『4444』 - Spiral Fiction Note’s diary

smashing pumpkins "astral planes" live (record store day) 4/17/10

　月曜日の昼間のバイト中に倉庫内の仕事でカートに必要な商品を置いてはカートを押してひたすら四時間少し歩き回り物を運んでを繰り返していて、商品の土台になっているパレット（フォークリフトで運びやすいように側面にフォークリフトののクワガタのハサミみたいなのが刺さるように空いているやつ、1.5m×1.5m×0.2mぐらい）の上に商品なくなってその下にも同じようになっているからどかして、倉庫の入り口に持っていった。
　縦にして押して行く。でフォークリフトでどうせ社員が動かすから縦から横に倒したら、見誤って端っこがちょうど左足の親指に落ちた。

　痛かったけど誰も気付いてないし、そもそも仕事中に会話らしい会話がない。社員とも会話ないから名前知らねえし、ノーコミュニケーション。残り時間がいつもならあと二時間以内に終わると思って、なんとか痛いけど作業した。で帰って足見たら親指が紫になっていて第一関節部分が腫れていて赤くなっていた。

　痛みがどんどん増してやばいと思って夜のバイト先に理由を言って休ませてもらって、時間的に病院とか閉まってたからドラッグストアで湿布を買って貼った。次の朝も仕事だったので会社に電話して事情を話して次の休ませてもらった。

　寝て起きると腫れはだいぶひいていたけど触れるだけで痛くて、労災とか諸々あるしヒビとか骨折れてたら大変だから一番近所の接骨院に行った。アイシングされてレントゲンは撮られずに、機械がないのだろう、その時点で選択を間違えたと思った。
　関節も曲がるし二、三週間ぐらいで治ると言われ、もし腫れが引かないようならヒビが入ってるかもしれない、ヒビは数日経ってから出てきたりするのでその時は整形外科に行ってくださいと。整形外科に最初から行きゃあよかったと思いつつ、もはやめんどくさいのでひどくならないならここでいいやと思った。

　自分でもけっこうひどめの打撲だと思うし、初日は足をひきずるようにしか歩けなかったけど、今日はわりと普通になってた。ただ力を入れる時とか重い物を持つ時には嫌でも両足の親指に力が入るのでしんどそう。結局今週は昼間の仕事を休んでいいことになった。

smashing pumpkins "today" 2010 (record store day!)

　まあ、最近考える事もたくさんあって、そういう時にこういう事故（完全なる自分のミスだが）や年始の新型インフルとかになるんだよなあって。
　まあ、ポジティブ思考で考えると怪我しないであのまま夜働きに行ってたら車とかと事故ってもっとひどいことになっていたのかもって思ったり、嫌でも考える時間を与えられたとか思うしかない。

　
　映画『チョコレート・ファイター』で主人公の母親がギャングに両足の親指を切り落とされていた記憶があるが、あれは今この状態になってさらに怖いけどものすごく残忍な仕打ちだ。殺さないけどそのあとの生活に支障が出まくるし、親指が紫になっているのを見て最初に浮かんだのがそのシーンだった。

　
　接骨院に行ったついでに飯とか買いに。駅の方へ。初日にも思ったが足を引きずって歩くと少しだけホームレスの人の気持ちがわかる。引きずっているからすれ違う人に妙に見られる。
　僕みたいなフリーターは大きな事故や怪我をしたら最悪最後のセーフティネットが実家だ。それすらもないと、保険料を滞納して保険証がなければ、金もなければ、単純に生活は急激にしんどいものになっていく、ジリ貧なんてもんじゃない。家もそれまでの生活も簡単に失われていく。

　この国にセーフティネットなんかないもんね、自己責任だもんね。そんなこと知ってんだけどね、失点だよね、まあ弱肉強食、負けたものは負けたものの責任でしょ的なグローバリゼーション戦争というか宗教を世界中の経済は信仰しちゃってんだよね。

　まあ、それが簡単に変わるとか思ってないし、環境とか才能とか運とか複合的な部分で上に行けるか金に困らない生活ができるかなんて決まってくる。

　ただ勝った者が一方的に悪者にされるのも間違ってる。環境や諸々の要因が最初から他の人よりも優遇されていてもそれはその人のある種の運なのだから。だけども運が悪い、環境が悪い人がそのままデフレスパイラルのようにその悪循環に呑まれてそこから這い出せない環境が何世代にも渡って続く、というどうにも乗り越えづらい差というのがこれから増々広がって行くんだろうなとかも思ったりもする。

　足をケガしたぐらいでそれらの景色がわりと容易に浮かんでくるのだから、数年前にこのままやりたいことが成功せずにこのままフリーターならきっとホームレスになる未来の確率が高いなって思っていたが、その数年前よりも確実に悪化してる経済とか状況がリアリティを際立てている。

smashing pumpkins "stitch in time" 2010 (record store day)

