Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『たまねぎ』

『たまねぎ』
たまねぎの皮と少し青い部分を取った
包丁で一センチぐらいの感覚で切る
泣いてしまうだろうと思ったけど
涙はすぐに出てこなくて
どちらかというと目が痛い
たまねぎを切ると泣いてしまうと無意識に思っていたのかも
沁みるような痛さがあって、
涙は出てきてはくれない
泣きたいわけじゃなかったけどたまねぎを切って
少しだけ泣いてみたかったけど
ただ痛いだけ



一月中に書いた詩みたいなもの↓



『太陽』
眩しくて目を閉じると見えない、ただ感じている。熱さや強さを。
影が出てきて伸びて、ついてくる。分身にもならずに僕の名残惜しさみたいに。
だけどね、光の速度で祈ってみようと思うんだ。思ったんだ。
祈るってことはそれだけで強い愛、いや僕は愛なんてものはわからないから違うのかもしれない。
でも、限りなく愛に近いそんなものだ。と言い切りたい。
青空に浮かぶ太陽に届くほどの祈りはイカロスの羽のように溶けてしまうか、
しまうのならば溶けて落ちてきたロウでLOVEって形作ろうか。
でも、愛とLOVEってなにかが違っている、気がする。
たぶん、意味あいが違うのさ、だけどその意味の違いを僕は知らない。
いつか祈りが届いたらその時は、また目を閉じる。
想いが、空に溶けて、太陽に照らされて輪郭だけが、ただ、ある。



『誰もいない』
あらゆるものの角度、
過ぎ去っていく面影、
世界は平等ではないと言い切った君の横顔、
いくつかの事柄が複雑に噛み合った結果、
そこには僕しかいないのに、僕以外のすべてがあるような錯覚、
いや、確かにあるのだ。
この今の時間と同様に存在している過去の時間と未来の時間が。
トリックアートのように左右縦横が繋がって循環していく、
それも錯覚の一部だけど。時間は進んでいるのにレイヤーはいくつかある。
だから、誰もいないような街角に立っていて今以外の時間での人々が見える、
皮膚の感覚でわかる。
君も大勢の中にいて溶け合うのが嫌だから。個が奪われたくないから、
ひとりでいることが多い。故にいろんな時間の中に存在している。
横顔だけ残してふいに消えて、でもいたる場所に居る。



『呼吸』
空気が冷たいから肺を意識する。
吸って吐いて吸って吐いて。
幾度となく繰り返している呼吸は、いつ覚えたのか。
もう備わっていた事は本能か。
知らない間に生まれていた。それは本能か。
呼吸する事は誰にも教わらなかったし、気づいたら居た。
もう存在しちゃってたんだよ、吸って吐いて吸って吐いて。
繰り返しながらもうここにいた。
深呼吸をする。冷たい空気が肺を満たす。
ああ、ここにいる。
吸って吐いて、吸って吐いて吐いて吐いて。
吸う、数?
知らない間にいたのならそれはもう正しさを伴っている。
呼吸、吸って吐いて吸って吐いて。ここに。



『たったひとりの女の子』
彼女の視線はどこか哀しげだ。
いちど何かを諦めてしまったようなそんな温度、絶望を知っている光。
僕はその瞳に期待する。
哀しそうな顔の君が笑うのを見たい。でも、その笑顔は僕だけにと思う。
そんなこと不可能なのに。
とびっきり素敵な女の子、いつもは不機嫌な女の子、君の冷たい視線。
僕は君の隣で笑っている顔を見たい。だけどその微笑みも諦めの先にある。
君が幸せになればいいなとどこか他人事、僕は君を笑わせることができない。



『惑星』
猿が踊っている惑星で干支がひと回りアンダースタンドな投法。
落ちていたロケット鉛筆を持って空中になにかを書いている。
神はいなくて、ただ猿とロケット鉛筆、いやロケットペンシル
わかっているのかいないのか猿は手にしてるそれを空に投げる。
宙で一瞬爆ぜる。音と熱がして猿のが燃える。
ファイヤーモンキー、リンボーダンス、アンダースタンドな姿勢できない。
ロケットペンシルは宇宙に向かっていく、猿だけ、いやこの惑星を残して。



