金曜は地元の岡山の友達が来て、専門の同級生が北海道から来た。友達が来た日だったわけで、その日のBGMはゆらゆら帝国「バンドをやっている友だち」だった。なんだか非常にマッチした。
昨日は起きてから買い物に行ったりして、本屋をぶらついたら古谷実「ヒメアノ〜ル」の最新刊五巻があったので購入。「新潮」の最新号で作家の日記が載ってて古川日出男さんのとこだけ立ち読み。
「ヒメアノ〜ル」はなんだろう、この凄さっていうか突き刺さり方。彼のゼロ年代以降の作品は特に「ヒミズ」以降の、「ヒミズ」「シガテラ」「わにとかげぎす」「ヒメアノ〜ル」にあるアンチ「セカイ系」の流れは批評的でもあると思う。
漫画を読んでいるとすごく現実感がする、君と僕だけのセカイではなく、社会とか他者が主人公達が関わりたくなくても入り込んでくる。夢を魅させることが漫画や映画、小説や音楽などの創造物にとって大事だという人もいる、でも、この作品は明らかに夢から醒まさせることにある。
これは僕が大塚英志氏の影響下にあるので余計に大事なことだと思っている部分。
大塚英志「僕は天使の羽根を踏まない」文庫版あとがきには
少し前、物語の中途で現実を突きつける類の小説が嫌いだ、と、ある優れたノベルズ作家が書いているだか発言したらしい、と誰かのコラムで読んだ記憶がある。ああ、それは例えばぼくの書いてきた小説のようなものを指すのだろう、と思った。作者は読者が小説のページを開いている間は読者が現実ではない世界を生きる権利を保証すべきだ、というのが多分、その作家の考えるプロとしての作家なのだ、と思う。それはそれで正しい。しかし、ぼくは中途でしばしば物語ることを放棄するし、読者に小説の外側の世界をいつも突きつけようとする。なるほど、しばしの間、夢を見ていた読者にとってぼくは迷惑で無責任な小説家なのだろうが、しかし、ぼくにとって小説は夢を見せるためではなく、醒めさせることのためにある。
それは小説だけではなく、まんがや批評めいた文章や、あるいは大学の教壇で授業をすることを含めて、ぼくの表現はすべからく、夢を見せるためではなく、夢から醒めさせるためにある、と言える。
夢を見る事は気持ちよい、気持ちよい夢ならば。だけども眠りの中に救いはない。現実の中で戦うなり、見つけるなり、あるいは奪うしかない。そういう意味で本当に力がある、影響力がある作品というものは僕らの現実と直結しているものじゃないだろうかと改めて思う。
フィリップ・K・ディック「流れよわが涙と、警官は言った」を四分の一程読む。前に読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」よりも好きかもしれない。というかディックの世界観が好きなんだと思うんだけど、これは早々にきてる、なんか物語に誘惑されてる感じ。
帰ってからフジテレビの「忘文」に古川日出男さんがゲストで出てるのを見る。稲垣吾郎さんと対談みたいなトーク。少しだけVTRで古川日出男×向井秀徳の朗読ギグが流れたりして、フジテレビやりおるなあと。
起きる時間、寝る時間は毎日決めて同じ事を反復する、イチローみたいな感じでやって積み重ねることで突き抜ける。
儀式を積み上げて突き抜ける。by 古川日出男
彼が今まで言っていたことを同じく言っていた。作家としての信条にブレはない、来週もあるみたいなので楽しみ。「ハル、ハル、ハル」の朗読ギグをしていた。「ハル、ハル、ハル」の冒頭はやっぱり物語の始まりとしては強度がありすぎる。ただ、思いっきり編集されて短かったけど、超短い、いや、短すぎるだろ、あれは。
で、ポッドキャストで「ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル」でのワンコーナー「ザ・シネマ・ハスラー」は今週は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」だったんだが、出したメールが読まれた。作品の否定してる側としての意見で。やったぜええ、だが宇多丸さんが僕のメール読む時に冒頭でソッコー噛んだ。ポリープからの復帰おめでとうございますって映画の感想前に書いたとこを読んで、あれ? みたいな感じだった。
「ボクらの時代」は映画「ゴールデンスランバー」の中村監督×堺雅人×竹内結子がゲスト。原作は発売と同時に読んですげえと思っていたのと監督が「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」の中村さんなので問題なしだろうと。今週の休みに観に行く予定なので楽しみ。
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