　だけどさ、こういう時に限って自分がやりたいこととかはっきりしてくる。将来のビジョンとかさ、一瞬そういう暗い景色も映るし、考えたりはするんだけど、たぶん能天気というか本来のネガティブ思考をこの数年で確実にポジティブ思考で抑え込むが巧くなってしまって、なりたいものになるっていうよりも数年後はなってるなっていう感じが増してくる。

　アメリカの作家・チャールズ・ブコウスキーなんて24歳の時に雑誌に短編掲載されても作家になるの諦めて国内放浪して40で郵便局に勤めだして専業作家になったのなんか49だよ。このパンクすぎる作家みたいな生き方はできやしないけど。
　このおっさんは、絶対に諦めてなかったんだよ、女と別れて競馬に金をつぎ込んで仕事を首になったって最後まで自分は詩人だって作家だって諦めてなんかなかった。

Pete Doherty - For Lovers (Official Video)

　残された作品は本当に素晴らしきパンクスで酒飲んで吐いて女に手を出してセックスして一時の幸せを味わってケンカして別れて職場でケンカして辞めて酒飲んでを繰り返すような作品が多いけど、なんか生きてるって感じが濃厚で、書きたい事を諦めなかったのが伝わる。

　やりたいことを続けるには世間とか周りの空気なんか無視してればいいって作家の藤谷治さんにお会いした時に言われたけどそうだよなあって。

smashing pumpkins "bullet with butterfly wings" 2010 (record store day!)

　一番好きな漫画は幸村誠『プラネテス』で年に何度か読み直すけどそこには僕らみたいなハチマキがもうひとりのハチマキにずっとつきまとわれている、それはとてもよくわかる。

「まともに話せないか　だろうな　宇宙は真摯でない者を愛さないからさ」
「はっ　はっ　はっ　だれだ　はっ　おまえ　はっ」
「放射線の嵐の中で漂いながら感じただろ？　『くたばるかもしれない』って　でも本当は　救われる気分だったろ？」
「はっ　はっ」
「わかってるんだろ？　一介のデブリ拾い屋にすぎない今の自分には宇宙船を手に入れることなんてできっこないって　それでも吠え続けたのはいつまでも夢の途中でいたかったからさ」
「たたかいきれないお前は　ようやく今頃になって　言い訳を探し始めている　この病はお前が望んだんだぜ？」
「はっ　はっ　うるせえ」
「地球に降りて　結婚して年とって　シリウスのかがやきを見上げながら　『あの病がなければオレも今頃は・・・』　そう言い逃れる権利をお前は欲したんだ」
「はっ　はっ　うるせえ　黙れ」
「認めろ　受け入れて楽になって　嘘をわびるんだ　宇宙はお前を愛してはくれないが許してはくれる」
「黙れ」

「落ちついているじゃないか　今日は」
「聞こう　どう決断したんだ？」
「別に　たいして今までとかわりないさ」
「あー　いや　ちょっと違うな　考えたんだ　オレ　あのエンジンを造ったエンジニアたちも　アンタみたいなのとケンカしたことあるのかなって　アンタはオレのことをウソつきだって言ってたけど・・・」
「ツィオルコフスキーもゴダードもオーベルトもフォン・ブラウンも　宇宙をのぞんだ人間はみんな　はじめはウソつきだったんだよ」
「でも　アンタとのケンカを一生かけてするって腹を決めたなら　そいつはじきにウソつきじゃなくなるんだ」　

Smashing Pumpkins - Stand Inside Your Love - Live 4/17/2010

やってしまへやってしまへ
酒を呑みたいために尤らしい波乱を起こすやつも
じぶんだけで面白いことをしくつして
人生が砂っ原だんていふにせ教師も
いつでもきょろきょろひとと自分とくらべるやつらも
そいつらみんなをびしゃびしゃに叩きつけて
その中から卑怯な鬼どもを追ひ払へ
それらをみんな魚や豚につかせてしまへ
はがねを鍛へるやうに新らしい世代は新らしい人間を鍛へる
紺いろした山地の稜をも砕け
銀河をつかって発電所もつくれ

宮沢賢二『サキノハカといふ黒い花といっしょに』
『プラネテス』２巻より

the coffee group 『ワンコインからワンドリップ』 PV

　古川日出男『4444』を昼間買った。河出書房webで連載されていたもの。だからぶっちゃけwebで読める。web連載だと金にならないから書籍化みたいな、ならキンドルかiPadで出せばいいのになあとか思ったりもする。
　この『4444』と同じく河出文庫で出た『ハル、ハル、ハル』の帯両方に成海璃子が推薦コメントを。なんだろう、映像化するとか？　彼女昔のパンク好きらしいからなあ。