『ランダム』
黒い空の中に笑っている光の束が分裂していく。
ああ、終わるのだと僕が言えば、君は始まるのだと言う。
光の細切れは大地に降り注いでランダムに人に刺さる。
赤い血が大地に流れて、息絶えた人々の口から光が放射される。
死に絶えた体は徐々に硬質になっていって新しい批評になる。
批評、いや資料、いやいや肥料だ。
刺さらなかった人々はその肥料を担いで、
光にできるだけ触れないようにして、
家に持ち帰って庭に埋める。
すると新しい太陽の芽が出てきて夜中でも生活ができた。
ランダムに死んだ人のおかげで、おかげで。



『波』
消滅するのは時間、いや体感、瞬間、獰猛な目だけが見据えている。
そう視線のみだけがあり、ゆえに見られているという自意識に踊る。
空中に浮かんでいる言葉尻を掴んでブンブン振り回す、
落ちてくるものは母音ではなく、子音なのか、


音が撒き散らされてノイズしかない。
ブンブンどんどん振り回す、音はやがて消える、いや速すぎて。
もう聞こえないのだ。消滅したのは僕、いや音の波。



『表情』
苦笑いばかりするとほんとうの笑い方を忘れてしまうらしいよ
泣き笑いばかりしてたらほんとうの泣き方を忘れてしまうみたい
ただ笑っていたい日々はいつだってそこに、この瞬間に、
あるのだけど笑えないことが多すぎてうまく笑えないようになっていく
ああ、笑えないって泣きたくもないし
僕はどんな表情でいまここに立っているのかって君の表情で探る



『咲いて』
君の片思いが実ってしまったらそこから芽が出ていつか花が咲くのだろうか
咲いた花はどんな色をしてるんだろう
君と片思いの誰かの関係性と日々の生活によってその花は成長する
僕はそれをどんな気持ちで見ればいいんだろう
その美しく咲くであろう花を僕はキレイだなと言えるだろうか
いや茎から折って花をちぎってしまうことはないだろうか
だからどうか花が咲いたら僕に見せないで
僕が忘れてしまう頃に咲いていて



『灰』
いつも大きなものに流されていく
新しい象徴は受け入れられては飽きられる
その名前が変わるけど欲望の質は変わらない
消費されつくしも残るものがあるとして
燃えがらの灰の中に光るものだけは残る


輝きは色あせずにただそこにある
だけど通り過ぎた人は
大きな流れにしか身を任せない人はもう気づけない



メタフィクション
語り部がそこにいる
語られている人がそこにいる
語られていると思っている人がいる
だが、書かれた文字や映し出された映像が
真実だって一言も言っていない
フィルターがかかっている、薄い膜がある
彼が彼であると勝手に思い込んでいたから
彼が彼でない時には次元が変わる
ぐるりと反転する
反転した方が真実に近い、でも、反転する前の世界は
嘘か、真か、どちらでもありどちらでもない
レイヤーが重なるほどに可能性は増える
そして真実はどこかに彷徨う



『たより』
この寒さがゆるやかに去り、
眩しい季節のあとに
また同じような寒さが舞い戻る時に
なんにも現状が進展してなかったら、と思うと怖すぎる。
だからこの感覚や感情だけがたよりだ。



『三日月』
風が通る、いやその空間を通りゆく僕がいる
体温が下がっていく、だから皮膚感覚がマヒしていく
指先に血が通ってないような、ただの肉
重さすらも遠くにあるような
意識と身体が乖離していく感覚という感覚
ああ、冷たい風が頬を撫でていく死神の吐息
車のヘッドライトが照らすのは僕じゃなくて
傍にいる死神の大きな鎌の刃先
つるりと輝いて浮かび上がる
ずっとずっと彼方に飛んで行って三日月



『いつくしみ』
いつくしみという言葉
やわらかそうだけど言いづらい
あまり会話で使わないけど心にはあるようなもの
だけどやっぱり使いづらい
慈愛と言われてもなんか菩薩の心みたいな
どうしてかなにか上からの想いみたいだ
だからってどうということもないのだけど
いつくしんでいるともあまり使わない
慈しみと漢字とひらがなの組み合わせになるとなんか寂しい
いつくしみってひらがなだけだと伝わりづらい
そう、それは届きそうでわかりやすそうでわからない想い



