「1Q84」<4月ー6月><7月ー9月>の二巻を読了。二冊で千五十ページぐらいか、予想よりも早く読み終わった。どう考えても今年の文芸作品の中では一番のトピックだろう、しかもいきなり六十万部以上売れた、この出版業界大不況の中で。これでノーベル文学賞取ったらもはや最強、まあ今の時点で最強なんだが。
読み終わる前に読み終わった人の感想というか感じを何度か見ていたが、あと仲俣さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/solar/20090529#p1)も読んでいたわけだけど読み終わって僕も思った、これ終わってないよね?って。僕も読む初めの頃からよく上下巻みたいな言い方をしたけど、この作品は<4ー6月><7月ー9月>と区切られている。秋ぐらいに出そうだなあ<10月ー12月>がと思う感じの終わりというか続きそうな気配。
一切中身の情報を発売日まで出さなかったことが一気に売れた要因でもあるんだと思う。しかし、村上文学の特徴は出ているけど今までの長編と何か趣が違うような感じを受ける作品。
どことなく「繋がり」とか「想い」がまあそれを世間一般では「愛」とか言うんだけどもそれが間接的に出てる、現実世界と少し違った世界、ファンタジー的な要素が絡んでいる。使われる表現は好き嫌いが分かれる村上文体であり、性的な表現もまた村上作品独自なもの、あとお酒がよく出てくるし、主人公がパッパと料理を作る辺りが彼の作品らしいって読みながら思った。
新潮の長編シリーズで言うと「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「ねじまき鳥クロニクル」「海辺のカフカ」に続く「1Q84」という流れ。
今回の作品の中にはエルサレム賞を受賞した際に語られたこと。「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と、イスラエル軍によって1000人以上のガザ市民が命を落としたことをイスラエルのペレス大統領の面前で批判した。さらに「私たちはみな国籍や人種・宗教を超えてまず人間であり、『システム』という名の壁に直面する壊れやすい卵なのです」と語った。スピーチの途中からペレス大統領の顔はこわばってきたという逸話も関係しているだろう、受賞の際にもこの作品は書かれていたはずだから。
あとこの作品なんて説明したらいいのかよくわかんない、一度読んでも理解できない、僕は。ただ、僕も主人公の一人の「天吾」は村上氏自身がかなり投影されている感じがした。キーワードとしての「リライト」が彼にとっての海外文学の「翻訳」だということは明らかに意識して書いてあるはずだから。
世界を捉えるために必要なことをここに物語の形をして示した感じすらした、続きが出るのならもちろん読むのだけど、なんか集大成みたいな感じがどうもしてしまうんだけど、気のせいかな。
この流れで一度読んでからまったく開いていない、あるいは封印されたかのような古川日出男「聖家族」を読み直そうか悩む、やっぱり「ゴッドスター」かなあ。頼んだエリクソンのペーパーブック来ねえしなあ。
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昨日は246沿いでロケをしていた。聞いた話によると「スマイル」だっけな、パトカーがあって、マツジュンが撮影していたらしい。姿は見てないけどドラマも大変だなあというかロケって大変だよなあ。主題歌の「ありあまる富」は聴きまくってんだけどドラマは見たことない。
唯一毎週見てるのが「天地人」なんだが、先週は石田三成(小栗旬)で今週は真田幸村(城田優)ですよ、本当に兼続(妻夫木聡)と繋がってたの?って気もしてくるんだけど史実にどれだけ忠実なんだろうって思っても史実なんて簡単に覆るしなあとも。でそのうち出てくる伊達政宗は松田龍平ですよ。イケメンだらけじゃねえか、イケメンをもっと押すなら味のある脇役には男前じゃないやつをでも演技力あるやつとかしないと効果ないような気がする。
イケメンがいっぱいいたら平均値が上がって普通になっちゃうんじゃないのかなって、まあ女子を捕まえるためにテレビ局もなりふり構わずだよなあ。だからこそテレ東は「おねだり!!マスカット」でもっと深夜に男子にエロを与えて欲しいものです。
ここ何日かでやけにシャッフルで「群青日和」がかかる。昔からというか田島昭宇さんの画が好きで彼の画集とか買ったりイラストが載った本とかを見てきたせいかどうもワンピースでギターをかき鳴らす女がカッコいいと思ってしまう、実際に見ないし、見たことがない。
そこに美貌があって、孕んでいるのが狂気であればあるほどに美しい、そして儚い。産み落とすのは祈りと懺悔の双生児。
【HQ】 東京事変(Tokyo Incidents) 「群青日和」 2007 Spa & Treatment