いつも通り本屋に行き新刊コーナーをちら見。目的は古川日出男著「ルート350」の文庫本。これで文庫化していない書籍は「LOVE」「ロックンロール七部作」「僕たちは歩かない」「サマーバケーションEP」「ハル、ハル、ハル」「ゴッドスター」「聖家族」になった。
「LOVE」「ロックンロール七部作」辺りはもう文庫化してもおかしくないぐらいハードカバーで出てから時間が経過している。「僕たちは歩かない」は短編と言えるぐらいの短さなのでこれで単独文庫にはしなそうだ。
「サマーバケーションEP」「ハル、ハル、ハル」「ゴッドスター」は07年発売、ちょうど去年一気に読む機会に恵まれた僕はこの三つを初期作品読むよりも先に読んで古川日出男という作家の文体が好きになった。そんな流れで文庫化した「ルート350」もハードカバーで購入し読んでいた。8つの短編集が収められた本だった。「一九九一年、埋め立て地がお台場になる前」の印象が大きかった。
「飲み物はいるかい」を文庫で読んでみた。ああ、本当に仲俣暁生(http://d.hatena.ne.jp/solar/)さんが解説に書かれていたようにここに収められている作品は「閉じられた場所」がモチーフだった。「飲み物はいるかい」は小さいな「サマーバケーションEP」みたいだなと読み直して思った。
東京を歩いて、歩いて、例えば川の流れに沿うように歩けば、東京湾にやがて辿り着く、神田川の源流から隅田川に呑み込まれるまで、そして隅田川が東京湾に注いでいくのを歩きながら体験として見た僕はこれが「現実」と「現実のレプリカ」の物語であるとやっぱり思ってしまう。
川沿いを歩けば橋が、色んな名前を持った橋を通過していく。流れはしだいに大きくなり、混ざり合って最後には海に辿り着く。
古川日出男という作家の作品を読めば、古川さんの名前にある「川」をモチーフにした物語群がたくさんあることに気づく、古川日出男作品はひとつずつの物語の「川」がいくつもの時間をかけて集まり大きな流れとなり、「海」に注いでいく、いや「海」となっている感覚、「海」というものが象徴するものが古川日出男文学にはあるんだとこれまでの作品を読むと思う。
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