『ゴースト』
小学生の低学年の頃は子供だけで学区内を出て遊びにいくのはダメだった。
でも何人かの友だちで自転車でその境界線を越えて遊びに行くのはドキドキした。
見つかったら怒られるけど未知の世界と言うか広がっている世界に足を踏み入れる事の興奮の方が増していた。
広がるパロラマ、知らない匂いがした。
少しずつ移動距離も知識も増えていくと行動距離は広がり町を、市を、県を、越えて動けるようになる、もう国だって越えられる。
二十歳を過ぎて東京に出てきた時に僕には知り合いは誰もいなかったし、友だちらしい友だちは誰も上京してなかった。だから一旦ゼロになって二十代は始まった。
時間の波は止まることなく膨大に増え続けてその中に巻き込まれていく、
時間が季節が一年が過ぎていくのが感覚として早くなっていく。
自分自身の時間の地層が積み重なる、
過ぎ去っていったそれはゴーストのようにいつも片腹にあり僕らは時折ゴーストに付きまとわれたりしながらも未来に進む。
僕らの時間は少なくなっていく。
やがて消えゆき肉体の残り時間は消滅する。
人の死は肉体の、その個人の死が第一段階にあり、その人の事を知っている人達の中に残された記憶が存在する限りはまだ世界に存在している。
やがて僕が死に、僕の記憶を持った人達も死んでしまうと僕の死は第二段階に入る。
第二段階の死は記憶の死。
世界の記憶から消えていく、その時人は本当に死んでいくのだろう。
だけども今はネットがある、死んでも僕らが残した文章や何かはネットのどこかに潜んでいて、それらのシステムが崩壊し消えない限りは。
という事は現代の僕らは第二段階の死の先も世界に残りうる。
好きな、
興味のある世界にダイブしていくとその界隈や周辺の人達と知り合いになっていく。
知り合いや顔見知りの人が増えていくと、
時折世界というのはどうやら思っていたのよりも狭いのかもしれないと思え、シンクロしているのを知っていく。
動き出したら繋がって連鎖していく。
シンクロを感じて繋がっているのを知った時に少しだけ時間の波に抗えるような気がする。とんでもない事や哀しい事があってもなんとかこの世界を楽しめる、面白い事は起きていくんだと思える。
そのためには動き出さないといけない、点と点の間を動いて見えなかった線に気付く。僕が東京で出会った人たちはそういう人が多い。
面白そうな人達に近づいていって話をしにいってそこに入って巻き込まれていけば面白そうな事が起きていく。面白い事がないなんてことはない。
面白い事ばかりだ。
僕らは革命なんて起こせないけど、
だけど世界に深くダイブすることはできる。



『春夏秋冬』
春と修羅
夏と蓮華
秋と龍神
冬と羅刹



『浮かんでる』
アパートの壁をコンコンと叩く
薄い壁の向こう
空洞みたいな音がする
コンコンと叩き続けると違う音がする
何かがある 
空洞ではなくコンクリートかなにかで塞がれている
鈍い音の反響があってその感触に
コンクリートみたいなもので隠されているのは白骨死体
イメージがあふれる
突如、白骨死体がコンクリートと壁をぶち破って
こちら側にやってくる
砕けるコンクリート破片と薄い壁だったもの
白骨死体は、そう僕だ
過去の僕の面影だけを残している骸
壁の向こうは過去
戻ることはない時間軸に無数にある白骨死体の僕
今だって僕は白骨死体になろうとしている
羽化して現在進行形の僕になる
羽化してる、浮かしてる、浮かんでる?



『居場所』
物語とは「居場所」を巡るお話だ。
どこにいても誰といても
いや、どこにいて誰といるかが大事なことだ
逃げ出したくなる環境から逃げて、逃げて、逃げて
たどり着いた場所で新しい関係性ができる
だが、そこが大切な心地いいものになったとしても
それは移りゆくもので、確実なものではない
変化し続けていくものだから
「居場所」だっていつか気がつかないうちに
毎秒毎分毎時毎日毎月毎年
変わっていってしまう
そしてここではないどこかを夢想する
君の求めるものはその瞬間にしかない
今が愛おしいならこの瞬間だけが「居場所」になる
いや、それだけが君の宿り木。



『ないで』
泣いてないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないでないで



『TRANSLATOR』
伝えようとする 
なにかに変換しなければ伝わらない
そのまま伝えようとしてもそれでは共通言語にならず
翻訳する者は透明ではない
どんなに薄くてもその存在のフィルターはかかる
かかるざえない
意味は追加されるのか削減されるのか
ただ、伝えるためにフィルターはいる
いるんだ
言葉だけではなく、ジャンルをこえて表現の枠をこえて
ほら、新しいものが伝わる
本来の意味に何かが足されて引かれたもの
そう、
だから、
越えてきたものだ
伝えるということはそういうことを否応にも孕んでしまう



