二週間に一回は新宿三丁目のバルト9に行ってる気もしなくもないですが、今朝も二、三時間寝て満員電車の田園都市線から副都心線で三丁目。
駅の出入口のC-1出るとバルトすぐだし、朝も9時からやってたりするんでいいですね。世間がいくら夏休みだろうが朝一の9時ちょうど開始なんて混まないからちょうどいい。
二週間前も『トイストーリー3』を朝一で観に行ったら四人ぐらいだったけど『インセプション』は二十人以上いたかな、朝一にかかわらず多いかった。
『インセプション』
監督・クリストファー・ノーラン
出演・レオナルド・ディカプリオ、エレン・ペイジ、渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン・レヴィット、マリオン・コティヤール、トム・ハーディ、トム・ベレンジャー、キリアン・マーフィ
STORY・ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、人が一番無防備になる状態――夢に入っている時に、他人のアイデアを盗み出すという、犯罪分野において最高の技術を持つスペシャリスト。その類稀なる才能は企業スパイの世界において引っ張りだこの存在になっていた。だがその才能ゆえ、彼は最愛のものを失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に絶好のチャンスが訪れる。このミッションを果たすことさえできれば、かつての幸せな人生を取り戻せるかもしれないのだ。だがその任務はほぼ不可能に近い「インセプション」と呼ばれるものだった――。『バットマン』シリーズのクリストファー・ノーラン監督によるSFアクション。レオナルド・ディカプリオが主演で渡辺謙も出演。
ディカプリオが出ている映画を劇場で観るのは『タイタニック』以来のような気もします。僕の中では『バスケットボールダイアリーズ』や『ロミオアンドジュリエット』でイメージが止まっている。
予告で何度か観て気になってて監督も『メメント』『ダークナイト』などで知られるクリストファー・ノーランだし。『ダークナイト』って9.11以後の正義とは何か?的な問題を抱えてしまったアメリカを描いていて絶賛されているわけだけど。
日本だと『仮面ライダー龍騎』的なバトルロワイヤル的なものだったりするわけで、ウルトラマンの存在感が薄れて仮面ライダーの存在感がゼロ年代に強まったのはそういうことが孕まれていて、正義と悪という相対的なものが崩れてしまった世界において正義とは何か?という問題を平成の仮面ライダーシリーズは描いたりできたのが大きかったのかな。
アニメ『コードギアス』もピカレスク的な物語だった。ヒーローがヒーローとして戦うために悪を倒すためっていう単純なロジックが成り立たないからそのための理由とか自問自答するってのがツインタワーが崩壊した後の世界のヒーローものの難しさだった。
かつて手塚治虫が描いた『海のトリトン』の漫画の終わり方も自分の種族を絶滅させたので復讐だと思って滅ぼした敵はかつて自分の祖先たちによって壊滅的に滅ぼされた種族で、彼らに復讐されトリトンの種族は滅ぼされて、トリトンがさらに彼らを滅ぼしてしまうという悪いのはどちらだ? 復讐が復讐を呼んでいるだけで彼らが行なった正義は立場の問題でしかなかったという読んだ後になんとも言えない読了感の悪さがあったのを思い出します。
という『ダークナイト』とは打って変わって今作『インセプション』は正義とか悪とかあんまし関係ないっていうSFアクションでした。
冒頭で海辺に流されてきたディカプリオが警備の人間に運ばれて出会う老人のシーンで最後にはここに繋がっていくんだなって思った。まあシナリオ的に考えれば妥当だし、そのせいでその老人と関連する人物が出てきて彼がどうなるかはわかってしまう面もあるけど。
ディカプリオに渡辺謙、『(500)日のサマー』の主役だったジョゼフ・ゴードンや『ジュノ』のエレン・ペイジ、『28日後・・・』のキリアン・マーフィーなど、「(500)日のサマー」で超文化系男子を演じていたジョゼフがまったく違う感じで印象がだいぶ変わった。渡辺謙の英語に違和感がなくてそれもビックリした。
「インセプション」=「植え付け」作業をチームを組んでやるんだけど、その「インセプション」という行為が主人公のコブにも非常に大きな傷痕を以前に残していて、その罪悪感とかがコブの人間らしさというか感情的な部分を引き出していてディカプリオすげえいいじゃんって思った。
チームも夢の中で他の人に化けて騙す偽造師やターゲットが現実だと騙される世界を頭の中に作る「設計士」や複数の人間が夢をシェアできる薬を作る「調合師」がいたりとRPG感もあったりする。
夢見てるけどそれも夢っていう二階層、さらに夢の夢の夢っていう三階層まで深く行って植え付けるんだけど、夢の中で死んだり現実世界で衝撃を与えられると目が覚めて現実世界に帰ってくる。が深く潜るために強力な鎮静剤を使ってて夢の中で死ぬと虚無におちてしまい、目が覚めても心は虚無に置かれたままで現実世界で心を失ってしまうみたいな展開。
