Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『アイラブトーキョー』


勇敢さだけでは物足りない
街を歩く足取りたち
すり減るラバーソール
恋人たちの繋がれた手のぬくもりだけがリアリティ
書店の店頭に置かれた書籍は風と埃に立ち向かう
素晴らしいものはいつだって
足蹴りされて見落とされていく
不思議なことだけどそれはきっと本当のこと
風俗店の看板の猥雑さが優しいように思えるほどに
建物の間と間からまるまると肥えたネズミが駆けていく
歪んだ都市空間の野生生物の人工化
たくましさとせつなさとが撹拌されて
時折車に轢かれて中身を晒しだす朝焼け
君の瞳に映ったゴジラの頭部
いつか大きな地震が来て落ちてきた時に
アイラブトーキョー
叫んでいたのはネオン色のカラス
その足には潰れたネズミの肉片
酔いどれが電柱にションベンを引っ掛ける後ろで
いちゃつく男女のwaltz
ゴミ袋破けて赤いハイヒールが鳴った