Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ペーパームーン』


http://asa10.eiga.com/2017/cinema/723.html
 開催中の午前十時の映画祭8で上映している『ペーパー・ムーン』をTOHOシネマズ新宿にて鑑賞。タイトルは知っているけど、観たことのない作品。朝起きてネットで何かやっていないかと探していたらちょうどいい時間にあったので寝起きで新宿三丁目まで電車で。

<物語>大恐慌時代のカンザス。聖書販売の詐欺師モーゼ(R・オニール)は、昔の彼女が亡くなったと聞き葬儀に訪れる。そこで彼女の娘アディ(T・オニール)と出会うが、居合わせた人たちからアディをミズーリの親戚の家まで送り届けるよう頼まれる。モーゼはアディを適当にあしらい列車に乗せようとするが、頭の切れる彼女は逆にモーゼを脅し、ミズーリまでの旅を承服させた。旅を続けながら、モーゼの聖書詐欺に相棒として加わるアディ。だがある街で、トリクシー(M・カーン)というダンサーを同乗させることになり…。

 シンプルな話であるだけに作品の強度が強い。実際には親子だった主演のふたりの顔つきがいい。僕はこの映画を観ようと思った一番の理由は映画の舞台が大恐慌時代の1935年ということもあった。祖母の兄である初生雛鑑別師だった大伯父が1939年にロサンゼルスに一年渡っていたので、その当時のイメージを知りたかった。アメリカも第二次大戦が終わる10年前だが、コンクリートで舗装されているわけではなく、車が飛ばしていく横を農家だったり貧しそうな人たちが歩いていたりする。野原がずっと地平線まで続いている。まだ、アメリカも自動車大国としても未熟な感じを受けるし、カンザスは農業地帯だろうか、都会ではない。そこを詐欺を重ねがらも生き延びていく血の繋がらない二人のロード・ムービー。最後はモーゼが今までの報いで殺されるかと思ったらそうはならなかった。『イージー・ライダー』のラストのような悲惨さはない。穏やかな時代ということも物語に反映されているのかも。



 『屋根裏の仏さま』(ジュリー・オオツカ/著、岩本正恵/訳、小竹由美子/訳)
http://www.shinchosha.co.jp/book/590125/
<物語>百年前、「写真花嫁」として渡米した娘たちは、何を夢みていたのか。厳しい労働を強いられながら、子を産み育て、あるいは喪い、懸命に築いた平穏な暮らし。だが、日米開戦とともにすべてが潰え、町を追われて日系人収容所へ――。女たちの静かなささやきが圧倒的な声となって立ち上がる、全米図書賞最終候補作。

 日系人収容所がかつてあった。去年、ロサンゼルスに行った時にダウンタウンリトルトーキョーにある全米日系人博物館によった。そこには彼らが戦時中にいきなり住んでいる場所を追われて、収容所に入れられた歴史が展示してあった。そのことは日本に住んでいるとあまり知られていない出来事だと思う。大伯父のことを調べていたら、彼をアメリカに読んだのは日系移民の人だったことがわかり、以前から彼らがどうなったのか興味を持っていたので、アメリカに行った時に寄った。三世やそれ以降の日系の人々はアメリカ人として生まれ育っているので一世や二世の人たちとはアメリカという祖国とかつての祖国である日本に対しての感情は全く違ったのっだろうとは想像できる。自分がそれについてどう書けるのかということもあるが、あったことをあったと書くことはやはり必要だと思う。