Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『OH MY LITTLE GIRL』

尾崎豊OH MY LITTLE GIRL


 今日は野島伸司トークをしに高田馬場にいくのだがどうやら雨らしい。雨といえば『未成年』の第一話で兄(谷原章介)の恋人である萌香(桜井幸子)に恋した博人(いしだ壱成)がデク(香取慎吾)に「彼女はきっと鞄から傘を出す、そいつが(デクの青い傘を見て)赤い傘だったら俺にもまだ脈があるってもんだ」と行って赤い傘の萌香が見えて二人がはしゃいで終わる。


「ただ俺は、この先もずっとずっと思いっきり
 彼女に会いたいだけなんだ」


 その十年後の『あいくるしい』で桜井幸子演じる夕子が雨降りの中バスから降りてくると差していたのは赤い傘だった。というだけで感動した僕がいる。


「早く大人になりたいね。そしたら誰も文句は言わないんだろ。ふーん、そうでもないの? 大人は大人で大変なんだね。質問。だったら一体いつなのさ、自由に羽をのばせる時は…」


『聖者の行進』
「弱い自分に苦しむことが大事なんです。人間は元々弱い生き物なんです。それなのに、心の苦しみから逃れたくて強くなろうとする。自分をなくすんです。強くなるというのは鈍くなるということです。自分の痛みに鈍感になると人の痛みにも鈍感になる。強くなったと錯覚した人間は他人を攻撃する。痛みに鈍感で優しさや思いやりを失う。」
「いいんですよ。弱いままで。自分の弱さと向き合い、それを大事になさい。人間は弱いままでいいんです。いつまでも」


世紀末の詩
二話「パンドラの箱
「・・・おれの言ったとおりだったろ。手術なんかやめときゃよかったんだ」
「いけないことでしょうか。愛する彼女の目が見えるようになって欲しい。自分と同じ景色を見せたい。そう思うことはいけないことでしょうか」
「現にそれと引き換えに愛を失った」
「人間は見ちゃいけないものがあるんです。互いに恋をし合うことはある。だが、愛し合うのは難しい。たとえば、夫婦をごらんなさい。恋をして結婚はしたかもしれない。しかし、いつしか熱が冷め、家族になったから愛に変わったと思う。ただ思うだけだ! 誰もが日々の暮らしに埋没して、愛があるのか確かめたりしないものです。確かめる人間がいるとしたら、必ず絶望するんです。その純粋さゆえに確かめ、愛などなかったと絶望する」
「そんなことはない!」
パンドラの箱には希望が残されたという。なぜ愛ではなく希望なんだ」
「愛などないと言うんですか。この世には愛などないと」


「人間は、とてもまぶしい瞬間に、とても大事なものを失う」


ハロー、ベイビー
僕はいつも不思議だね
人は見えるものを欲しがるんだ
いずれ自分は消えて行くのに


『美しい人』
私は静かな暮らしを好みます
子供の頃からきっとそうです
他人と何かを争ったり
もっと単純に、悪口を言ったり憎み合ったりする…
そういった人達が苦手なんです
欲望や自己顕示欲から離れて
愛するものは少なくていい
荒々しく吠える野生動物よりむしろ
静かに酸素を送る、そう、このハーブ達のように…
美しい人間でありたい


たとえばたわいもない事でケンカして、
あたしがこのカップをバンって投げるの
外は雨が降ってるのに、あたしは裸足のままで飛び出していく
そして王子様も裸足で追いかけてくる
毎日じゃない、時々そういう事があると幸せに思うの
あぁ、人生は素晴らしいって…


私は他人を悪く言う人間や、他人と争う行為自体が苦手だ
そこから生まれる虚栄や卑屈さに近寄りたくはない
交わらないことで孤独を味わうとしても…
子供の頃からそうだった
しかし、生まれて初めて他人に怒りを感じる
君に怒りを


