Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『エヴォリューション』


 『エヴォリューション』はほぼ説明がなく台詞もないのだけど、『わたしを離さないで』みたいな世界観というか。女と子供しかいない島、映像はカッコいいしキレイだけどさすがに眠い。
これは村田沙耶香あたりが書いていても不思議じゃないというか、少女マンガで昔、誰かが描いてるんじゃないかなあ。



以下ネタバレを含む


 島にいる男の子たちは子供を産む装置として存在しており、産んだ後にはゴミのように処理される(殺される、破棄される)。母親たちは母親ではなく、看護婦であり、彼らが子供を産む為に島にいる存在だ。だが、主人公と関わる看護婦の背中にいくつかあったなんか丸い吸盤みたいなものを考えると水中でもずっと息が続くので人魚的な存在かもしれない。説明がないのでその辺りは想像するしかない。最後に助けられたというか逃がされた少年に移る街灯によって金色に光る夜の街は、パリとかフランスの街のどこかなのだろうか。世界はもちろん続いていて、存在している。彼らは『わたしを離さないで』同様に閉じられた世界で、その外部の世界の要請により人を産む為に存在させられているということがわかる。台詞も少ないので、観客に委ねる作りなのだが、この世界設定は普通に考えて怖い。叫びまくるホラーではないが、この映画の世界の設置が美しい海や映像とは真逆の救いのない世界に見えてくる。