かなりドキドキする展開で二階層のホテルなんか無重力になってジョゼフとか普通にスペースシャトルの中の無重力みたいに浮いて戦ったり、第一階層でワゴンが落ちてる間無重力になるから第二階層のホテルも無重力でホテルが回転するっていう映像がすごいなって思って『マトリックス』の想像力を遥かに上に行ってる感じでいやあスクリーンに映し出される世界にどっぷり落ちた。
現実世界・第一階層・第二階層・第三階層・虚無とまるで並行世界なのか?と思ったりする。『クォンタム・ファミリーズ』という並行世界小説を書いた東浩紀さんが観終わった後に引くというのはわかるような気がした。想像力の上を行っているというか、しかもそれを映像でしてしまうノーランの実力が全面に作家性が溢れているだけに。
SFでありアクションもあり、夢の世界なのになぜ銃撃戦があるのかというとターゲットが夢の世界で自分のアイデアを盗まれないために訓練を受けていると夢の中に入ってきた外部の、部外者を排除するために兵士みたいなのがいるんだよね。しかも訓練を重ねていると兵士が強くて侵入者をチームワークで襲ってくるっていう。
SFアクションですね、すげえ面白いし、今年観た『第九地区』もそうだったけどSFって次世代の、次なる時代のスタンダードというか今までのものを受け継ぎながらきちんとそれぞれの作家が各自の作家性を出して新しいものが生まれてきている。
今のとこ『インセプション』『告白』『第九地区』な並びで今年観た映画の僕なりの順位なんだけど『インセプション』『第九地区』はSFのジャンルに入ると思うけど観てて本当にワクワクして映画館で大画面で観てよかったなって思う。
あと最後のワンシーンが非常に意味ありげで『インセプション』の最後のワンシーンと『1Q84』BOOK3の終わりが似ているというか、同じ感じだった。本当に戻りたかった世界に戻れたのか?っていう。観終わった後でどっかで似たような感覚を味わったと思ったと思ったら『1Q84』というのを今思い出した。
マジで並行世界じゃんみたいな感じもするんだけど『1Q84』なんかまさしくそうだし、BOOK3で終わるとどうなの?とも思うけど別にここで終わってもいいやってのもあるし正直あんなに売れちゃあいけない小説だとは思う。
だってラノベで書かれてきたセカイ系に村上春樹がオウムのサリン事件の被害者の取材とかして得た感触とかがそこにプラスされていて、それは『ねじまきクロニクル』でノモンハン事件を取り入れたようなもので、村上春樹という期待票が多すぎる結果なんだよね。あの小説面白いかって言われたら僕は村上春樹という日本を代表する小説家の新作だからチェックすればいいと思うけど面白いとはオススメできない。
伊藤計劃『虐殺器官』を薦めるし、阿部和重『シンセミア』『ピストルズ』を薦めるし、舞城王太郎作品や古川日出男作品や東浩紀『クォンタムファミリーズ』の方が読む価値はあるし面白いと思う。
『インセプション』を観ていて思ったのは伊藤計劃『虐殺器官』『ハーモニー』と東浩紀『クォンタムファミリーズ』的なSF的想像力を合わせて映像化するとこんな感じだと思った。
けっこうこの十年代(テン年代)はSFが前のゼロ年からの流れもあって再起するというか奮起して新しいSFのスタンダードを多く生み出すような気もする。小説にしろ映画にしろ。
SFってのは現在の想像力の先の物語だったりするし、現実が困難な時代にこそ想像力は最後の武器になるし新しい可能性を切り開くものとして求められるんじゃあないだろうか。
帰りに渋谷のタワレコ寄ってフジファブの新譜買って三茶に戻ってからツタヤに寄ったら専門の同級生のマサタカさんがいてだべる。偶然中の偶然。金曜からフジロックに行くらしい。僕の周りでは何人か行く人がいる。
Thom Yorke - Atoms For Peace - Love Will Tear Us Apart - GREAT QUALITY
Thom Yorke - Atoms for Peace - Cymbal Rush - 4/5/10
Thom Yorke solo - Latitude 2009 - True Love Waits
フジロックにRadiheadのトム・ヨークの新バンド「Atoms For Peace」が来るのでそれだけは観たいなって思うけど今年の夏はスマパンだけでいいや。
Smashing Pumpkins - 1979 (Metro)
Smashing Pumpkins / Mayonaise / live bio part 8
↑スマパンのライブが終わったら今年の夏は終わったようなもんだなあ。
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