浅野いにお作品集「Ctrl+T 浅野いにおWORKS 」に収録されている短編「ひまわり」の読了感は彼の短編にある仄暗さとどうしようもなく存在しているであろうリアリティが入り込んでいて、決して救いのある話ではないが惹かれてしまう。
東京だろうか、大都会、大都市から戻ってきているかつての同級生の女の子。彼女とはかつてセックスをしたようなそんな関係だったり、彼女は都会で結婚して離婚して地元に戻ってきているという背景はおそらく何処の地方都市にもいる女性。そんな彼女と再会する。そこにある不穏な空気、性的な匂いが僕らにも起こりえるかもしれない、どこかで起きているであろう気持ちにする。
浅野いにお短編集「世界の終わりと夜明け前」に収録の「東京」などはまさしくノスタルジーが現在から過去へ、そして現在から未来へと渡っていく、かつて幼かった自分と彼の周りにあった環境、変わってしまったものへの情景やなんか、読んでいてある種の哀しみが沸く、浅野いにおの物語の上手さは短編で特に出ていると思う。心のどこかにある風景を彼の物語は引きずりだしてしまうからだ。
ひたすらセックスをしているカップルなりセフレなりの話、彼らはセックスをしている間に世間ではなにかが起きているのに彼らは排他的な性を満喫して世界は単純なまでに進んでいくという感じの。岡田利規著「わたしたちに許された特別な時間の終わり」も渋谷のラブホテルでという話なんだけどももっとポップで猥雑な山本直樹さんの短編みたいな読了感のある小説を書きたいなって思った。まだ未見の映画「浜辺の女」もわりとそういう話らしんだけど、今はそういう話がなんでか書いてみたい。
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