Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『いぬやしき』


GANTZ」の奥浩哉による人気コミックで、テレビアニメ化もされた「いぬやしき」を、木梨憲武佐藤健主演、「GANTZ」につづき奥作品の実写化を手がける佐藤信介のメガホンで映画化。会社や家族から疎外されている、定年を目前に控えた初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎。医者から末期がんによる余命宣告を受け、虚無感に襲われた犬屋敷は謎の事故に巻き込まれ、機械の体に生まれ変わる。犬屋敷と同じ事故に遭った高校生の獅子神皓も犬屋敷と同様に人間を超越した力を手に入れていた。自分に背く人々を傷つけるためにその力を行使する獅子神。獅子神によって傷つけられた人たちを救うためにその力を使う犬屋敷。強大な力を手に入れた2人の男たちのそれぞれの思いが激しく交錯していく。犬屋敷役を木梨、獅子神役を佐藤が演じるほか、伊勢谷友介斉藤由貴本郷奏多二階堂ふみらが出演。(映画.comより)


 TOHOシネマズ渋谷にて鑑賞。客は三割いたかなあぐらい。『レディプレイ1』とか『名探偵コナン劇場版』がやってるとさすがにきつい公開かもしれない。
 観ようと思った理由は予告編は面白そうだと思ったから。連載してる『週刊ポスト』の「予告編妄想かわら版」でも取り上げた。


余命三ヶ月の孤独な男・犬屋敷壱郎(木梨憲武)と平凡な高校生・獅子神皓(佐藤健)がある日、「人ではない存在」になってしまう映画『いぬやしき』(4月20日)。犬の散歩中だった犬屋敷と獅子神がいあわせた場所に何かが堕ちてきて爆発。死ななかった二人は神か悪魔かのような不思議な能力を得ます。
 予告編では、母を心配する優しい少年だった獅子神が豹変し、新宿の巨大ビジョンに現れます。
「これは日本と僕の戦争です。一億二千数百万人が一人もいなくなるまで殺していくから」と彼が告げると、そのビジョンが大爆発し、人々が逃げ惑っているシーンがあります。何が彼を悪魔のようにしたのでしょうか。
「人を殺すのはもうやめてくれ」と獅子神に言う犬屋敷ですが、娘が彼に人質に取られてしまうようです。背中にはロケットのようなものが生えているのが見えます。ジジイvs高校生の新宿上空250メートルのバトルは、まるでジェットコースターのような映像体験かもしれません。
 ここからは妄想ですが、犬屋敷は暴走する獅子神を制して、彼のすべての罪を背負って死んでいこうとします。しかし、「機械の体」のせいで死ねなくなってしまったことに気づいてしまう。犬屋敷は東京の上空を飛びながら、とんねるずの『一番偉い人へ」を口ずさみながら永田町へ突っこんでいくのでした!


 っていう内容でしたが、『いぬやしき』は『亜人』よりは佐藤健がよく、久しぶりに二階堂ふみがよく思えた。高校生役のメインがリアルな高校生世代でなかったのがよかったのか。三吉彩花はこれまた二階堂ふみも出ていた『熱海の捜査官』でのイメージが残っていたけど、なんだかすごいキレイな感じになっていて女子高生感あんまりないけどいいか。あと漫画を描きたいって夢の話とかは特に物語には関係なかった。これなら『最終兵器彼女』できるじゃんと思ったけどずいぶん前に実写でやっていた。観てないけどこのぐらいのCGとかできちんとエロさもあればNetflixでやればいいのになあ。
 あと観て思った一つにネットやスマホのせいで他者への攻撃性や無関心さに対する忠告のように感じられるみたいな部分があったけど、あれは元々の漫画にあったのか映画用なのかどうなんだろう。獅子神が悪魔みたいになっていく理由の一つに母親のことがあるのだけど、2ちゃんねる的なネットの書き込みとかをしている奴らがディスプレイやスマホの画面を見ていると画面に獅子神が現れて彼らは殺されてしまう。その描写はかなり嫌味な感じも覚えるけど、重要なことだと思えた。新宿を飛び交う場面はきっと3Dとか立体的に観たらもっとヤバいんだろうなあ。木梨憲武ことノリさんは普通におじいさんに近い弱々しい中年だったけど違和感なくて、驚いた。飛びながら都庁とかの超高層ビルにペレって書いたりする感じは今回はなく、シリアスな感じ。『亜人』も『無限の住人』も『いぬやしき』も人ではないものになってしまって死ねない肉体というのはやはりゼロ年代初頭のゾンビ的なものの先にあった表現の一つだと思う。