Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『テッド』

 TOHOシネマズ渋谷にて初日の19時の回に観賞。朝の十時台以外は全部の回満席売り切れだった模様。以前から予告が流れた時に笑いが起きていたのでヒットするだろうなとは思っていたがこれならかなりヒットする気がする。たしか『テルマエロマエ』も予告流れてる頃に観客がけっこう笑っていてヒットするだろうなって思ったらけっこうヒットした。僕はイギリス行った帰りの飛行機で観たけど爆睡しました。でも予告で笑いが起こる映画はヒットすると思うんだよなあ、『宇宙人ポール』も予告観ただけで絶対に観ようと思ったし。



監督/セス・マクファーレン
マーク・ウォールバーグ/ジョン・ベネット
ミラ・クニス/ロニー・コリンズ
セス・マクファーレン/テッド(声)
ジョエル・マクヘイル/レックス
ジョバンニ・リビシ/ドニー



マーク・ウォールバーグ扮する中年男と、Fワードを連発する過激なテディベアの交流を描いたコメディ。全米ではR指定ながらも、興行収入2億ドルを超える大ヒットを記録した。いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。それから27年が過ぎ、ジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも、幻惑キノコで逮捕されてからは堕落し、下品なジョークと女のことばかり考える日々。そんなある日、ジョンは4年間つきあっている恋人から、自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られ……。コメディアンや声優として活躍してきたセス・マクファーレンの初監督作。(映画.comより)



 最初はナレーションで幼少期の説明と描写から。友達がいない少年にクリスマスプレゼントでもらったテディベア、少年は本当の友達になってほしいと願って起きるとそのテッドが話しだす!というリアリティーラインがみたいなこのファンタジーな物語を観客に受入れてもらうための準備としてテンポよく進んでいく。で普通は言葉を話すテディベアとかいたら家族で隠したりするやん? 
 でもこの作品だとテッドは人気トーク番組とか出ちゃってセレブテディベア、人気者になるw ここで大事なのはこの映画の世界ではボストンが舞台なのだけど、物語内アメリカ&世界ではテッドは魂が宿って話ができるし動くことをみんなが知っている!ということ。つまりリアリティーラインはこの世界では誰も歩いて話しているテディベアがいても誰も驚かないと示す。このことで観る側もそっち側に踏み出せるのでテッドという存在がありになる。


 そこからオープニングテーマというかクレジットと共に少年とテディベアが過した日々が写真や映像で語られていく、様々なオマージュやおふざけもかねて。で27年経って少年は35歳の中年に、テディベアも同じく年を取ったが一緒にいる。彼は、ジョン・ベネットは付き合って四年になる彼女のロニー・コリンズがいる。そしてある日テッドとジョンが公園にいると変な親子からテッドを譲ってくれと言われ、彼女との仲もテッドとの関係でギクシャクし始めてテッドとは一時離れる事になりテッドはスーパーで働きながら一人暮らしを始める。



 ライナスの毛布<安心毛布とは人が物などに執着している状態を指す。一般で言うお気に入りや愛着がこれにあたる。漫画『ピーナッツ』に登場するライナスが、いつも肌身離さず毛布を持っていることにより、「ライナスの毛布」と呼ばれることもある。幼児は何かに執着することで安心感を得ている。成長するにつれ、幼児の時に執着していたものから離れていくが、大人になってからでも新たに執着することがある。子供がよく人形や玩具を離さずに持ち続ける様を「安心毛布」であると言える。これはドナルド・ウィニコットの用語では、移行対象、過渡対象と呼ばれるものである。wikiより>としてのテディベアであるテッドと離れないジョン、彼はいかに大人になっていけるのか?という主題は目に見えているのだが、しかしテッドは『トロロ』のような幼少期に作る架空の友達(イマジナリーフレンド)とは少しばかり違う。なぜならばテッドは『テッド』の世界においては認識されている目に見える物体だから。


 『トトロ』に関してはメイやサツキが死んでいるとかいう都市伝説があるがその理由というか原因は同時上映されていた『火垂るの墓』にあるのは大塚英志著『物語消費論 改』を読めば書かれている。この同時上映の二作品は対比として作られていてトトロの都市伝説の背景は『火垂るの墓』の設定などが関連していると大塚英志は書いている。


 大人になるといっても何が大人なのかもはやわからない世界ではあるのだけどテッドはまあ生きているライナスの毛布であって、一緒にヤクはやってるしビールは飲むし映画は観るし『フラッシュ・ゴードン』やあってはしゃいでるし、やっぱり親友なわけで。でも彼女との結婚だとかダメな自分を変えるためには一緒にいれないとかある。でもジョンのいちばんダメなとこは約束とか破っても言い訳したりテッドがみたいな感じの事をいう責任感や信頼のなさであってそれを得る事で完全に彼女に信頼される人になるのが彼のある種の大人への階段だったりする。


 そんなわけで後半にはテッドにピンチが訪れてそれをダメになりそうな二人でなんとか助けようとかオーソドックスな展開であるんだけどテッドがどうなるかとドキドキはする。
 『魔女の宅急便』で通過儀礼として人間界にやってきたキキが最後にジジと話せなくなるのは彼女が大人になったからだとか『テッド』は宮崎駿作品と照らし合わせて語ることもできるだろう、だって宮崎駿はずっと「姥皮」をやっていて通過儀礼に関してやっているわけだから。
 でも、『テッド』はライナスの毛布みたいに捨てる必要もないんだよね、っていうかライナスの毛布を持ったままどう大人になるかという話でもあるんだろうなあとか思ったりします。


 面白いから普通にヒットすると思う。口コミでも広がるだろうし、あと『宇宙人ポール』好きな人は好きな映画だろうなあとも。『宇宙人ポール』の方が面白いとは思うけど、たぶん『テッド』はファッキンワード出るけども毒はあんまりないんだよね、『宇宙人ポール』はもっと毒っ気があったから。

物語消費論改 (アスキー新書)

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