Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「Lords of Chaos」

園子温監督“ブラックメタル”で英語作品デビュー
http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d00000nx15h.html


 園子温監督の最新作は「Lords of Chaos」というタイトルで北欧諸国で暴力や殺人、教会への放火などの事件を引き起こしたブラックメタル音楽と、そのバンドやミュージシャンたちにまつわる実話を描いていく内容らしい。「愛のむきだし」、そして「ちゃんと伝える」が夏に公開、九月から「Lords of Chaos」がノルウェーでクランクイン。


「ちゃんと伝える」公式
http://chantsuta.gyao.jp/


 「愛のむきだし」と同様に「Lords of Chaos」も実話らしい、実話というノンフィクションを映画というフィクションで語る、物語る時にはそれを創る監督、脚本家の自意識や美意識、宗教観に、道徳、モラル等のフォルターを通すことでノンフィクションがフィクションへと昇華される。失われる事実もあるし、加えられる嘘もある、それが一つの形となることで創り手の意識と視点がノンフィクションとフィクションを再生し融合させる。


 でも、ブラックメタルとはなんだという疑問でお手軽にwikで調べると映画化される実話に関係してそうなのは↓


 1:ブラックメタル(英: Black metal)とは、ヘヴィメタルサブジャンルの一つ。速いテンポのドラムに、金切り声のようなボーカル、音を高めにゆがめたギターでのトレモロピッキングなどを特徴とする。


 2:1990年代には、ノルウェー出身のバンドが活躍し始め、ブラックメタルという音楽をよりハッキリさせた。
 

 3:歌詞の内容には、サタニズム及び黒魔術への傾倒を特徴とする、反キリストを強く打ち出したものが多く含まれており、ブラックメタルバンドの中には、ペイガニズムやナチズムを掲げるものも多い。元はノルウェーを中心とした、スカンディナヴィア地方が本場だったが、現在ではフランスやウクライナをはじめ、ヨーロッパ、南米、北米、東アジア、東南アジア、オーストラリアなど世界各地のアンダーグラウンドでシーンが築かれている。


 4:ノルウェーの反キリスト教集団「インナーサークル」(Inner Circle) の存在が大きい。彼らは教会への放火、十字架の破壊、殺人、窃盗、自殺などと数々の事件を起こした。アンダーグラウンド主義の元、メジャー音楽に攻撃をしかけるまでにもなり、ツアー中のアーティストの家を放火・ツアーバスを転倒させる、等の行動も起こした彼らは、ブラックメタルマフィアとも呼ばれた。(詳細は→インナーサークル)


 5:集団内の格付けは行った犯罪の大きさで決まったと言われている。中でも最も有名なのは、Burzum の中心人物、「Count Grishnackh(カウント・グリシュナック)」こと「Varg Vikernes」による、インナーサークル及び Mayhem のリーダーであった「Euronymous(ユーロニモス)」こと「Øystein Aarseth」の殺害である。この事件で「Vikernes」が捕まり、懲役21年という重罪を受けた事をきっかけに、インナーサークルの犯罪が次々と発覚し、初期のブラックメタルシーンは崩壊してしまう。


 園さんのニュースに書かれていた:カウント本人は最近、殺人罪の刑期を終えて釈放されたばかりだ。って人はあきらかに↑の人。大丈夫なのか撮影してて本人来ちゃったら、いや本人を出す可能性もあるよなあ。園さん普通にそいつに会いに行って一緒に酒飲みそうな気がする。あの人ならそれしても不思議じゃない。


 「愛のむきだし」の東京フィルメックスでの園子温×宮台真司対談で次回作(ちゃんと伝えるではなくて、こっちの作品のことだったが)でも宗教に関することって園さんが言っていて、でキリスト教が関係するって言われてたけど、ブラックメタル自体が「サタニズム及び黒魔術への傾倒を特徴とする、反キリストを強く打ち出したもの」というものだから関連はするだろうなあ。しかし、これは「自殺サークル」みたいに血が出まくりの感じのちょっとホラーみたいな感じか、こりゃあ絶対にR15っぽい気がする。


