Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「沈黙」

 世界は詩のように崩潰する。       古川日出男「沈黙」より



 音、空気の振動からなる音、連なる振動の波動の連続、あるいは・・・。
 闇と音が再会をしてかつての関係は断ち切られて対峙した、現在進行形の過去を見ながら現在進行形の現在を、だからルコは音を手に入れた、いや音としてのルコとなる、そして闇と化した者へと対峙する。


 「沈黙」を読み終わる、しかし同時に収録されている「アビシニアン」は始まっていない。


 それから「野生時代」で開始された新しい物語の綴りの「黒いアジアたち」シリーズ・プロローグ「すきとおる浅い青いところからはじまるものと奥深い緑からはじまるもの」を読む、またも壮大な景色の片鱗が読みながら脳内に広がる、広大な物語の断片が、そこには在る。




 暗がりの中、吐く息は白濁とするかのような白さで、白くすぐに消える、すぐに吐き出される、ただの連なりとして、肺から出される空気はすでに冷たい。
 自分の中の闇があることを意識する、凍える、寒さが悪寒がブルブルと体を振るわす。僕の中のそれが意識的に認識できる。
 何かが壊したいような、壊れたいような衝動が一瞬、存在して吐く息みたいにすぐに消える、でもその肌触りのようなものがうっすらと輪郭を残して留まる、そこに。


 昨日、家に帰って朝方に起きる、久しぶりに梅酒を飲んだら普通に軽い二日酔いでとりあえず吐いた、時間が経っていたから胃液ばかりが出てくる、楽にはならない。
 脳が痺れている感覚、吐くことで何かに許されているような錯覚。一度痺れた脳のままで寝る、起きてから湯船にお湯をはって浸かる。
 脳内の痺れがなくなる。イメージが、いや物語の一部が着信する。今書こうとするものの思いもしなかった、自分の中では考えていなかった方向性が降りてくる。湯船の水と言ってもお湯の中で胎児のような気持ちになっているのかもしれない、例えばだけど。


My Bloody Valentine - To Here Knows When


 友人からもらったフジロックMy Bloody Valentineのライブ音源を聴いている。最近はこういう音のほうばかり聴きたくなる。



TBS RADIO 文化系トークラジオ Life
※スピンオフ特番放送決定! 2009年1月17日(土) 20:00〜21:00 
Life特番「2009年のチェ・ゲバラ」を放送します。


スティーブン・ソダーバーグ監督、ベニチオ・デル・トロ主演の映画 
『チェ 28歳の革命』(1月10日公開)、『チェ 39歳別れの手紙』(1月31日公開)
http://che.gyao.jp/に連動した企画です。


出演:鈴木謙介(charlie)、橋本努北海道大学准教授) ほか
詳細はあらためて告知します。


 とのこと。二部構成じゃないけど映画二本を少しだけズラしてやるのか、ちょっとは観てみたい。でも一時間は短いね、PODCASTではもっとあるんだろうけど。


 僕は同時期に公開の園子温愛のむきだし」を押すけど。できれば「Life」で特集してほしかったな。
 「愛のむきだし」はcharlieの師匠でもある宮台真司氏も東京フィルメックスの園さんの対談でも絶賛してたし、そこで師弟対決じゃないけど、どう見方が違うのかなとか聞いてみたかったりするし、園さんが「Life」で暴れたら絶対に面白くて深いことを言うと思うんだよなあ。


 「2009年のチェ・ゲバラ」じゃないけど「愛のむきだし」の衝撃の具合ってある種の「革命」性がすごくあって、「チェ・ゲバラ」も実話を基にしてるけど「愛のむきだし」も実話がベース。
 「チェ・ゲバラ」の物語に触れると何かが変わったりモノの見方が変わるんだと思うんだけど、「愛のむきだし」にもそれは多分にあって、邦画好きだけどこういう映画をもっともっと多くの人が観て感じるようになったら嫌でも作り手は変わるから、そしたら邦画はもっと可能性が増すから、観客に媚びない映画がもっとあるべきだから。
 作り手の内面を、いや魂をぶつけられるような、それで吐き気すらするような、衝撃の、あるものが。



エクス・ポナイト VOL.3
http://ex-po.net/


 もう半月後、とりあえず行くのは二日目の30日。


《12月30日》

●LIVE
group_inou
HOSE
大友良英×ジム・オルーク
フルカワヒデオプラス(古川日出男 + 植野隆司(テニスコーツ)+ イトケン(d.v.d) + 戸塚泰雄(nu))

TALK
*「小説と小説以外と小説」岡田利規×長嶋有×福永信
*「メタ国家論とサブカル(チャー)」鈴木謙介×萱野稔人×東浩紀
*「増殖するカオスモス大友良英×宇川直宏×菊地成孔


 今年最後のイベントになりそうなのでのんびりとトーク聴いたりライブ観たり、酒飲みつつ。