Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ 』


 新生シネクイント(シネパレスがあったところ)で『バトル・オブ・ザ・セクシーズ 』をば。1972年辺りに実際に起きた事柄が現在の社会なのかと思うほどに異性愛、同性愛、結婚、男女差別を含んでいる。そこから進歩したはずなのに、なぜかあらゆることで差別が噴出し後退しているように見える。
 自分が偉いと思いたいから、誰かよりも優位に立つために誰かを貶めて、侮辱するしかなく考えることを放棄する。その根拠を大きな物語(国や民族、古くさい価値観)に求めてる人たちは誰かの自由や権利を認めない。そういうものをきちんと壊していかないと自由や権利がさらに奪われてしまう。
 共通言語がなくなって、知性とか知みたいなものがずり落ちたあとに分断されたものをいかにブリッジするか、ゆるやかな連帯とかって考えると今の条件反射的なネットの速度では無理だと思う。人は繋がりすぎてもいけないし、繋がらない誰かについて想いを馳せた方がいい、今の世界はあまりにも優しくなさすぎる。憂いに寄り添うためにはなにもかもが早すぎる。
 今のアメリカだけではなく、日本でも公開されることの意味が大きい作品だと思う。同時にそのことについて考えない人はどうせ観ないだろうとも思う。なにもかもが憂鬱だけど、少しでもまとな世界になればいい。