Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『リトル・ランボーズ』

リトル・ランボーズ』英語のタイトルは『Son of Rambow』なので、『リトル・ダンサー』とかみたいにこの作品も英語タイトルは『Billy Elliot』なのでどちらも配給会社が日本語タイトルとしてつけたんだろうな。
 『リトル・ダンサー』ヒットしたしこっちも『リトル・ランボーズ』にしようみたいなのがあったんだろう。


 『リトル・ランボーズ』が1982年のイギリスで『リトル・ダンサー』は1984年のイギリス北部の炭鉱町が舞台なので時代背景も近い。



大人になるしかなかった子供と、子供らしさを禁じられた子供。
彼らを救ったのは、愛でも、神様でもなく、『たった一本の映画』だった―。


監督・ガース・ジェニングス
出演・ゾフィア・ブルックス、ニール・ダッジオン、タルラー・エヴァンス


ストーリー・イギリスの片田舎に住む11歳の少年・ウィル。厳格な戒律を守るプリマス同胞協会である彼の家庭では、テレビも見てはダメ、フィクションの小説もダメ。ポップスも禁止、新聞、スポーツ観戦、ラジオ、芸術、もちろんアクション映画なんて禁止中の禁止事項だ。そんなウィルは、偶然クラスのいじめっ子・カーターと出会い、ある日突然、彼の家で『ランボー』を見てしまう。初めて見るテレビ、初めて見る映画、はじめて見るランボー! すっかりランボーの虜になってしまったウィルは、放課後になると“プチ・ランボー”に変身して、カーターの映画製作に協力するのだった。ところが不慮の事故が起こり、ウィルは入院する羽目に…。映画『ランボー』に憧れた11歳の少年が繰り広げる、とびきりポップなコメディ。




 監督のガース・ジェニングスはMVやCMなどを手掛けている人でその会社を設立していて、ブラー『Coffee & TV』やR.E.M『Imitation of Life』などを作った人らしい。72年生まれなので僕のちょうど10歳上だ。


Blur - Coffee and TV(http://www.youtube.com/watch?v=GXRVX1AKAew)←埋め込み無効になってるからYou Tubeで。


REM - Imitation Of Life


 『Coffee and TV』のミルク君が歩いているユーモアさとポップさが彼の持ち味なんだろうか、『リトル・ランボーズ』にもこのMVは通じているというか観ると同じ人がやってるんだろうなって感じがするのでこれ好きならまあ映画も大丈夫じゃないかな。


 監督の幼少期の実体験が入っているらしい、実際に友人たちと『ランボー』を観て映画を撮影したのが元で、映像許可のためにスタローンに手紙を書いて許可を得たとのこと。なのでこの作品には『ランボー』の実際の映像が出てくる。


 主人公・ウィルが聖書やノートに書いている絵が実際の映像と合わせて使われていたりとミシェル・ゴンドリースパイク・ジョーンズの作品に近いのはMV作りとかしてた監督の空気感とかポップさだったりするのかな。


 この10年代(テン年代ともイチゼロ年代とも言いますが)は80年代的なものが来ると言われているのは、時代の周期が30年で回るとか回らないとか言われてて、僕が思うのは僕らの世代や少し上の人達が過ごした80年代ってのがあってその世代が世に出ていき映画なり音楽なり表現をしていくメインになるので自分たちが過ごした幼少期や影響が作品に出てくるのでそうなるんだと思うし、あと80年代に二十代とかで活躍してた人が四十代後半とか五十代になって行く中で時代とまたかみ合っていくので、80年代の反復みたいな事になるんじゃないかなって思う。


 でも、実際に僕らの思春期だった頃は九十年代なんでそれもどうだろうなあとか思ったりはする。
 たぶん、三十代前半と二十代後半は九十年代の影響の方がデカイ。なんでどちらかというと九十年代の影響下から始まった初期衝動から始めた人が出て行ってメインストリームになりそうな気がするなあ。


 十年後の20年代はたぶん違う形になると思うんだけど、90年代以降ネットや携帯が生まれた頃にすでにあった世代が最前線のメインストリリームで活躍する時にたぶん、今以上に世代の断絶感や距離が出てくるんだろう。たぶん、それはもうどうしようもない。
 最初に使える、手に出来る表現方法がまったく違うテクノロジーだと想像や手段が違うのでかなりそれがデカイかなって。


 まあ、ゼロ年代暗かったし景気悪かったし、ポップで華やかなものが溢れてもいいんじゃないかなって思うんだよねえ。80年代や90年代のポップさが前ディケイドのカウンターとしてね。


 ウィルがカーターが映画館で上映している『ランボー』を家庭用ビデオで盗み撮りしたのを彼の家で観た事がかなり大きな事だと思った。
 監督も『ランボー』の海賊版コピーを観た事でオリジナルではないコピー(海賊版)から影響を与えられた事の意味と影響ってのがある。
 80年代ビデオデッキの普及に伴って映画は映画館だけ観るものじゃなくなって再生産のようにコピーされ広まっていくという最初の時代。
 オリジナルが正式な手順であろうがコピーされようがその中身によってウイルスに感染する様に影響していく。


