Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「東京ミカエル」

 寝れないので村上春樹世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」下巻を一気に読み切る。新刊「1Q84」が出るまでに「ねじまき鳥クロニクル」シリーズは読めそうな感じ。


 読み終わりの感想はたぶん読む前に有名な話だからなんとなく知っていたのか、まあ上巻の途中ぐらいで二つの世界の繋がりはわかったのもあったけど壮大な自分の話だなあ、壮大じゃないのか、内なる自分の世界と実存の世界に接している自分、っていうのは好きな世界観だった。
 

 壁や影、一角獣と様々なキーワードが出てきた。おそらく僕のように過去の作品を読んでいないのにもかかわらず何か知っているような気がしてしまうのは、彼に影響を与えられたchildenがその後に世に出した作品や表現を観たり聴いたりしてきたからなのだろう。知らないうちに影響を与えられている可能性。


 壁っていうとなんだろう、「東京ミカエル」を思い出した。この作品は「17歳の少年少女だけが巨大な壁に囲まれた東京で目覚め、定期的に彼らを「間引き」しにやって来る軍隊から1年間生き延びるゲームを強いられるという話」で大塚英志原作・堤芳貞漫画の作品。僕は小学生の時から兄が買っていた影響で「摩陀羅」シリーズ読み、中高時代も、今現在も大塚英志関連作品を読んでいる。大塚氏は読者が文学に出会う装置を作品に配置していると何度か後書きで触れている。


 でも「東京ミカエル」は大江健三郎の小説『芽むしり仔撃ち』がモチーフだったかな。作中のキャラクターの名字が大江、三島、中上、江藤と僕は詳しく知らないがそれなりに因縁や関係のある大物作家の名字が使われている。そんなわけで上京資金を貯めて実家でフリーターをしていた二十歳前に、コンビニの弁当工場に昼休みにW村上作品を読んだり、「ライ麦畑でつかまえて」などを読んでみたりもした。


 でも、あの年はツインタワーに旅客機が突っ込んで世界の軸と何もかもが違う方向へ向かってしまった年で読んだ本の内容は何一つ覚えていないし、読んだ本が自分にきちんとハマらなかったんだと思う。


 そんなわけで七年とか経過して村上春樹作品の代表作を今更読んでみたりしている。そういうのは出会いとかきっかけの問題だ。古川日出男作品を読めば読むほど、古川さんが影響を与えられた村上作品を無視できない。
 「世界〜」を読み終わって、以前にハードカバーで読んでいた「ルート350」の文庫を読み始めた。僕に古川日出男作品を読むきっかけをくれた人は三人いるが、その一人である仲俣さんが解説をされている。


「海難記」(古川日出男『ルート350』の文庫解説を書いた。) http://d.hatena.ne.jp/solar/20090421


 去年「聖家族」を読んだせいか長い作品もわりと読めるようになっている気がする。


 最近ずっと右足の土踏まずが痛いのでネットで調べたら足底筋膜炎という症状らしい。特に朝起きて立ち上がると痛みが増強する。日中は痛みが軽減されるが、体重をかけて運動すると再び痛みが増強するのが特徴ですってのがまんま当てはまる。でも原因を読むとどれもたいして当てはまらない。
http://www.geocities.jp/junyoshida119/chiryousokutei.html

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

東京ミカエル―Seventeen’s wars (上) (ニュータイプ100%コミックス)

東京ミカエル―Seventeen’s wars (上) (ニュータイプ100%コミックス)

東京ミカエル―Seventeen’s wars (下) (ニュータイプ100%コミックス)

東京ミカエル―Seventeen’s wars (下) (ニュータイプ100%コミックス)

ルート350 (講談社文庫)

ルート350 (講談社文庫)