発汗を促して解熱効果がある
ビタミンとミネラルが豊富で、特に鼻血を止める薬として有名だ
また、役に立つとも言われている
そっちは恋占いに使われていたんだ
呪文はね、確か…
グリーンアローグリーンアロー、白い花を咲かせる花よ
もしも彼が私を愛するならば
私の鼻から真っ赤な血を流しておくれ


こんな優しい夕日の中では、まどろむように見つめていたい
愛する人よ、愛する人
私は君に差し出せる何かを、まだ持っているだろうか
憎しみや嫉妬でなく
まして同情でも諦めでもない
君に差し出せる、美しい何かを…


この西洋タンポポダンディライオンと言うんだ
インディアンの民話の中では、太陽に似せて作られたものとされている
南風のシャワンタゼーは、ある日野原の中で黄色い髪の少女と出会い、
一目で恋をしてしまう
しかしある朝、いつものように彼女に会いに行くと、
そこには別人のような彼女の姿があった
北風が無残にも彼女を、
老婆のような変わり果てた姿に変えてしまったんだ
灰色の綿帽子をかぶった哀れな少女…
シャワンタゼーは失意の深いため息をついて、
白い髪を遠くへ飛ばしてしまった
それから季節が変わると、
彼は再び黄色い髪の少女たちを目にすることはあったが、
初めて出会った彼女はどこにもいない
シャワンタゼーは再び孤独の中で、彼女を想いため息をついている
…私はシャワンタゼーのようにはなれなかった
いつしか孤独に耐えられず、君という別の黄色い髪の彼女を…
いずれ来るだろう、彼女の苦しみに気づきもせず、私は…私は…


『リップスティック』
「そうだ。彼はとても才能があった。しかし、彼の才能は無限にわきでる泉ではなかった。それを使いはたしてしまうと、あとは身もだえするような苦しみが待っていたんだ。もはや想像力も涸れてしまった。わかるかい? 才能には二種類ある。使っても使っても、あとから補充される天性の才能と、環境やナルシズムによってつちかわれていく才能。ざんねんながら、君のお兄さんは後者だった。芯からわきでる創作意欲が失われてしまうと、あとは生ける屍になるしかない」


「僕は左脳人間なんです。あらゆる物事を論理的に解析してしまう。だから悲観的になってしまうんですね。常に最悪を想定して、そして想定したからにはそれを見てみたいという誘惑にも駆られる。だから僕にとって、あらゆる結末は悲劇的なものになるんです。その点、芸術家は右脳人間であるらしい。極めて楽観主義で、おおざっぱな人種です」
「そうかな、芸術家も悲劇的な結末を迎えた人は多い。僕の兄は絵描きだった」
「だった?」
「あぁ、自殺した」
「真の芸術家は自殺などしないと思いますが」
ゴッホも?」
「死に至った理由は本人にしかわからない」
「神によって、強制的にその使命を終わらせられることもある」
「神…?あなたは神を信じている?」
「いや」
「でしょうね、神とはこの空の抽象化に過ぎない。人間は自分より上と下の狭間で安定することを望む」
「無限にブランコに乗ってると、おかしくなってしまうかもしれないからね」


薔薇のない花屋
第9話
「お花屋さんは強いのね。おれはいいんだ、何にも執着しない。たやすく手放せちゃう。連れて逃げたってよかったのに雫ちゃんの事も私の事も。結局誰も信じてない誰も愛してない。ごめんなさい、私がそんな事言える立場じゃないのにね。今までほんとにごめんなさい、いっぱいいっぱいごめんなさい。さよなら。お花屋さん」


