『新潮 7月号』を購入。きちんと読めるのは明日水曜日だが、まずは古川日出男書き下ろし新作『冬』(170枚)に、野田秀樹『ザ・キャラクター』(戯曲)、第23回三島由紀夫賞発表 【受賞作】東 浩紀『クォンタム・ファミリーズ』、大江麻衣『昭和以降に恋愛はない』と読み応えがあるというか、『新潮』は毎号攻めているので最近は毎号買っている唯一の文芸誌。いつかこの文芸誌に小説載ったらなあって思う。
古川日出男さんは『MUSIC』が新潮社で出て、前作にあたる『LOVE』の文庫化は新潮文庫になった。この二作に連なる系譜の『ゴッドスター』は『新潮』に書き下ろして単行本化されたはずだ。
『ゴッドスター』はそんなに長い作品ではないけど好きな作品だ。明治天皇とか犬の伊藤博文とか、母になってしまった私や息子との湾岸地域の物語。中編なんだろうけど一気に読み切れるリズムがあって、文庫化したらもっと読まれるのかなって思う。その前に角川から『サマーバケーションEP』が文庫で出るみたい。その次が『ハル、ハル、ハル』は河出から文庫で今年には出るのかな。
『ゴッドスター』
ありふれたOLの私がひとりの男の子と出会う。
高速で光速な、時間。
「ママ」となる私、そして息子としてのカリヲ。
東京湾での物語、スピードが増していく、
建築中のむきだしのコンクリートの建物で
明治天皇と犬のイトウ・ヒロブミと出会う。
世界がぼうちょうしていく、高速が光速へ。
後書きにはレイモンド・カーヴァーが
スターティング・ポイントにいるってさ。
カーヴァー好きとしては好きな文体の速度。
『ハル、ハル、ハル』
暴力的な表現は、彼の文章は世界と対峙し、
胎児でなくなったもの全ては世界と対峙する。
彼の文章は対峙し対決姿勢であることの表明だろうし、
世界と対決する雰囲気が炸裂してる。
速度という武器、絶叫、飼い馴らされた感情、疾走、
希望も絶望もない日常。
世界にレイプされる自分、
Rape Meって歌うことでしかレイプ根絶に対して
表現できないって感じたカート・コバーンみたいな
叫びなのか。とか思ってしまった。
犯され続けてそのうち殺されてしまう前に
世界に圧倒的な他者に牙を向けるという自発的な意志を
持つ作家が古川さんなんだろうな。
確実に好き嫌いが分かれる作家。
何の疑問もなく生活できる人には毒にしかならない、
逆に疑問だらけの人には起爆剤になってしまう。
そんな感じの文章と物語、と速度と暴力。
炸裂して疾走しろ、ハル、ハル、ハル。
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