Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

快快『アントン、猫、クリ』@nitehi works 02/16

 木曜日、基本的にフリーター人生になってからは休みの曜日。転職したと聞いた友人と彼女と三人で黄金町にある@nitehi worksというイベントスペースに快快の公演を観に行ってきた。


 快快を初めて観たのは五反田ソニックで観た『MY NAME IS I LOVE YOU』(http://faifai.tv/works/myname/)だった。その後この作品は10年にスイスの国際舞台芸術フェスティバル「チューリヒ・シアター・スペクタクル」の新人賞「ZKB Patronage Prize」を受賞した。
 でも、最初に出会ったのは批評家佐々木敦さんの主催するエクスポナイト(『さよなら2008@エクス・ポナイトvol.3』)に行って諸々観た後にお酒を飲んでいたらメンバーの梨乃ちゃんとコージに声をかけられて話をしたんだった。とても自然に、なんだか前から知ってるぐらいに自然に僕のA.T.フィールドみたいなバリアを無効にして。


 で、話の流れで今度公演あるんなら観に行くよって『MY NAME IS I LOVE YOU』を観に行ったんだった。で、凄く楽しくて興味深くて僕はその後も観に行ける時は公演を観に行くようになった。


『MY NAME IS I LOVE YOU』@五反田SONIC
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20090309


快快ゴリラWS@池袋西口公園
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20091128


オモシロキコトナキ世ヲオモシロク(&岡山弁ver.)
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20091219


『THIS IS “「インコは黒猫を探す」”』
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20100124


『Y時のはなし』3/5 15:00 @VACANT
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20100306


快快『SHIBAHAMA』06/05 @東京芸術劇場
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20100606


『Spicy,Sour,and Sweet』
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20100814


快快(faifai)『Y時のはなし』DVD(Headz)レヴュー
http://cookiescene.jp/2010/09/faifaiydvdheadz.php


 こうやってみるとわりと足を運んでるなあ、レヴューもクッキーシーンに書いたりしてるし。僕は好きになったらわりと長期的に追いかけてますね。快快はやっぱり観に行って体感として感じたいし観たいし聞きたいと思うからなんだろう。映像よりはやっぱりその場にいる事で巻き込まれてしまうようなそういう質感。


 で、『Spicy,Sour,and Sweet』はタイのパフォーマンスグループのB-Floorのコラボでそれ以来だから一年半ぶりぐらいに観た。彼らは海外とかで公演したりとかでなかなか観る機会がなかったのだ。


 昨日観に行ったのは『アントン、猫、クリ』という作品の初日だった。チケットはもうすべての日で前売り予約の時点で売り切れになった。


快快-faifai- 『アントン、猫、クリ』予告編  "Anton,Neko,Kuri" Trailer


↑動画の感じで舞台には足場になるブロックがあるぐらいで他には特になくて壁に日本語の単語とかを英語にしたのが映される感じだった。これポリフォニー劇っていうらしい。


 複数の異なる動きの声部(パート)が協和しあって進行する音楽のことです。本作は役者の発する台詞、その言葉の断片をずらし音楽として捉え、実在する情景の細やかな可視化を試みた初の"ポリフォニー劇”なのです。と席に置いてあったお知らせとかの紙にあった。


 四人の演者がいる、でも男二人と女二人は二人で一人の人をやったり、全然違う登場人物に彼らはなったり、あるいは風景や物体になる。
 彼らが発する言葉の英語の単語は彼らが発するとボタンを押す人がいてタイミングやどのくらいで押すとかで大きさや場所が変わるらしい。


 アントンと呼ばれる猫とその付近にいる人達の日常を四人がポリフォーニー劇で演じるのが第一部の本編。


 第二部は『アントン、猫、クリ』を100倍楽しく攻略する!と題されていて昨日のゲストは米光一成(ライター、ゲームデザイナー)  伊藤ガビン(編集者、ゲームデザイナー)というパラッパラッパーぷよぷよを作ったゲームデザイナーさんがゲストで気になった場所をもう一回その場でやったり、他の人がやったキャラで違うのをやったり、四人が同時に歌うようなシーンで各自が何を言っているのを一人一人でやってみてもらったりしてそれを観る感じ。


 観た感じとしてはいつもの楽しいこの多幸感とポップさ、でもすべてのことはこの瞬間で失われてしまうという切なさも孕んでいてとても愛おしいと思える。快快はいつも観に行ったあとに嬉しい、ほくほくとした気持ちになる。でもきちんと現実と繋がっていると思った。
 昨日の快快は自分の生活の周辺、家の中、アパート脇、通勤の道、それらを台詞ではなく単語で、動作を音だけで連続させ重ね反響させていくポリフォニー劇。言葉の音と演者の動きと身体性と観る側の想像力が結びついてそこには僕たちの日常があって普段よりもカラフルで少し騒々しい心地よさがあった。


 自分がやりたいジャンルで魅せれるものに、受け手に何かがひっかかるものにするために必要な誠実さとまじめにふざけれるかというバランス感覚が必要だなって感じる。


脱退?休止? 快快が迎えた分岐点をメンバーが語る
http://www.cinra.net/interview/2012/02/03/000000.php


 現メンバーでの公演は九月の新作で最後のようなのでこれまた観に行きますね。気になった人は観に行くべし。


 まあ、最近はライブも演劇も観に行く回数が減ってはきているのですが、どうしても観に行きたいと思わすもの、そのレベルや熱量、魅せられてしまうものがこの先そんな増えるって事はないんだろうなって思う。


 そういうものに出会えたらやっぱり人は惹かれてしまうのだ。

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