ラブシャッフル
「なんていうか、俺最近スランプでさ。ろくな写真が撮れない、つか撮れる気がしねえ。理由ははっきりしてんだ。お前。はあ、お前の絵、あれすげえや。自分が偽物っぽく感じちまった。モデルにいろいろつっこむのもパフォーマンス。ある種の洗脳みたいなものに過ぎない。そんな自分の安っぽさに気づいちまったが、トークのきれも悪い悪い。戦場カメラマンで、死にたくないやつを撮ってる自分のエゴに嫌気がさしたとかなんとか。お前に偉そうに言ったけど、あれ嘘なんだ。本当はびびちゃってただ逃げ戻って来ただけ。もう死んじちまったけど俺が尊敬するカメラマンのじいちゃんが言ってた。芸術家は電球に近づく蛾みたいに死に吸いよせられるだって。そしていつからか死から生を見つめる。それが暗闇から光を見るように、キラキラ輝くんだって。タナトス。それを制圧するものが真のアーティストだ。死を乗り越えて怪物になる。くそー。俺は偽物なんだ、安さ爆発カメラのなんとかさ」


『スヌスムムリクの恋人』
「人にはさ、躍る側と躍らされる側があるの。どっちがいいって事じゃないよ。オリンピックでもワールドカップでも、今日みたいなコンサートでもさ、その時その時躍らされて楽しむ人たちと、他人のお祭りには全く興味が沸かない人間がいるの」
「全くというほどじゃないよ」
「みんなが盛り上がってても、どこかシラけて感じる」
「うん、それはたまに」
「だったら、きっと躍る側よ」


「過度の美しさは男子には高い柵になる。実は意外とモテない。たいていダメモトで突っ込んでくるデリカシーのない男性に押し倒されて付き合ってしまう場合がほとんどだね。奇麗過ぎると、まともな男子は生身の存在だと思わずに、観賞用にするんだ。女性はよく花に譬えられるけど、君はフラワーショップの奥で、非売品のショーケースに入れられている存在なんだ。誰もが欲しいと思っても、それは買える物じゃないと承知している。一応、聞いてはみるだろうがね」


「自己責任ってなんだろう? 僕らは若い。希望や夢や好奇心に溢れている。それは時には危険を顧みない探究心だったり、冒険だったりする。それで間違った時、自己責任だと言われてお終いなのか? 勝手にしろ、したければ責任を自分で取れ? そんな消極的な鎖を付けられなくちゃいけないのか? あの時アメリカに媚びる為に、自衛隊は撤収されず、彼は見殺しにされた。日本に帰りたいと言ったのに。想像もできない恐怖の中で、そう言ったのに。あの時、この国は終わったんだ。今の大人の世界は、彼を、いや、僕たちを見殺しにしたんだ」


「私たちは似てるって、いつかナオキに言ったね」「うん」
「いいかげんで、無責任なとこ」「うん」
「だけどホントは違う。自分の中でしっかりとしたモラルがあるの。だから、それ以外は適当にもなれる」
「そう、なのかな?」
「誰にでも合わせられる? 八方美人? それも、自分のいちばん奥にある決定的な自分以外は、他人に譲れるからなの」


「ただ、いなくなると自分が寂しいから。もしかしたら、救えなかった自分が、その後苦しむのが嫌で」
「その気持ちは、残酷だけど僕の中にもある」
「誰の中にもあるよ。その証拠に、見ず知らずの人間が自殺しても、泣いたりする人間はいない」「うん」
「肝心なのはね、善人ぶらないという事よ。ナオキは自分の中の残酷さに気づいているからいい」
「そうなのかな」
「もしかしたら人の一生って、自分の中のそういう醜い部分と戦う為のものかもしれない。悪口言ったり、嫉妬や妬み、そういった部分と戦う」


野島伸司詩集(1998年2月刊行)
僕が死んだら焼かないで
土ん中に埋めてください
食物連鎖に加わりたいんだ
プランクトンに食べられて
草や花に飲み込まれ
いつか彼女に酸素を送ろう
僕をいっぱい吸っとくれ


尾崎豊(Yutaka Ozaki) - 太陽の破片

未成年 DVD-BOX

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聖者の行進 DVD-BOX

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あいくるしい DVD-BOX

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スコットランドヤード・ゲーム (小学館文庫 の 2-1)

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スヌスムムリクの恋人

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野島伸司詩集

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