シネクイントで「(500)日のサマー」を観ようと思って。周りで観た友人、知り合いの人、ブログで書いてた人、ほぼ文化系な男性の感想だと「ハイ・フィデリティ」を彷彿とさせる、胸にズキズキとくる文化系的な作品らしい。
と言ってもその数名には共通している部分があり、それが僕とはだいぶ差異がある決定的な部分なので僕もそうなるかは疑問ではあった。
ヘッドフォンでスミスを聴いていたら、憧れの女の子が「ねえ、スミスすきなの? あたしもよ」と声をかけてくるとこにめっちゃ感情移入している人はこの作品が愛しくてたまらないらしい、僕にはその感慨がないんだよねえ。
文庫読んでて「ねえ、大塚英志すきなの? 「『彼女達』の連合赤軍」よかったよね」と言われても嫌だし。
が、スミス話ではないとこの僕には圧倒的に見える差異がどれほど感情的に違いを出すなのかを確かめに。
それに今週の「タマフル」は宇多丸さんのポリープ手術で「シネマハスラー」が小西克哉&しまおまほのウィークエンド・カップルで作品が「(500)日のサマー」なので、ちょうどよかった。
ツイッターで「Life」の黒幕こと長谷川プロデューサーと今回の「今、聞きたい名言」にゲストで出ている「空中キャンプ」さんこと伊藤聡さんが「(500)日のサマー」でツイートしあっていたので気になってはいたのもデカイが。
つうか「サマー」ってヒロインの名前だったんだな、「夏美」「夏子」的なことか。
↑を昨日の朝帰ってきてブログに書いた。
Belle & Sebastian - The Boy With The Arab Strap
バイトから帰って寝ないで歩いて渋谷へ。出社のサラリーマンやOLに交ざって246を歩いて道玄坂まで歩いたら思いのほか早く着いたので渋谷駅で来月結婚式で帰るから乗車券買った。
この四年ぐらいは年に一回ぐらい帰ってる。祖父が半身不随とかになって長くないなって思って帰って最後に会ったのが三年前の11月で翌年のゴールデンウイーク初日に葬式があって、去年は一周忌で孫が僕しか出れなくて帰って、今年は高校の友達の結婚式と、二十代後半になると結婚式と葬式が増えるのは仕方ないよな、これからもっと増えていくし。
それからパルコパート3だっけな、シネクイントへ。
ストーリー・トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は建築家を夢見て、グリーティングカード会社で働く日々。ある日、秘書として入社してきたキュートなサマー(ズーイー・デシャネル)に一目惚れ。トムは運命の恋を夢見る草食系男子、しかしサマーは真実の愛なんて信じない女の子だった…。まったく正反対のふたりの500日の恋を描いたラブストーリー。
イメージ的には文化系男子が好きそうな映画だなって思ってた。水曜日はレディースデイらしく客の大半は女性客、八割ぐらい。サマーってなんか「フレンズ」のモニカみたいな顔してんだよなあって思いながら観賞。
(500)日の中で時間軸が交差していく展開で、主人公のトムが落ち込んだり、サマーに出会ったりとか上手く展開されていく。でも、観ていてサマーの内面は特に描かれていない、そのために交互に時間軸をズラせているのかなって思った。
ヘッドフォンでスミスを聴いていたら、憧れの女の子が「ねえ、スミスすきなの? あたしもよ」というくだりの出会いというか最初のきっかけがグサってくるのもわからなくはない、客はトムに感情移入すればいいのだから。
この作品のトムは草食系とか文化系男子には思い当たる節が多々ある。つうかたぶんこれ(トム)は俺だという人にとっては愛しい作品になってしまう。
だって、僕らの物語になりえるから。
運命の恋を夢みる男と真実の愛なんか信じない女。恋人のようにデートをしてときにはイチャついてエッチもしたりする。
でも、彼女は誰の所有物にもなりたくないし、恋なんてめんどくさいし、やるべきことはたくさんあると言い、トムは付き合っていると言える関係なのにこれはカップルだと憤ってもサマーは付き合っているとは言わない、友達だと。
トムとサマーのラブストーリーという感じは後半からしなくなってくる。トムという運命の恋を夢みる男の、文化系男子が大抵遭遇する出来事になってきて、ある種の文化系通過儀礼的な趣が漂ってくる。
僕にとっての運命の人だと思っている彼女、彼女にとってもし運命の人がいるとしても、彼女がそれを信じることができるようになったとしてもその相手が僕じゃないことなんてよくある話なのさ。っていう感じなのでラブストーリーなのか? と一瞬疑問が。
同じ劇場で観た「ジョゼと虎と魚たち」を思い出す。こちらはジョゼ(池脇千鶴)の内面が描かれているので余計に重い。恒夫(妻夫木聡)がいつかいなくなってしまうと付き合い初めの頃から思っているだけに最後の方の終わり方は痛い、いたたたたっと突き刺さる。
サマーは内面を見せないのでそういう痛みは薄い。のでトムだけに感情移入しやすい。サマーは小悪魔的なエキセントリックなキャラクターとして成り立っている。トムからすれば彼女の本意がどこにあるのかはつかめない。彼女が選ぶ事やすれ違いを理解はできない。
