Spiral Fiction Note’s diary

ライター&「monokaki」編集部スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「週刊ポスト」で「予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『It’s lonely talk 』

四年前にmixiに書いてた日記。映画『ハチクロ』を観た時に感じた事を書いていた。


月とナイフ スガシカオ


2006年09月20日


自分が無力だと感じる時、
自分が孤独だと感じる時、
自分が寂しいと想う時、
自分が笑いたいと想う時、


そこには自分ではない誰かの存在があって、その人の比重が自分の中で膨らんでいくのを止めることができない。
誰かが心の中を支配していくことで僕(主体である私)がより一層現れてくる、輪郭を増してくる。


一人で生きていくことはひょっとしたら可能かもしれない。 ただ、その場合、自分という人間は存在を失うかもしれない。


他に照らされる・向かい合うことでしか個は存在しない。
景色を見てる主体が存在するか、自分が景色に溶け込むかといったような違いだと思うのだけど。


何度も僕の日記に出てきてる『ハチミツとクローバー』ですが、漫画も最終巻が出たので、もう一度映画を観たいなあって思って映画を観に行ってきた。


二回目の場合は内容はわかっているので、いろんな見方ができるわけだけど。


主人公・竹本(櫻井翔)ははぐ(蒼井優)を見た瞬間に恋に落ちる。
これは漫画・映画共に共通している。

そのシーンで真山(加瀬亮)のモノローグ(心のこえ)がこの作品の始まりを告げる。


『人が恋におちる瞬間をはじめてみてしまった』


観ながら思ったことは恋におちたその瞬間に竹本は竹本とはぐの距離感の中で自分を認識したのではないかということ。


はぐ(天才)と森田(伊勢谷友介)(天才)が竹本の周りにいるわけだが、この二人は通う美大でも認知される才能を持つ。


真山(頼れる先輩であり、ストーカー気味な片思いをバイト先の女性にしている)と山田(関めぐみ)(気持ちを伝えるのが不器用な女の子・真山に片思い)とメインの5人の片思いの連鎖の青春群像劇なわけですが。


この作品は片思いがテーマだけど、そこにあるのは誰もが経験して感じる自分の存在はなにかというようなこと、わかりやすく言えば自分探しのようなもの。


愛される者と愛されない者、天才と凡人、未来と過去、出会いと別れ、手に入るものと手に入らないもの。


例えば、生きていく上での優先順位の在り方。
『愛情』を取るのか、『夢』『やりたいこと』を取るのか、そのジャッジは本能に委ねるしかないということ。


両方取れたらいいんだけど、何かを選べば他の何かを選べないということの方が人生には多い。
バランス感覚よければ両方取れるかもしれない、取れたら幸せになれるかもしれない、でもその幸せを妬む人もいる。これがややこしいんだけど。


その少しの絶妙なバランスが崩れたら、意外ともろいものだから人の心は平穏を失う。
平穏を失った心は大事なものを傷つけたり、自分から引き離そうとしてしまう。


大事だから傷つけてしまうという矛盾を抱えている人は多い。
素直になりたい時に限って素直になれないことってないですか?


バランスを崩さないようにするためにできることはきちんと自分の想いを伝えていくということしかないのではないだろうか。


吐き出せずに溜まったものは蓄積されて色を変えて濁らせ、毒を発生する。


伝えるということの必要性、伝わらないとわかっていてもそうしないと進めない状況、伝えるために必要な勇気や想いの在り方。


伝わらなくてもいいと思う、伝わらないからといって伝えることを止めると心が深呼吸できなくなりそうだから。


伝えることを続けていくと繋がっていく。
少し気が緩むと解けていく。


色んなことを考えてるんだけど、うまく言葉にできなくてもどかしかったりすることの方が多い。


それをなんとか自分の言葉にして伝えていきたいなあと思ってるけどなかなかうまくはいかないから、いろんなものを見たり聞いたりして触れてその力を付けていけれたらいい。


自分自身と話をしてみる、答えは見つからない、言葉は溢れてくるのに。
答えが見つかるのは誰かと話した後に、自分自身に問いかけると答えが見つかる。


孤独な話をしてみる。誰かと話してみる。
誰かを通してじゃないと自分が見えないような気がする。
何かを伝えることで自分の核ができるような気がする。
そんな気がする、今はなんかそれでいいような感じだから。


It's lonely talk



ハチミツとクローバー』2006年07月25日


家を出ると霧雨だった。
雨は好きで、傘がなく濡れてる時、僕はなんだか嬉しい。
霧雨は優しく降り注いでいた。


雨が濡らしたアスファルトの匂いが昔から好きだった。
鼻孔をくすぐる、何か懐かしい匂いがする。


映画『ハチミツとクローバー』をシネマライズで観に行ってきました。
雨も降ってたし、平日の初回だったので真ん中の良い席で観る事ができました。


そもそも『ハチミツとクローバー』はアニメの第一回を見て、おもいっきりモノローグにやられて、速攻でコミックスを買って読んだらハマったという出会いだったけど。


まあ、読んだ頃の心境が作品にシンクロして引き込まれたってのが一番デカイんだと思うけど。


『自分の好きな人が自分のことを一番好きになってくれる、
 たった、それだけの条件なのに、永遠にそろわない気がする』


という山田というキャラの台詞がこの作品をすごく現してるように思う。ちなみにハチクロ占いだと僕は山田さんらしい。


まあ、どんな話って言われたら全員片思いのお話だよって言えるわけだし。


映画は原作とところどころ変えてる、変えないと2時間に収まらないのと原作はまだ連載中なのである程度削り、設定を変え、原作にないシーンを入れないといけないんだけど、原作のいいふわふわしてる雰囲気を残してて楽しめた。


