Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『タンジェリン』


 『ブルータス』で園さんと対談してたショーン・ベイカー監督『タンジェリン』を観に久しぶりにイメージフォーラムに。『牡蠣工場』以来な気がする。
 iPhone5で全編撮影されたらしい、というのは聞いてたけどLAのトランスジェンダー・コミュニティを主人公の二人をメインにして描いている。まあ、みんな巻き込まれていく感じで自分が巻き込まれたら本当に嫌だと思った。あと、声がどう考えてもデカイんだけど、あれは近くにいたら逃げるだろうなあ。でも台詞のやりとりもいいし内容が面白い。口先から機関銃みたいに話が止まらない、正確に言えば勘違いしているのにムカついた気持ちを並べ立てて自分の非や間違えているとか思わないために捕まった相手はもううんざりするぐらいにやられていく。
 自分の想いだけが最優先事項で他はどうでもいい、だけど数少ない友情というものだけは最後に示されるのは互いが理解者でいることが大きいのだろうか。重ならない価値観や思い、他者といるということはそれをより強く認識することだよなあ、と改めて思う。
 スマホでここまでの映像が撮れるとなると確かに金はそこまでかからないから映画を撮りたいと言っている奴がいたらそれはもう金の問題ではなく、そいつに行動力ややる気がないってことの証明になってしまう。もう逃げ道は昔みたいには無くなってしまっている。まあ、撮るやつは何をしても撮るし、小説だって書くやつは何があろうが書くから。