トムはサマーという女性に恋をすることで本来の自分がやるべき、やりたいことをしようと動き出していく。そういう意味でラブストーリーというよりは運命の恋を夢みる男が真実の愛なんか信じない女に出会って恋をして現実を受け入れて動き出していく通過儀礼的な、成長譚的なニュアンスの方が大きい。
男性視線なのでトムの気持ちはわかるんだが、客のほとんどを占めていた女性達はどんな感想を持ったんだろう? ということが一番気になる。
>つうか「サマー」ってヒロインの名前だったんだな、「夏美」「夏子」的なことか。
って書いたけど最後の方でそうじゃないとタイトルに名前使わないよなって展開。やっぱりか!って。
映画本編前の予告では「ソラニン」が。やっぱり観たいなって思う。しかし、最初のキャスティングから原作ファンが思っていること、芽衣子が宮崎あおいだと可愛いすぎて嘘っぽい。芽衣子はどこにでもいるような普通の女の子だから読者にリアリティがあったんだが。可愛いすぎるんだよなあ。
予告でも原作で号泣した芽衣子とビリーのやりとり、自転車に乗ってビリーが種田への思いをいう部分はやっぱりウルってくる。劇場で観たら号泣するだろう。しかし、種田のオヤジが財津和夫さんなのは絶妙なキャスティング。
「種田は好きな音楽で誰かに批判されるのが怖いんだよ!! 評価されてはじめて価値が出るんじゃん!? それで本当にだめだと思ったら」
「そん時どうしてくれんの? 一緒に死んでくれんの?」
この台詞を書いてたら泣けてきた。
映画「ソラニン」予告編
ASIAN KUNG-FU GENERATION「ムスタング」
アジカンのゴッチが原作を読んで書いた曲。種田・芽衣子が使うギター「ムスタング」より。この曲が出た時点でアジカンが「ソラニン」の主題歌だと一年前ぐらいから言われていたが、もろに正解だった。
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の予告も。こちらも「ソラニン」同様にゼロ年代を代表する漫画の映画化。文化系男子必見というか痛い、主人公・田西の痛さは多くの人に共有される弱さだった。笑えてくる部分に潜むのは痛み、僕らが味わった哀しみだった。
映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』予告編
「ソラニン」はコミック二巻なので映画的には内容を網羅できるがこちらはコミック十巻なので映画は最初の青山編辺り。実際のとこ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」は真ん中辺りが神懸かりな展開を魅せる。
青山のその後は笑えないとかヒロインのちはるが男にとっては一番質の悪い小悪魔を越えた面倒くさい醜悪な女だとわかるのも最後のほうなのでその辺りは描けないだろう。以前書いた「ボーイズ・オン・ザ・ラン〜終幕〜」
主題歌の走り出したくなる感じと予告の動画でこの映画を観たような気になってしまうのがかなり不安。たぶん、観る。
この二作品はゼロ年代中にしてほしかった気もする。
あとは行定監督「パレード」も。吉田修一原作で小説が出た02年当時に読んでいる。オチは特に驚かない。あと今更映画化する意味は見いだせない気はしてる。「今度は愛妻家」が公開中の行定さんだが、タイトルからすれば妻(薬師丸ひろ子)がどう考えても死んでいるとしか思えないわけで、まあ原作というか小説読んだ人にそう言ったら驚いてた。
行定さんは基本的に原作ありきで映画作る時の傾向みたいな、好きな原作パターンってのがあるので今までの行定さんの作品観てたら「パレード」のオチはわかる。わかりやすく予告では林が犯人的な感じにしてるが、どう考えても一番まともなのは林の役だ。
行定さんは「ロックンロールミシン」と「贅沢な骨」が好き。
2010年2月公開『パレード』予告編
帰りに「(500)日のサマー」のスタッフロールがぼやけて仕方なかったので良い加減に眼鏡をまた作ろうと思って同じくパルコのポーカーフェイスに。前の眼鏡のフレームが割れて半年近く裸眼で暮らしているんだが、近視がひどくなっている。あと疲れた時に目が異様に霞む。
種田君のような黒ブチフレーム眼鏡にしときました。新幹線代とあんまりかわらなかった。でも、安物買うよりは何年か使うから多少は高くてもいいかなと思う。人生で二代目の眼鏡くん。
Charlotte Gainsbourg feat. Beck - Heaven Can Wait
HMVでCharlotte Gainsbourgのアルバムを買って帰る。寝ないでレッドブル飲んでなんとか起きていたがレッドブル飲んで過ごして寝ると恐ろしいほどに深く眠りに落ちる傾向がある。
寝る前にレンタルした「アメトーーク」DVD9巻を。「後輩の山崎に憧れてる芸人」「小杉イジりたい芸人」「椿鬼奴クラブ」と最強のラインナップでもろにツボ、を小杉さんをイジりたい人たちを見ながら眠りに落ちた。
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