Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ドライヴ』

 木曜日から今日まで実家の岡山に帰郷していた。今年中に書く小説の取材がメインで二年とかぶりに帰ってた。とりあえず祖母のインタビューをメモしながらICレコーダーも買って音声も録音した。それの文字起こしには時間がかかりそうだけど。
 あとは祖母の兄である人物がなぜアイルランド(北)に二十代とかで渡って農場or牧場をしていたのか彼がどういう人間だったのかという一番の謎であり書こうと思っている作品のキーはインタビューと遺品代わりにもらっていた彼のパスポートと1920〜30年代頃の祖母方の写真からだいぶ鮮明に浮かんできた。


 自分の名字にかけて(碇=石の定規=秘密結社のシンボルマーク)フリーメイソン的な展開もあるのか?と思っていたけどまあそれはフィクションとしてはありなんだけど実際はまた違うグローバルな人だった。
 アイルランドに行く前にはアメリカのロスに渡っていたり祖母の父の兄弟は上海で貿易商をしていたりとなんだか今のネットの時代よりもグローバルに動き回っている家系だったようだ。


 あと曾祖父母の時代には豆腐屋だった事を始めて知ったり父がなんでサボテン狂いなのかも紐解けたり(まあ隔世遺伝)したしアイルランドに渡っていた彼の職業やなんで生涯その地で住めたのかなどあとはそのアイルランドの住所とかもわかったし図書館で今回の物語に関して僕が使いたい事に関しても調べられた。


 もともとこの話を書くきっかけになった小説家の窪美澄さんに彼のパスポートの画像をツイートしたら「ひーっ。おたからだー! 学くんはさー、そういう役割なんだよね。おうちにとって。全うしないといけないよ。ご先祖さまが背中で「書け〜書け〜」って言ってるんだよ。(私もたまにそういう気持ちになることがあるので)」って返してもらったんだけど本当にそういう気がしてきたしたぶんそうなんだろう、一族のどこかに記憶ではなく記録するポジションがいるならばそれはまあ僕だろう。


 まず91歳になる祖母がボケずにハキハキと話ができて記憶力もハンパなくよかったことが本当に助かったんだけど。 今年中に仕上げます。仕上げたらどうなるかはまた別の話。


 一族の過去を探る事で時間を潜って行く事はデヴィッド・フィンチャー監督『ドラゴン・タトゥーの女』で主役の二人がかつての写真をパソコンに取り込んで様々な検証の末で犯人を見つけたみたいな感覚に近いんだと思った。


 百年とか経ったら子孫たちはこのネットワーク上で先祖のブログなりツイートなり画像や動画を見つけて何かを思うんだろう、ネット上のデータベースから過去は取り出しやすくなるのだろう。


 実家に帰ってる間に朝ドラ『カーネーション』終わった。家族で見てた。祖母の隣で糸子が死ぬ最終話の一話前とかなんとも言えない気持ちになったものだけど。
 最終回の最後に朝ドラ(『カーネーション』第一話)見てた老婦はナツだった、服音声ではナツだと言っていたらしいので間違いない。ちょっぴりメタな構成といい素晴らしかった。渡辺あやさん脚本の新作映画観たいしこのドラマの出来は本当にすごい。


 日曜日は『スペック 翔』がしたので見た。今週土曜日からは『スペック 天』の映画が始まる。重要なキャラだった谷村美月はもっと売れてもいいと思うんだがなあ、もっとブレイクしてもよくない?


 『翔』ではオリジナルとコピーを巡る問題が出てきた。n次創作が溢れる世界でオリジナルとコピーの関係性、トリック(まがい物と本物を巡る物語)の次がスペック(人の個性と記憶の脆弱性と真実と嘘)なわけだ。
 データベース消費的なスペックフォルダーの戦いとかはディケイドでありジョジョでありハンター×2を彷彿させて映画『スペック 天』は期待できる。マンガ・アニメ的リアリティ&身体性をドラマに持ち込めた堤さんらしい作品でもあるけど。『スペック 翔』は極めてゼロ年代的なサブカル要素をドラマに詰め込んでいる作品でもある。あとは映画『天』がどうなるか、そしてあるであろう起承転結の結な作品がどう展開されるのか。


 昼過ぎに東京に帰還。三時過ぎにヒューマントラスト渋谷で前評判の高かい『ドライヴ』を観に行った。主役のライアン・ゴズリングは去年僕が好きな映画だった『ブルーバレンタイン』の旦那さん役で相手役のキャリー・マリガンはこないだ観た『シェイム』でヤンデレな役をやっていて気になっていたのもあって。



監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
キャスト:ライアン・ゴズリングキャリー・マリガンブライアン・クランストン、クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマンオスカー・アイザックアルバート・ブルックス




ストーリー・「きみに読む物語」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング主演で、昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。デンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン監督が手がけ、2011年・第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。



 この淡々としていながら台詞も少ないけど加速していき最後にすべてを置き去りにする速度、そう届くには圧倒的な速度が必要だ。これは健全な肉体に宿る不完全な魂≒狂気の行き先の物語だった。


 ちょっとこれは面白いというかすげえなって。台詞もあんまりないし主人公はあまり語らないし行動で見せるみたいな感じでわりとエグいシーンも出てくるんだけどそれすらも冷静に過ぎて行く。
 ただ彼は守るべきものを守る為に敵から愛する女性をなんとか守ろうと彼らに牙を向いて行くんだけどそれがすごく映像としてもシンプルで過剰すぎずに演出されている。


 車のスピード感と彼の怒りの沸点が制限を超えた時にはすべてが終わる。『タクシードライバー』とは違うけどこの先そんな作品みたいに語り継がれるような何かがあると思う。


 ライアン・ゴズリングがとにかくめちゃくちゃいい。キャリー・マリガンも前観た『シェイム』のヤンデレな感じとはうってかわってすげえ可愛いし、敵方なおっさん二人が途中から渡辺哲さんとでんでんさんでいけるんじゃね? で主人公は村上淳さんでヒロインは吹石一恵さんで園さん組なメンツで日本版できるんじゃないかなって途中から思ってました。


 ちょっとこの映画は本当にオススメです。