Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「しんぼる」


ストーリー:家族と幸せに暮らすプロレスラー、エスカルゴマンはメキシコのとある町でいつもと変わらぬ朝を迎えていた。一方、水玉のパジャマを着た男は、目を覚ますと四方を白い壁に囲まれた部屋に閉じ込められており、途方に暮れ出口を必死に探すが見つからない……。

 
 松本さん演じるパジャマの男、ここではパジャマンにしときましょ。彼は目が覚めると真白い部屋に、壁になにやら突起物が、それはちんこみたいな物体、それを押すと天使がドバッと出てきてまた壁の中に戻る。壁中には天使のちんこの突起物が。それを押す度にさまざま物体が出てきたり、現象が起きる。


 パジャマンはなんとかして部屋から出ようと画策する。エスカルゴマンのパートと交互に展開する。


 部屋のシーンは笑いも多々起きていた。客は二十人ぐらいかなあ。二十代後半から三十代前半が多いかったかな、まあ世代的に松本人志シンドロームをもろに受けた世代が多い。


 この作品は観た感じだと評価しづらいというか、内容も解釈の仕方がいろいろあると思うので賛否両論になりそうな気がした。


 少しネタバレな感じがあるのでこれから観る時のために何にも知りたくない人は以下は読まないように。






 最初の真白い部屋でのちんこを押すと部屋の中で何かが起きていた。最終的に脱出したパジャマンがネクストステージというか次の部屋に行った後の映像に関してはパジャマンがまるで仙人のようになっている。


 パジャマンが壁を登っていく時にちんこを頼りに上っていく、そして起きる現象が部屋の内部ではなくエスカルゴマンや世界(部屋の外)でなんらかの事が起きるという描写になっている。


 舞い上がるようなパジャマンのバックで世界で起きている映像との合わせ方を観た感想は、数年前ならオウム真理教新興宗教のプロモーションビデオとして撮られていたかもしれないなあと思った。


 彼が世界の創造主ではないとしても、彼がちんこを押す事で世界に変化が起きているというのは彼が仙人や神さまのようになっている。


 だから、これは否定的な意見を言う人の中には松本人志の神宣言だって言う人もいるかもしれない。


 映画としては最後のシーンの行動からすると最初の白い部屋に戻るループ構造になるのかなって思ったりもする。たぶんループしそう。なんか普通な終わり方をする。尺は90分ぐらいなんだけど体感時間はもう少し長く感じたのはテンポの問題。


 最後にツッコミ的な視線がない、ダウンタウンなら浜田さんがいるんだけど映画にはないので「えっ?」っていう。


 ちんこが作り出している世界ってのが松本さんのイメージなんだろう。まるで母性的ではない世界観、ただちんこでいろんなことが起きている世界だけどさほど攻撃的でもない。


 仙人のように浮遊していくシーンで多少世界で起きている戦争とか攻撃的な映像も挿入されていたけど、もう少し意図的にすれば男性性が支配している世界だからこそ起きる戦争とかって皮肉にもなりえるんだろうけど、そうしている感じもあんまりしない。


 エスカルゴマンは家を出るときからなぜマスクをしているのかっていう疑問と中年太りなだけでプロレスラーって感じがまるでない。対戦相手やパートナーはもろにレスラー体質なのに。


 松本さんのコントとか好きな人は観に行くのはいいかもしれないが、そうでもない人にはあんまりオススメは出来ない感じ。


 観た感想はおもしろいっていうのとも違うし、シュールだなっていうのとも違うし、つまんねえっていうのでもない。


 エスカルゴマンの妻とか妹はでてくるんだけど前作「大日本人」もそうだったけど女性って感じの人が、あんまり出てこない。UAがマネージャー役で出てたけど。


 だからよけいにちんこ的な発想の作品な感じがするのかな。


 パジャマンは誰とも会わないし、エルカルゴマンに感情移入はできないし、観客としては感情移入しないで起きる出来事を観てるだけだから観終わった後に感想が抱き辛いのかもなあ。


 映画を観たって感じはあんまりない、アートフィルムを観た感じに近いのかもしれない。

大日本人 通常盤 [DVD]

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