 全然関係ないけど昨日、二日前だっけな、杉作J太郎のレジをした。この人は漫画家だよな、たぶん。


 深夜の立ち読みで音楽コーナーにSWITCHの特集:椎名林檎[音楽家のタブー]ってのがあったので写真を見た。椎名林檎ってやっぱりセルフプロデュースできてる人なんだなって写真見ながら思う、じゃないとそういう写り方というか撮られ方しないだろうし、見る側の視線がわかってんだろうな。


 椎名林檎Dragon AshのKjはタメ年でどちらも世代を代表するミュージシャンだし価値観を変えたアーティストだと思うんだけど、今の若手の女性ミュージシャンで椎名林檎ポジションに近い人って誰なんだろう? なんとなくミドリのボーカルかって思うけど彼女たちは「大阪のいびつなJUDY AND MARY」の異名を持つらしいので違うのかなあ。


 椎名林檎は歌詞見れば「カートやコートーニーみたいじゃない」に代表される洋楽の影響を受けてる人、まったく受けてないわけじゃない。でも、今は洋楽ロックに憧れることが絶対的に少なくなってる、昔は洋楽ロックの方が上で邦楽ロックが下みたいな空気があったんだろうし、ミュージシャンも海外のアーティストに憧れてたけどその辺りはもう低下してるというか別物って空気感があると思う。
 「カートやコートニーみたい」はもう十代や二十代前半にはさっぱりだろうし、「ニルヴァーナ」というバンド名すら共有されてない、どっちかというと音楽よりはファンション好きな連中の方がデザイナーがモチーフに使ってるから知ってたり聞いてたりするのかな。


 「さよならカート・コバーン」ってタイトルの話を昔考えたことがあった。地方に住む高校男子が主役で、十六ぐらい年の離れた兄がいて、誰も言わないが兄がどうやら実の父みたいな感じがしていて兄は東京に住んでいる。彼からもらったニルヴァーナのアルバムを小学高学年ぐらいから聞いて、でも周りはニルヴァーナなんか知らない。唯一の友達の恋人が強姦される、二人はその犯人を探し出す。それは警官だった。友人は殴りこみ、拳銃を奪って警官を撃つ。友人と彼女はこの町から出て行こうとする。その前に拳銃を渡される。


 兄が帰省で帰ってきて、主人公とセフレみたいな関係になっている近所の美容室の二十五ぐらいの女と寝る。兄はそれがどうしたことないという感じで主人公に接する、しだいに苛立ちが高まってくる。兄に父なのかどうかギリギリの所で聞けない、そして我が家では話にのぼらない、いたはずの姉の存在も聞こうとするができない。大きくなるにつれて近所の目が、なにかおかしくなってきている。父や母に似ているとは言われない、姉に似ていると言われたことが引っかかっている。


 隣の部屋で美容室の女とわざとやっている兄、だから彼はニルヴァーナを爆音でかける、引き出しにしまった拳銃を取り出してお守りのように握って目を閉じる。CDが停止して隣からの声は聞こえない。下に降りて行くと上半身裸の兄がビールを飲んでいる。話しかけられるが無視して自室に、ニルヴァーナのアルバムをベッドに投げて拳銃で撃つ。銃声が家に響く。拳銃をもったまま一階に降りて拳銃を向けて問う。「俺は兄さんと姉さんの子なのか」と。


 思いっきり「松ヶ根乱射事件」と「ゆれる」からの影響がある感じ。地方を舞台にした作品がこの数年でいっぱい出たけど閉塞感みたいなものを書くことで人間性とかそこにあるゆがみとか露になる。「腑抜けども、悲しみの愛をみせろ」もそうだったけど。本谷有希子さんはそういうの書くと上手い感じ、小説「グ、ア、ム」とか。感じがすごく出てた。

RINGO FILE 1998‐2008

RINGO FILE 1998‐2008

SWITCH vol.27 No.6(スイッチ2009年6月号)特集:椎名林檎[音楽家のタブー]

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松ヶ根乱射事件 [DVD]

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ゆれる [DVD]

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