『まどろむ』
まどろみながら夢を見ていたい
誰かに愛されるような甘さを
誰かに羨ましがられる憎さを
誰かを貶めてしまうような皮肉を
まどろんだ先で誰と一緒にいたのか
それすらもモザイクな心象風景になる
雨が降り出して空中に浮かんでいた塵が地上に落ちた
クリアな視界になったまどろむ世界
なにがまどろんでいたのかを知らないままに
塵と埃が消えた世界は綺麗すぎて目がくらむ



『誰といた?』
あの時誰といたのか、ということがいつしか思い出になる
次第に薄れていく景色の中で
ぼんやりと浮かぶもの
漂う香りで思い出す後ろ姿
君のうなじのライン
転がっていった空き缶の音
これ見よがしに通り過ぎた車のヘッドライト
汚いのれんの店から流れてくるいい匂い
優しく撫でるような風とふんわりめくれるスカート
なにを思い出すのだろう
なにを忘れていくのだろう
忘れたくないことばかりだねって言った君も
すべてをなくしたいと言ったあなたも
忘却した空のした
今日も元気ですか?



『ふれ』
ふれたのに
どこにもない
青い雫だけの連打の音
猫がブロック塀からジャンプしてくる
ふわっと舞う猫の毛がすぐに見えなくなる
時間という概念のようにあるようでない
見えなくなってどこにもない
あるのは想いぐらいだけど
ふれられないから不確かだ
あるべきところに収まっていない
ふれられたら
どこかにいってしまう



『哀優』
哀しくて優しい小説が書きたい
矛盾してるような、でも近しいものが
同居するような肌触りみたいなもの
いつかそういうものに
なればいい
面白くて楽しい小説は
きっと無理だろうから
哀しみの果てになにがあるかなんて
知らないって歌ってたけど
哀しみの果てに優しさがあればいい気が
最近はしてる
優しくて哀しいではない
哀しくてどこか優しいものを



『喋る』
思考すること喋ること結びついているのに
零れ落ちてしまうもの
それをうまく零さないようにする
だけど零れ落ちていくものがある
たぶんそれをうまく説明するために
なんとか形にするために人は話すんじゃないかな、って
話すことは伝えること、伝わらないこと
その差異ができるだけ薄くなるように
でも、話さないと自分の中で腐敗していまう
芽を出すためには自らの外に出すしかない



『幻影』
もういない、君も僕もいない。
あの時の姿は風に舞って、火で炙られて、土に埋められて
新しい自分しかない
会いたかった君も、僕もいない
しかし、どうだこの現在進行形の僕たちは
いなくなったはずは幻影の世にまとわりついている
たまに陽炎のように揺らめいて見えることがある
実態はない、あるのは脳裏にだけだ
もういないのだ、と思うとすべてがどうでもいいとすら感じる
だけど毎日は続いていってしまう
もう君も僕の今日は舞って炙られて埋められた
なにかが違うのかよくわからないんだ



『嫉妬』
向こうからは見えていない、こちらからだけ見えている
見える、見えない、その境界の先にあるもの
届かないから眩しくてムカついて
声に出してノーって叫びたいような気持ち
わかりきったことも人には言われたくない
言っていいのは自分だけか?
ああ、相手にされてないってことに気づいているから
届かないってわかりきってるから
さあ、この想いが間違ってしまった方向に
向かなければいいのだから
そう、この感情は負から始まる先への一筋



紫煙
ふらりとする
暗がりの中でまっすぎな眼
知っている色が
懐かしくて新鮮だった
なにかが変わったのか
変わらないままに
星の下で紫煙を吐いている
その匂いと声色と冬の一日



『虹』
ブクブク、ブクブクと
はるか下から浮かび上がっている気泡
泳いでいるのは七色の鱗を持つ古代魚
鰓で呼吸をしている
その口にくわえられたあなたはなぜか息ができている
そのままもっともっと下に連れて行って欲しいと
泣く、泣いているけどその涙は混ざって溶けてしまう
古代魚が舞うたびに水中に虹が舞う
あなたはそれを見てキレイだと思っている
もっともっと乱反射するような虹を見せて



『流星』
星を見上げている君の横顔を見てしまっていた
その表情を閉じ込めたくてゆっくりと目を閉じた
この刹那だけが永遠の眷属
今、君が横にいてくれることだけが至福
そして、君も僕もやがていなくなるだけだ
どうしようもなく哀しい運命だ
星の輝きよりも儚くてまぶしい
冷たい君の手を握りしめると
君はどうしたの?と僕を見る。
ゆっくりと目を開けて君を見る
流星は見つけれそうにない