Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『メランコリア』

People In The Box 旧市街


 昨日は埼玉の熊谷のヘヴンズロックに行ってPeople In The Boxのライブを観てきた。遠いわ熊谷、電車賃高いわ、往復したらチケ代の三分の二かかったら海外のバンドのチケ代と変わらない・・・。
 ピープルは聴いてたけど一回もライブで観た事なかったので初めて観た。変拍子なリズムと文学的に感じる歌詞に惹かれていてどういう感じなのか楽しみだった。


 ヘヴンズロックはあんまり大きな箱ではない、四百人程度かな。ライブハウスって感じだった。ミニアルバム『Citizen Soul』リリースツアーなのでそのアルバムからと過去の曲を織り交ぜながらのアンコール入れて二時間弱ぐらい。
 初めて観たけど強靭さと不安定さがあったように感じた。強い故にもろい、弱い故にしたたか、そんなバンドに思えた。また観たいと思えた。


 歌詞は間違いなくいい、だけど最初の一曲目は三人のリズムは合ってなかったように感じられたし、途中でボーカルの波多野くんの声が出てない所と歌詞忘れて入れなかったとこがあったかな。変拍子だから少しでも三人が合わないとグチャグチャになる可能性が高そうだ。
 あとドラムの人がMCでけっこう喋る感じは凛として時雨のピエールさんを彷彿させた。スリーピースってドラムが喋る、イジラれる人多い気がする。


熊谷セトリ


沈黙
笛吹き男
市民
親愛なるニュートン街の
見えない警察のための
ペーパートリップ
技法
冷血と作法
ブリキの夜明け
木曜日/寝室
ニコラとテスラ
月曜日/無菌室
はじまりの国
スルツェイ
ニムロッド
旧市街
汽笛


en
火曜日/空室
ストックホルム
完璧な庭


 らしい、僕は曲名基本的に覚えられないだな、めっちゃ好き数曲しか。固有名詞があんまり覚えられない。


People In The Box 「完璧な庭」


 昨日の熊谷のライブの最後はこれでした。『レントゲン』やってくれなかった〜。でも彼らは小説とか好きな人は好きだと思うんだな、文学的な歌詞だし、変拍子は文体が変わってるのに違和感ない感じ。
 クセになるバンドな感じなんでまた観に行こうと思う。



 今日はAppleストアで音量ボタンが効かなくなったnanoを交換してもらって、東京マラソン一緒に走った古いやつとはおさらば。TOHOシネマズでラース・フォン・トリアー監督新作『メランコリア』を観る。



監督: ラース・フォン・トリアー
キャスト: キルステン・ダンストシャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランドなど


ストーリー・地球に異常接近を続ける巨大惑星・メランコリアの影響を受け、“世界の終わり”に直面する姉妹の姿を描いた本作。ラース・フォン・トリアー監督は、シャルロット・ゲンズブール演じる姉・クレアに“普通の人間”の象徴とし、キルスティン・ダンスト演じる妹・ジャスティンに、監督自身が持つ“うつ病気質”を代表させているという。本作は、世界の終わりが近付いた時、人々はそれをどう受け止め、どう行動するのかを描いた物語なのだ。ジャスティンを演じたキルスティン・ダンストは、本作でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞している。冒頭8分間の美しいプロローグから衝撃のハッピーエンドまで、美しく魅惑的な映像に満ちた野心的な一作だ。(goo映画より)




 前作『アンチクライスト』にも出てたシャルロット・ゲンズブールが出てました。冒頭の十分ぐらいは超スローモーションだとかアートフィルムか?みたいな映像が続いてビュークのPVかと思えました、まああれは好き嫌い別れるとは思う。映像はキレイなんだけど長いし、冒頭あれはしんどかった。
 『ドラゴン・タトゥーの女』の冒頭もイメージ映像なやつだけどあっちは音楽のノリもあるからなあ。あと『ドラゴン・タトゥーの女』に出てたわりと重要人物のビル・マーレーみたいなおっさんがこちらではジャスティンの上司役で出てた。


 第一部「ジャスティン」、第二部「クレア」とわかれている。冒頭のイメージ映像みたいなあとに第一部から始まる。結婚式を舞台に、彼女たちの家族の不協和音やジャスティンの鬱的な行動やそれに困る人々(姉や姉の旦那な24のキーファー・サザーランドとか)。


 僕としてはラース・フォン・トリアー監督『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を映画館で観た後に気持ち悪くて仕方なかった記憶があり、その後少し敬遠していて久しぶりに観たのが前作『アンチクライスト』だった。前作では鬱になった監督自身が作る事によって監督自身が救われるというタイプの作品だとインタビューで語っていた。同様に園子温監督は『冷たい熱帯魚』を作った際にラース・フォン・トリアー監督に近い事を言われていた。


 救いようのない物語を観ることで救われてしまうという感覚がある。人は確かに不思議な生き物だ。現状がひどくても虚構の物語を観ることで逃げではなくて観て、現状に戻ってきて前よりもいくぶんかマシな状態になる。あるいはさらに現実を見つめるようになる、物語にはそういう効用がある。だから物語はなくなりはしない、その時代に必要な種類のものが絶対的に必要だから。


 『メランコリア』は観てる最中に僕は途中眠気がきて、ちょっとダレた。その後吐き気が来た。昼間食べたはなまるうどんのせいではないだろう、明らかにこの映画に対しての吐き気だった。
 終わってから考えたのは僕は明らかにクレアの方なんでジャスティンに対しての彼女の行動等にムカつくしイライラし嫌悪感が高まりすぎたせいで吐き気がしたのだろう。後半は吐き気を抑えていたので早く終われ〜、メランコリアさん早く地球にぶつかってくださいよって思ってた。


 しかも後半のメランコリアが近づいて来ると鬱気味なジャスティンは冷静になっていき、普通な人達の方が緩やかに壊れていく。最後のあのシーンでもジャスティンはすべてを受け入れて目を瞑っているのにクレアは脅えているのがその対比なんだろう。


 あとジャスティンの花婿可哀想すぎ、キーファー・サザーランドは活躍しなさすぎ! 男性性は特に役に立たないというか必要とされていない感じは見受けられたかな、母性というか女性に監督は何かを託したいのかもしれない。『ダンサー〜』もだし『アンチクライスト』も子供がいる(いた)女性が主人公なのもそういうのがあるっぽいなあ。


 最後はその終わりかあって。そのままの流れで『ヒミズ』の冒頭に繋がるぞって思ったけど。


 観る側の内面に波紋を起こす作品を撮る人だなあ、と改めて思う。

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