Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『肥後系 新水色獅子』


 下北沢の小劇場 B1であやめ十八番 第四回公演 「肥後系 新水色獅子」を観てきた。某駒込先輩が関わっているので観に行った。
 今月は珍しいほどに演劇を集中して観る月間だったわけだが、あやめ十八番の今回の作品で僕が最も近いと感じる作品は大林宣彦監督の近作『この空の花』『野のなななのか』だった。
 時間軸がふたつあり一方は限りなく現代、こちらが自殺したある高校教師と演劇部の教え子たちの話と戦中から戦争が終わるまでの同町を舞台にした過去の空間が交差していくという演劇ならではの物語の強さ、過去と現在の登場人物が同じく空間にいる、そこには観客の想像力があるからできる交差する時間。
 かなりしっかりとしているなと思ったのと実際に生で演奏される音楽と出演者の歌声、ライブの強さ演劇って歌ってズルいよなwというものを出しながら物語自体は骨太な、ところどころみせるサービス精神的なものは邪魔だと思う、他の人は笑ってたけど僕は冷める。今の演劇の主流じゃないんだろう。
 ポップさとかの方向には行かないと思うし、だからこそ今っぽい感じではなという強みがどこまで届くのか、届かせれるのか。もっと狂っちゃう感じで爆発してもいいんじゃないかなって思った。そうなればまさしく大林作品に通じる、故に圧倒的な作家性が出るのかもと思ったり。
 今月はワワフラミンゴ『映画』、三浦大輔『母に欲す』、ロロ『朝日を抱きしめてトゥナイト』、飴屋法水さんと古川日出男さんのトーク、『朗読劇「銀河鉄道の夜」』東京特別公演、あやめ十八番『肥後系 新水色獅子』と演劇寄りな一ヶ月でした。演劇って強いよなあと改めて思うのでした。