- 作者: 大塚英志,ひらりん
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/09/12
- メディア: コミック
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「多重人格探偵サイコ」の「終わらない昭和」というギミックがこの作品においては「関東大震災のこなかった」大正という時代設定になっている。 主人公は絵師であった竹久夢二であり、モデルのお葉に菊富士ホテルという仕掛けで描かれている。
大塚英志原作の柳田國男が狂言回しの「北神伝綺」、折口信夫が狂言回しの「木島日記」、小泉八雲が狂言回しの「八雲百怪」へと続く三部作に通じる作品で、大塚作品には珍しくセックスシーンが出てきたりするので新鮮な感じもする。
画はずっと「黒鷺死体宅配便」「多重人格探偵サイコ」でキャラクターのイメージ画を書いていたひらりん。大塚氏の過去の発言によれば「大塚英志」という漫画原作者などで出ている場合、評論は違うんだが、漫画に関連する場合は大塚英志+白倉由美+ひらりんで「大塚英志」になっているらしい。どこまでがそうなのかは知らないけど。
竹久夢二自体は柳田國男が狂言回しの「北神伝綺」にも出ているが、「三つ目の夢二」に出てくるスパイMは「木島日記」「オクタゴニアン」にも出てきていてる。
「木島日記」自体は清水老人が若い頃が出てきたり、御恵てうなど同一人物の若い頃が出てきているなど、「摩陀羅」のキャラである犬彦や麒麟が「サイコ」に登場するなどリンクしている。
「メトロポリス」なども引用され少しSFちっくな大正モダンな異空間を描いていたり、死んだ恋人の笠井彦乃を追って地獄に行ったりと大塚さんらしい感じがする作品である、とくにひらりんの書く絵によって今までとは違う感じを受ける。
あとがきには「現在のポストモダンなどというものはつまりは未だ終わり損ねたままの大正モダニズムではないか」とあるがそれがどうなのかはわからないけど。
終わり損ねたという言い方は著者の大塚さんが好きな言い回しだなあ、いつだって終わり損ねたものがずっと脈々と繋がっている。宮台真司氏は対照的に「終わらない日常」という言い方をしたがたぶん意味としては同じなのかもなあ、とか思ったり。
終わり損ねた時代を最初に描こうとしたのは「摩陀羅 天使篇」で昭和天皇が崩御していない設定。
「摩陀羅」シリーズの旧来の主人公キャラクター達が108回の転生を終えた後に次世代への若者へバトンタッチするはずの話だった、こちらは三巻でおそらく大塚さんが出版社とケンカして途中止めでもはや絶版。
その後「ぼくたちの時代を終わらすために」と帯に書かれた「MADARA MILLENNIUM」は一巻のまま放置され角川スニーカー文庫から徳間書店に代わり、タイトルさえも僕らの懐かしい友人でもあった「摩陀羅」という名前は失われ「僕は天使の羽根を踏まない」として「MADARA」というシリーズは作者的には終わりを告げた。
「MADARA MILLENNIUM」のあとがきにも僕達がうまく80年代を終わらす事ができなかったからみたいな記述があったと思う。そういえば僕が買った事のある角川スニーカー文庫は大塚作品だけだなあ。
charlieみたいなキャラクターの社会学者と背が高くて武装兵器みたいな魔を倒す能力があるような女子高生をコンビニしてみたいなラノベはありなのかなと最近思ってみたりする。
章タイトルは「多重人格探偵サイコ」の文庫版での中上健次の小説のタイトルを使うみたいにあえて社会学の本のタイトルを使ったりね。と思ったら角川スニーカー文庫賞もうすぐ締め切りだった。さすがに書けないな。
そういえば前に申し込んでみた東京マラソンのメールが「当選倍率は、マラソン約8.5倍、10km約13.1倍となっております。現在、10月中旬の当選者発表に向けて抽選作業を進めておりますので、結果発表までのスケジュールを改めてご確認くださいますようお願い申し上げます。」ってなっててマラソン走るためにも競争倍率に勝ち抜かないといけないなんて、しかもそれも運で。
当選したらまじめに走ろう。帰ってからランニングしてすぐにバテたから残りは歩いた。
「文化系トークラジオ Life」の宇多丸さんがゲストの回「表現する人・したい人〜一億総クリエイター時代?」を聞きながら走って歩いた。
ラジオを聞きながらってのもいいもんだ。辻仁成の「自己表現罪」で逮捕はやっぱり面白い。
古川日出男「4444」11話「四」配信。
http://mag.kawade.co.jp/4444/2009/09/11.html
日曜に青山ブックセンターである「ダンストリエンナーレ トーキョー 2009 ―限りなき瞬間― infinite moments トークイベント アーティストトーク:黒田育世×古川日出男」のwebチケットはまだあるみたいです。
高原さんの「現代日本の転機」と仲俣さんに借りたボルヘス「砂の本」を併読中。どちらもふだん読まない感じなので進むのが遅い。でも、普段読まないものを読むって事はこういうことなんだよなあ、たくさん読むと慣れるし、それまでの辛抱というか、SF系の小説なんかある意味で「未知との遭遇」だし。
- 作者: 森美夏
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木島日記 中 (角川コミックス・エース (KCA125-4))
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MADARA MILLENNIUM 転生編〈1〉 (角川スニーカー文庫)
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- 作者: 大塚英志,コヤマシゲト
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