Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『ヒックとドラゴン』

 プー太郎な初日は軽めに仮眠してから朝の田園都市線の満員電車に乗って渋谷へ。で副都心線で池袋方向に、すげえ空いてる。新宿三丁目で降りてバルト9に。1日は映画の日で千円デーなのを忘れてウェブでチケを取ってしまった。ガッデム!


 マイミクのぱてんさんに、ツイッター上だと水道橋博士さん、ラジオでは宇多丸さんがサイコロに当たろうが当たらまいが絶対にオススメですと言っていたので観に来たよ、『ヒックとドラゴン』を。
 で2Dで渋谷で観ようと思ったらぱてんさんに絶対に3Dがオススメって言われてたのと宇多丸さんも『インセプション』評の後にサイコロで外して「『ヒックとドラゴン』は3Dがオススメです」って言ってたしなあとバルトに。







 ストーリー/遠い遠い昔、はるか彼方の海の向こうのバーク島では、バイキングとドラゴンが長年にわたる戦いを繰り広げていた。あるとき、何をするにも冴えないバイキングの少年・ヒックは、ドラゴン・トゥースと出会う。傷ついて飛べなくなってしまったトゥースに近づくヒック。本来、敵同士であるバイキングとドラゴン。だが、2人の距離は少しずつ縮まっていき、やがて“秘密の友情”を築いていく――。


 北米では約2億1700万ドル以上の興行収入を上げている。また、このヒットを受けて続編の制作が決定した。公開は2013年を予定だけど日本では芳しくなく公開一ヶ月目の来週ぐらいで終了する劇場が多いらしい。
 確かに松谷さんにリプライ返してもらったけどヒットしなかった要因は「端的にキャラデザだよ。」と。僕は特に違和感なかったけど可愛げがないとやっぱり無理なんだろうなあ。


 宣伝がオードリーだったのもあんまり効果的じゃないよなとも。たぶんドラゴンの名前がトゥースだからオードリー使ったみたいな短絡的な事だと思うんだけどね。
 北米だと初登場一位でその後陥落したが口コミで五週目で再び一位になったみたい。


 物語自体はわりとシンプルな構成。バイキングのトップである父と弱気で村中の人からバカに心配されているヒック。ヒックの成長劇であるのだが、彼は本来は敵とされているドラゴンと心を許していくうちにドラゴンに乗って空を駆ける様になっていく。だが、ドラゴンを見たら殺せというバイキングの世界においては誰にも知られてはいけない秘密だった。


 ヒックはバイキングになるための修行を受けさせられる。当初は失敗ばかりだがトゥースや他のドラゴンとの触れ合いの中で戦わなくても意思疎通でドラゴンを従わせる術を身につけてトップの成績でバイキングの試験に受かっていく。父達バイキングはドラゴンがどこからやってくるのかを調べに行っているうちにヒックは成長して村でも人気者になっていく。


 最終試験ではドラゴンを殺さないと一人前のバイキングにはなれない。彼はある行動を取るのだが。

 
 ドラゴンのトゥースは猫っぽかったなあ、なんとなく。英雄神話の構図というか主人公は偉大な父あるいは王などの子供である。息子がいかに父親を乗り越えて行くかという普遍的な要素が入っている。
 エディプスコンプレックスみたいに父を殺し母と交わるという物語ではなく、母は亡くなっていていないみたいだし、父親とは考え方の違いでぶつかるが殺さない。


Jónsi - Sticks and Stones(スタッフロールで流れてたヨンシーの新曲)


 この物語には親の世代の考え方や固定観点を息子達の次世代が新しい価値観や発想で乗り越えて行くという部分が大きい。父親達は彼らを否定できないのは彼らの行動やバイキングなのに敵であるはずのドラゴンを乗りこなす事で本来の目的である事を達成していくから。それが凄く上手いと思った。


 最初トゥースが飛べなくなるのだけど、トゥースが失うものとヒックが失うものとか何かを得れば何かを失うというのもきちんと描けている。


 原作ではドラゴンを捕えて飼いならすことができる者のみが一人前とみなされ、出来ない者は一族から追放されるという掟があるらしい。一族のリーダーの息子のヒックはなんとかドラゴンを捕えることができたものの、それは歯無し(トゥースレス)でチビなため、皆から馬鹿にされた。そんなヒックとトゥースレスが巨大なドラゴンを退治しようとするという設定。


 映画ではドラゴンとバイキングは敵対関係だったりと諸々の設定変更があるがシナリオ的にかなり練られたのが伝わる。
 ヒックの現在の状態やバイキングとドラゴンの関係の説明とトゥースとの出会いと友情の育み、ヒックの成長とそれまでの秘密がバレて得た信頼や人気が一度全て失われる、そして失われた信頼をトゥースと仲間達と共にもう一度回復し父や村の人達に認められるという極めてシンプルな成長譚で上映時間も98分ととても観やすい作り。


 もっとヒットしてもいいはずなのになあと思える映画でした。親子で観に行くとさらに深い感動があるだろうというのはよくわかります。


 シナリオや物語などを勉強する人にとってはとてもよい作りのシナリオや物語構成だと思ったし、単純にいい映画だった。  
 まあ、いいキャラデザが日本人受けしないのはわかるけどもっと観られていいと思うしドラゴンに乗って飛行してるシーンの3Dは大迫力だった。

 
 とりあえず14日にあるフラグを立ててみました。ライン越えて行きたいっす。で浮かんだ曲が『でてこいとびきりZENKAIパワー!』だった僕はやばいとは思いますが。


『でてこいとびきりZENKAIパワー!』


 ああ、でも無意識化でドラゴン繋がりでこの曲が脳内で流れたっぽいな。単純な脳みそだなあ。

ヒックとドラゴン〈1〉伝説の怪物 (How to Train Your Dragon (Japanese))

ヒックとドラゴン〈1〉伝説の怪物 (How to Train Your Dragon (Japanese))