竹本・櫻井翔 原作にかなり近い感じで素朴感あり好感持てる。予告で木更津ワールドシリーズしててかなり今年おいしいんじゃないかなあって。森田・真山の後輩感がすごく出てた、そこかなり作品的に重要。


森田・伊勢谷友介 この人はなんかおもしろい、本当に天才っぽい雰囲気とか変人な感じ、世間の常識などおかまいなしの唯我独尊みたいな俺大好きみたいなのがおもしろい。


真山・加瀬亮 原作よりもストーカー度が増しているのがすごいのだけど、立ってるだけでいい画になる感じとかそういうのがあるのでクールな役でも存在感があるね。ロックンロールミシンの頃から好きだなあ。


はぐ・蒼井優 フワフワ感が原作に近くて、あんまり台詞ないけど、あまり喋らないので、顔とか動作でなんか伝わるあの感じは
さすがです、そしてかわいい、なによりかわいい。


山田・関めぐみ 原作みたいなスタイルのよさ、なにより目が、なんか目力がある。真山・山田の2人関係性がけっこう重要だったりするんだけどよかったなあ。目でかいよね。


他のサブキャラも花本先生役の堺雅人、理香役の西田尚美がすげえよかった。原作の匂いがする感じでキャスティングいいじゃんみたいなね。
あとはオカマの藤原兄弟の堀部圭亮宮崎吐夢がHGみたいな格好してるんだけどすげえ原作まんまでいい。
あとは中村獅童が車運転してるシーンあってなんか皮肉だなあと観ながら思ってしまった。


ふわふわしてる感じ、サクラの花みたいな淡さが終始匂ってくる映画。
伝えたいことを伝えられないもどかしさ、自分でも抑えきれない衝動も同居してた。


恋した瞬間に世界が色を変えていく、喜び、悲しみ、せつなさ、痛み、もどかしさ、進もうとする勇気が世界に色付けて、昨日とは違う風が吹いていく。


終わり方はすごく好きな感じでした。
映画だけの新たなシーンもよかったなあって、一つ気になるのは話とかじゃなくて音楽でした。


監督の人の略歴見るとジュディマリの『LOVER SOUL』のプロモとか撮ってる人で、『LOVER SOUL』のプロモすごく好きだったんだよねえ、けっこうCMも作ってる映像作家の人なんだけど、なんか音楽使い過ぎって言うか統一感がない感じがしました。
そんなの感じるのはごく少数なのか?台詞大事なとこ聴こえづらいとこあったし。
気になったのはそのぐらいかな、『松子』ぐらい使いまくったらもうすげえわって思うんだけどね。


また観に行くと変わるのかな、終わるまでにはまた観に行こうと思うんだけど。この空気感は爽やかでいい。


あと、伊勢谷君がおいしすぎる感があるけど、この人今年ツボにハマるぐらいいいわ、なんかいいわ、わけわからんけどいいわ。かなりおいしいわ。


青春モノみたいなあって人は観るとかなり爽やかな気持ちになれるんではないでしょうかねえ。


観終わった後、爽やかな気持ちになれて、劇場の外に出ると真っ青な空が広がっていて、ブックファースト前の信号で信号待ちしながら空を眺めていたらi-podから流れてきたsalyuの『彗星』聴いてたら空が滲んだ。


この作品観終わると一番会いたい人に会いたくなる気持ちが作用してくるように思った。


一番眩しい時、きっとその眩しさに気づかずにいるんだろう。
あとから振り返ればその眩しさを少し恥ずかくも想いながら、その過ぎ去った時間に憧れもする。


伝えること、それが一番難しくて、
伝わるとき、それが一番嬉しくて。


伝えることでしか人と人は繋がらない。
そんなことを考えながら青空の下を歩いた。


世界のどこかで今日もまた色が変わる、会いたい人と会える喜びの色や、会いたい人と会えないもどかしさの色や、様々な色が咲いていくイロトリドリノセカイ。


『水溜まりに映る空』   2007年03月06日


ガラスの向こうの風の強さ
風に吹かれる街と人の流れ


意識の向こうにはかつての情景
ふいに思い出す甘美な匂い
でもどこか苦くてふいに天井を


見上げてぼんやり光る電球
温かなオレンジ


自分の事はよくわからないから
他人の事もよくわからないし


ただ生活していく事はできるだろうけど
いやそれすら難しいかも


なんだか街も人もそわそわしてる
別れと出会いの季節だから


桜もフライングして咲いてしまうみたい
いつかのさよならも風に吹かれるのだろう


こんなにも人と擦れ違うのに
関係性を持てるのはごくわずか


後悔の繰返しだろう
なにかいい事があるといいね


桜色の風が舞うように
ふわふわと漂うように


再生を繰り返すのだろう
なにかいい事があることを祈ろう


僕には神様や信仰するものがないから
蕾の膨らみ始めた桜に
雨の後の水溜まりに映る空に


後悔を繰り返すだろう
再生を繰り返すだろう


なにかいい事があるといいね
なにかいい事があることを祈ろう


神様なんか信じない僕だけど
あなたになにかいい事があることを祈ろう


君に祈ろう
僕は自分を信じれないけど君に祈ろう


神様なんか信じないけど
季節が巡ることは知ってる


桜色の風が舞うように
ふわふわと漂うように


なにかいい事があるといいね
なにかいい事があることを祈ろう


蕾の膨らみ始めた桜に
雨の後の水溜まりに映る空に


 詩人にはなれないけど詩みたいな事とかまた綴ってみよう。と思う九月の終わり。


Bank Band (Cover of Miyuki Nakajima)/糸