監督・中島哲也
原作・深町秋生
脚本・中島哲也、門間宣裕、唯野未歩子
出演・役所広司(藤島昭和)、小松菜奈(加奈子)、妻夫木聡(浅井)、清水尋也(ボク)、二階堂ふみ(遠藤那美)、橋本愛(森下)、國村隼(辻村医師)、黒沢あすか(桐子)、青木崇高(咲山)、オダギリジョー(愛川)、中谷美紀(東里恵)ほか
「告白」の中島哲也監督が同作以来4年ぶりに手がけた長編作品で、第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の「果てしなき渇き」を映画化。容姿端麗な優等生で、学校ではマドンナ的存在の娘・加奈子が失踪し、別れた元妻から捜索を依頼された元刑事の藤島昭和は、自分のせいで崩壊してしまった家族を再び取り戻そうと、娘の行方を追う。しかし、加奈子の交友関係をたどることで、これまで知らなかった娘の人物像が次々と浮かび上がる。本当の娘の姿を知れば知るほど、昭和は激情に駆られ、次第に暴走していく。ろくでなしの元刑事・昭和役で役所広司を主演に迎え、娘・加奈子役には新人・小松菜奈を抜擢。妻夫木聡、二階堂ふみ、橋本愛、オダギリジョー、中谷美紀ら実力派が共演する。(映画.comより)
tohoシネマズ渋谷にて。初日かな、たぶん。ずっと前から予告編を観て楽しみにしていた中島監督の最新作。原作の深町さんの小説は未読。
パンフレットに中島監督×浅野いにお対談が載っていると聴いていたのでGET。最後のスタッフロールに山戸結希さんの名前があったけどパンフみたらメイキングやってんのか〜。なるほど最近のツイートはその関連か。
ビジュアル的には予告でも期待大にさせてくれたので画的には作品に出てくる覚せい剤みたいにやってぶっとんでる感じになるのかなと思ったら予告位の長さでPVみたいな早さだとそれが活きるけど二時間ぐらいの映画になってクラブでのパーティシーンみたいなでんぱ組の曲とか使っているとことか映像もバンバン変えて主人公の藤島のシーンになったりするとどうもぶつ切りな感じでアッパーになりきれないんだなと。
観た感じはとっちらかってるなっていうのと二時間が長く感じた。役所広司さんはさすがだけど、やっぱり。
クライマックス近くのオダギリジョーの指が振っとんだ時に『多重人格探偵サイコ』で見たことあるやつや!とテンション上がった。のはビジュアル的にもオダギリジョーなら田島さんが描くキャラにいてもおかしくないから。
観ながら原作小説が気になったのは小説だとこれはどういう時系列にしてあるんだろうかということ。この作品の暴力性とかは原作者の深町さんの想いとか怒りとかが思いっきりぶつけられているのだとは思う、不満だとかやりきれなさとか真面目というか普通に暮らしている人を自分勝手な行動で踏みにじるとかそういう気持ちが小説に注がれたのだろう。中島監督が映像化するとグロいと言えばグロいし暴力的だし主人公はわがままで身勝手で物語の最後の雪のシーンもたぶんもう見つからないのにやめることはできないのだろう、考えずに行動をしていく主人公故にあの結末になったのだと思う。なので期待はずれではないけどなにかが物足りない。
加奈子を巡るこの感じは岡崎京子の『チワワちゃん』みたいな東京の中心が空虚であるというロラン・バルトが言ったみたいな人物だ。その人物を知る人たちによって浮かび上がる人物像が当人がどう自分を規定していようがその人間の本質であるというか見え方であり、僕らはその空白を誰かに埋められて規定されることで浮かび上がってきては沈んでを繰り返してやがて息をしなくなるのだろう。
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