル」Music Video


 チケットを先行で取れて彼女と行ってきた。なぜ今更リリイ・シュシュプロジェクトをするのか?など色んな想いはあったがリリイ・シュシュとしてのライブは観た事がなかったので観たいと思った。あとはsalyuとして成長した彼女が今リリイ・シュシュとして歌うとどうなるのかと。


 ボーカル・sakyuにキーボード・小林武史にギターが名越さんが今回のリリイ・シュシュプロジェクトのメインなわけだが、ベースはsalyuのライブでもやっている元syrup16gキタダマキさんだったしドラムの人はわかんなかったけど基本的にはsalyuのライブの布陣とほぼ同じだった。


 二階席だったのでsalyuの顔とかわからなかった。使われている映像の感じはリリイっぽいものだったりするけどミスチルのライブを何度か観ているせいかなんか丹下さん的な小林武史が好きそうな感じの映像だった。


 空虚な石・愛の実験・飛行船・飽和・エロティック・再生・アイアム・鏡・夜の海遠い出会いに・プラットホーム・アラベスク・砂・landmark・memory・飛べない翼・回復する傷・エーテル・グライドって感じの曲順だったらしい。


 最初の五曲はリリイ・シュシュの曲。座って聴くと1/fゆらぎなものがあるのかうとうとした。でも、何度かイヤフォンに手を当ててたり声が完全に出ていないような合っていないような気も少しした。salyuとして成長した彼女に昔の楽曲はわりと今はOSがバージョンアップして合い辛いのかもなあ。


 で、『再生』が始まって完全に目が覚めた。salyuの曲やんのかよって。で立て続けに五曲salyuの曲やったから小林武史は曲者だなあとやっぱり思った。しかもけっこうsalyuのポップな曲が多い中で地味な選曲、聴かせる系だったしsalyuの時よりも曲調を変えてた。


 『memory』は映像がタイポグラフィを多用して映像と合わせる感じ、まあ『エヴァ』的な感じに近いのかもしれない。この曲はまったくどこかで聴いた記憶もなかったし映像の力入れて作った感じとかからすると新曲だろう。
 これから先のリリイシュシュプロジェクトの方向性というか、そういう気がしたし、正直この日一番よかった曲はこれだと思った。たぶん、『エーテル』『memory』を軸にしたアルバムを出してツアーすると思う。


 なぜなら小林武史は曲者だし未来を見据えて計算をかなりしてる凄いプロデューサーだから。salyuのアコースティックライブツアーの前にも応募したら当たってShibuya-AXで当選者だけ観れるアコースティックライブやったけど、名越さんエレキギターだしキーボード使ってんじゃんとは思ったけどそういうツアーとかの前に試しのような前フリとかきちんとスケジュールに組んでやる人だと思うし、たぶん来年映画から十年だし大々的に「リリイ・シュシュ」プロジェクトやるだろう。


 昨日のライブでsalyuのMCがまったくなかったのはたぶんいつもライブしてる時の明るいsalyuが隠せないからだろうなっと思った。終わった後に客席に手を振る感じとかはリリイ・シュシュっぽくないもんなあ。


 salyuも歌手として成長したしできなかった事もできるほど認知度も上がったし、そういう意味でも来年はリリイ・シュシュ周辺が忙しくなるんだろう。


Bank Band with Great Artist - to U

↑この曲で認知度は上がったけどこの曲がバンクでやる前からsalyuのライブではやってた。だから最初にバンクのver.聴いた時に桜井さんの声いらねえと思った。だってsalyuの曲だと思ってたから。


Dramatic Irony LIVE from Budokan

↑数年前この曲を聴きながら茶沢通りを歩きながら泣いてしまっていたのが遠い昔のようだ。

リリイ・シュシュのすべて 通常版 [DVD]

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スワロウテイル [DVD]

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呼吸

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MAIDEN VOYAGE(初回限定盤)(DVD付)

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