Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『野火』


監督・脚本・撮影・塚本晋也

キャスト・塚本晋也(田村一等兵)、リリー・フランキー(安田)、中村達也(伍長)、森優作(永松)、中村優子山本浩司、神高貴宏、入江庸仁、辻岡正人、山内まも留ほか









1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。共演にリリー・フランキー、俳優デビュー作の「バレット・バレエ」以来の塚本監督作品への参加となるドラマーの中村達也。(映画.comより)



 終戦70年の今年に公開されるという意味のデカさ。戦争という非日常ではもう人は人として扱われない。誰でも一線を越えてしまう。越えたらもう戻れないのだ。だから、そんな状況に立たせるべきではないしそんなことにさせてはいけない。だが、この映画で描かれていることは原作小説があるが実際にあった出来事だということ。もはや敵と戦うのではない、餓えや理不尽と戦いながらどんどん味方の兵士は死んでいく。敵に殺されるよりも先も。
 そういう戦争がかつてあり、僕らはその時代を経たあとに生まれた。戦争をしたくない、徴兵制になる可能性があるのならばなんとしても拒否しなければならないとさらに思う。
 2015年夏がもうすぐ終わる。僕たちの祖父母の世代が体験させられた戦争という時代からだいぶ経った。戦争経験者はこれからどんどん減っていっていなくなる、受け継ぐべきことはたくさんある。政府や国が正しい判断をしないことなんて歴史が証明している。生き延びても後悔しないように生きるために言葉や思想が必要だ。そして行動が、これをきちんと観てほしい。たくさんの人に。