Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『台北ストーリー』『美しい星』


 6月12日、ユーロスペースで『台北ストーリー』を観る。園子温監督『東京ヴァンパイアホテル』で助監督をされていた松尾さんも観にきていてご挨拶。
 時代ごとの景色があり、それは変わり続けて移り行く。振り返ってももうそこに同じものはなく、それぞれの青春があって、過去にとらわれていく人、未来に進んでいく人、どちらにしろなにかを失い続けて現在を生きてると観て思う。『クーリンチェ少年殺人事件』と『台北ストーリー』て主人公のキャラクター近い気がする、監督自身の投影かなあ。あと物語の流れつうかあれが同じような。『台北ストーリー』て岡崎さんの『pink』と近しい部分があるよなあ、と思う部分があって、それはキャラクターは違うけど終わりの女性と男性の距離とか関係も。



 『台北ストーリー』のこのワンシーンとバイクで街を走って行く街を飾っている電飾の感じがひと昔って感じでよかったなあ。この画はやっぱいい。




「死ぬかと思った」夏帆×満島真之介が激白する園子温監督作『東京ヴァンパイアホテル』【インタビュー】
https://filmaga.filmarks.com/articles/1255
 「園さんが大学の時に最初に撮った吸血鬼が出てくる作品は大林宣彦監督『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』みたいな雰囲気を目指したが、あまりにも壮大すぎて未完成に終わってしまった。」ということを以前メルマ旬報の連載での『岩井俊二園子温の時代』の2回目に書いている。だから、その頃から園さんにはヴァンパイアものを撮りたいという気持ちはあったはず。


園子温監督『東京ヴァンパイアホテル』アマゾンプライム
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B071G6KVCF/ref=atv_hm_hom_1_c_h_hkpttvmh_1_1?ie=UTF8&pf_rd_i=home&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_p=444331089&pf_rd_r=X6QSQC9KT4B66XWV5M62&pf_rd_s=center-2&pf_rd_t=12401


 園子温監督アマゾンプライムドラマ『東京ヴァンパイアホテル』の配信が6日から始まった。僕も脚本でクレジットされてます。去年の夏頃に園さんからラインが来て、「明日から脚本手伝って」って言われて翌日園さんのアトリエにバイト終わりに行って今回のドラマのことを聞きました。で、手伝ってと。その後、色々あった。園さんの周りには役者志望の人や園さんの作品に出たい人がやっぱり集まる。それに比べるとスタッフだとか監督志望とか僕みたいな物書きになりたいってやつは少ない。物書き志望だったからノベライズ『リアル鬼ごっこ』のこともお仕事を振ってくださったと思うし、脚本はまあ書けるだろと思われたんだと思う。園さんに脚本志望だったとか言った記憶ないしなあ、言ってるのかな昔、覚えてないや。
 今回の園さんのドラマ『東京ヴァンパイアホテル』の最後の二話で脚本にクレジットされてる僕ですが、園さんに出会って脚本家志望を辞めて小説家志望になった男が、巡り巡って園さんの作品に脚本でクレジットされたということですね。もうね、そういう星座としか言いようがないです。園さんとお会いしてもう10年目ですからね。不思議ですね、やっぱり運とか縁みたいなものって。



 『東京ヴァンパイアホテル』一話を観る。園作品の血飛沫は、詩人としての園さんの詩の乱舞の映像化だと思っている。体内にある血(詩)が外に溢れ飛び出すみたいに。こういう作品が続くと動に対する静みたいな作品を撮るのかなあ、とか。『気球クラブ、その後』『希望の国』『ひそひそ星』のような。




 6月20日、TOHOシネマズ新宿にて『美しい星』鑑賞。前回、チケット日付を間違えて観れず、翌日の取った日には扁桃腺が腫れ上がり自宅でぶっ倒れて観てなかったけどニコラの曽根さんに激プッシュされたから観にきた。



 最近はTOHOシネマズ新宿の朝の回の映画観にくると近くにある「いわもとQ」に寄るくせができつつある。


 『美しい星』は観ながらこれはヒットしないなあ、と思った。つまらないからじゃない、この感覚は大多数の人に届く感じがしない。逆にいえば吉田大八監督やキャストが攻めまくっている。内容に関してもリリー・フランキーさんが演じた一家の父でありお天気ニュースキャスターが演説というか火星人として話すシーンは、ちょうど中間報告で国会の審議がぶっちぎられて共謀罪というテロとは実際関係ないのに名前だけで国民を騙した法律を強行採決した安倍政権のような、お前らがテロリストであり国民に対してやってることは共謀罪だろ、としか言えない極右した政権が一大与党という笑えない状況に置いて皮肉に聞こえるし、なんかリンクしてしまっていた。
 橋本愛は前に観た『パークス』は映画が内容としてひどかったが、こちらでの存在感はさすが、『桐島、部活やめるってよ』でも組んだ吉田監督作品に久しぶりに出ている。あの作品から多くの俳優が世に出たんだよなあ。
 亀梨くんは出ている映画わりと観てる気がする。出ている映画のチェイスはなんだろう、ちょっとジャニーズファンが観たいようなものとは違うような作風のものが多いのではないか、だけど演技とか違和感ないし上手なんだと思うし、彼が出ることでこういう作品に足を運んでくれる女性客がいるというのは本当に大事なこと。
 この作品はリリー・フランキーさんがとんでもなくすごい俳優さんになってしまっているという再確認の映画でもあり、吉田大八監督ってやりきったものを作るので信頼できることも再確認、もっとヒットしてほしいがさすがに無理か。



 

 一昨日、寝落ちして目が覚めた深夜、岩井俊二著『少年たちは花火を横から見たかった』を読む。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が『if もしも』でオンエアされた日は台風で巨人戦が中止になり、父がチャンネル権を放棄した。僕はたまたま見ることになる。早生まれのくせに、戌年のくせに、という台詞から彼らは自分と同学年であるとわかった。僕も戌年の早生まれだったから。その『if もしも』オンエアから24年が経ち、岩井監督自らあの物語が映像化されてなかった部分も含めて再構築されている。
 遠い記憶、大人になる前のぼくらだった日々の気配、少女は現実に逆らえず少年はなんの力も持たない。とっくに過ぎ去った時間を商店街を駆けていくランドセルの少年少女にふいに思い出させられるような、そんな小説。