 僕がずっと読んでいる大塚英志の代表作の一つ『摩陀羅』の事で彼が語っていたのは読者か編集者がアジアの片隅で違法にコピーした『摩陀羅』の海賊版が売られていたと教えてくれたとかなり前に言っていた。著者としては複雑な心境だったというがそれで届くのならそれもいいなと。


 僕が最初に見た裏ビデオは友人の兄が持っていた飯島愛のやつで、それもダビングという名のコピーで広まったものだった。わりと近い年代の人に聞くと最初に見た裏ビデオ飯島愛だという人は多い。確かナースの格好をしてたみたいな事で盛り上がった事がある。


 ある種の同時代性というのが商品の流通で触れているとあるのだが、ネットで裏動画とか見てるとそれが同世代だから伝わるとか共通するというのは減っているんじゃないかなと思うんだが。


 オリジナルとコピーの問題を考えてみたり、初期衝動があって何かになりたいとか憧れがあるとそれを真似る。例えばファッションだとか仕草とか髪型とか諸々。最初は誰もが真似から始めるしかない。


 彼らは『ランボー』を真似てランボーの息子として彼を救いに行く戦いを映像で撮ろうとする。彼らはその作品を撮るという事で繋がっていき友情を深めていく。
 ウィルは父親を亡くしている。彼にとってランボーはある種父の代わりであって、だからこそ父を救いに行くのだという事も大事な設定だ。
 彼の一家は厳格な戒律を守るプリマス同胞協会である。協会の同胞のおっさんがやってきては戒律を守れとか父親代わりにみたいな事を言うのだが、それはウィルにとっては最悪な世界だ。


 彼が自身で選んだわけではない宗教の戒律で縛られるという不自由。彼はそれらと戦う様にカーターとと共に作品を作りむちゃもするし傷だらけになりながらも自分がやりたいことやってみたいことをする。それ自体が戒律を破り、彼ら一家は追放される危機が訪れる。その時に母が選ぶのはどちらなのか。

 
 厳格な戒律があるプリマス同胞協会は物語がうまく機能する様に設定されているのもこの作品の上手さだと思う。
 カーターも父はいないが母は海外に行っていて兄だけが自分を孤独にしない唯一の家族である故に彼は兄に奉仕するような感じになっているが学校では問題児だったりする。


 その設定も最後にうまく活かされていてほろりとくる。


 『スタンドバイミー』や『グーニーズ』のように少年時代がどんなに糞ったれでも仲間と冒険する事で想像する事でそこから一瞬でも抜け出す事ができる、その興奮と楽しさはその時代にしか味わえない。だから大人になり観ると昔とは違った想いが沸く、ノスタルジーってやつね。


 『リトル・ランボーズ』もそれらの作品のように残る少年時代を描いた映画になると思う。
 まあ、でもこういう作品とか作る人ってずっと子供の精神持ってるからできるとは思う。大人になれないからできるっていうのもあると思うし、でも大人になってしまった人達がそういう人を支えて作品とかができるとは思うんだよね。


 そんなわけで大人になれそうにもないのでガキのまま足掻いて行こうと思います。大人の人達にヘルプしてもらいながら。


 そういえば松尾スズキさんの『宗教が往く』の文庫が上下巻出たんで買ってみました。冒頭から笑って読んでるけど「第一部」始まる前の「小説の前に」って前書きみたいなのが百ページ越えてけど自伝というか松尾さんの実生活だよね?っていう辺りがかなり読み応えあります。


 松尾さんがやってる『大人計画』の由来って子供時代にいい思い出がなかったという松尾スズキが「初めから大人でいいんじゃないか」ということでつけたものらしいよ。


 ドラマ『Q10』での『人はなれるものになるんじゃなくてなりたいものになる』という台詞は木皿脚本の優しさがあっていいなって思った。


 12月22日『グーニーズ 25周年記念 ブルーレイ コレクターズ・エディション』発売だって。四半世紀前の作品だった事にまずショックを受けました。僕が金曜ロードショーとかで観てたのは小学生の頃かな。


 1988年1月3日にTBSにて放送された劇場ノーカット版の吹き替えが収録。 マイキー:藤田淑子、マウス:野沢雅子、チャンク:坂本千夏、データ:菅谷政子、ブランド:古谷徹、アンディ:富沢美智恵、ステフ:岡本麻弥、フラッテリー一家:遠藤晴(ママ)、徳丸完納谷六朗郷里大輔(スロース)


The Goonies - The Goonies "R" Good Enough


 小学校の帰り道にあった高屋川の越えたら山があって洞穴みたいな場所があって何人かで遊びに行ったりしてたなあ、上級生が置いていったしけたエロ本とかあったりして気持ちとしてはグーニーズごっこみたいな感じだった。
 その中の一人が道路から川に降りる蔦みたいな梯子みたいなのから落下して骨折ったけど、そこに言ってるのがバレるからみんなでシラを切ったんだったけなあ。


 あの時に遊んでた連中の連絡先とか今何してるかとか全然知らないんだけど。そういう想い出とか記憶だけは残ってる。

リトル・ダンサー コレクターズ・エディション [DVD]

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定本 物語消費論 (角川文庫)

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宗教が往く〈上〉 (文春文庫)

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宗教が往く〈下〉 (文春文庫)

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グーニーズ 25周年記念 ブルーレイ コレクターズ・エディション(初回数量限定生) [Blu-ray]

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