Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「デーモン:フィクションゼロ」

 昼間駅に行って待ち合わせをしていたら、着いた電車から一気に人が改札を抜けてくる中、僕の前を普通に「大人計画」の村杉蝉之介さんが通り過ぎていった。シアタートラムで「大人計画」の舞台「サッちゃんの明日」がしているからそれに出てるんだっけなあと待ち合わせの後にキャロットタワーのある地上に出る地下通路(とは言っても地上の光がそのまんま入ってきてるけど)にはパブリックシアターとシアタートラムの舞台公演チラシが貼ってあるので観たら出てなかった。自分の劇団の舞台を観に来たのか、手伝いに来たのか、少し気になる。


 その後、三茶のある意味で第二のランドマーク的なゴリラビルのとこにあるお好み焼き「津久井」に行って昼食。いわゆる昔ながらのお好み焼きさんで、地元の田舎にあったような小綺麗ではなく店内もあんまり清潔な感じはあんましない、なんなら油でベトついているような感じで何度か来ている。夜は混んでるらしんだけど昼間に行くとさほど混んでないのでラクチン。

 
 自分で焼いて食うスタイルというか、まあ美味しく食べました。店内は熱くなるので扇風機が数台回っていて、入り口の扉が少し開いていた。茶沢通りは土日の一時から五時とかは歩行者天国になるのでそのアナウンスがずっと流れてた。五分前に、一分前にとか、そんなにしなくてもと思いながら焼いたのを食べた。


 家の近所の魚屋はたまにテレビで三茶特集とかあると紹介される。歩行者天国の日曜はマグロの解体ショーをやっていて何度も見かけているし、店の前を通ると店主のじいちゃんが大きな声でかけ声をしている、「安いよ兄ちゃん、切り身どう、何百円みたいな」感じで。
 ただ、問題なのは僕は刺身というか生ものが嫌いなので(食えなくないが食感的に気持ち悪いので美味しいと思えない)マグロの解体後の切り身を見ても美味しそうとかいう感想はまったく残念ながら沸かない。というといろんな人にもったないないと言われるがどうしようもない。


 実家は親戚が広島の鞆の浦で漁師をやっているので新鮮な魚をもらってたけど僕だけは刺身じゃなくて煮るか焼くかだった。食感がダメなものは年齢を重ねてもきついし、特に進展はしない。もし年上の人に寿司屋に誘われたら、など考えるが僕を寿司屋に誘う人は未だ皆無なので返答に迷う事もない。一番好きな魚料理は鯖味噌で、今一番行ってみたいのは渋谷の神山町にある「魚力」って店。


魚力
http://www.uoriki6709.com/index.htm


 ここの「さば味噌煮」は鯖の身を輪切りにして、じっくり12時間以上煮込んでて、骨まで美味しく食べられる様にトロトロにしているらしくてテレビで紹介してて初めてに近いぐらい店の店名と住所だけメモした。渋谷に行ってもNHKとか代々木公園とか松濤近くだからいまいち足が運べないで行ってない。「さばの味噌煮」食うぞって意気込んで行くのも違う気がするし。



 一気に大塚英志著「小説 アトム大使」を読んだ。角川つばさ文庫っていう幼児向けな文庫ですぐに終わるんだけどまあ小学生ぐらいまでがメインターゲットな文庫なのにもかかわらず、大塚さんが描いたこの「アトム」の物語はけっこうな現実を突きつけてて親が子供に読んでたらたぶん途中で嫌になるのかなって思った。


 イスラエルパレスチナの事とか、親もたぶん説明できないだろうし、戦争が始まる事についてとか書かれている。詳しく正確に説明できる大人も世間的には少ないだろうし、もうひとつの宇宙(宇宙が生まれた時に細胞分裂してもう一つの世界として誕生したもうひとつ宇宙)があってそこからやってきた宇宙人が地球の人間と遺伝子的にもほぼ同じな人がかなりの数いて宇宙人が地球に住むと同じ顔をしたもうひとりの自分のような他人がいてとか、彼らは移民で彼らの方が仕事をまじめにやると同じような地球人は仕事を奪われて宇宙人排斥運動に走ったり、これは結局外国人移民受け入れって言う事を宇宙人でしている。

 
 彼の作品には多くの外国人が移民としてやってきていろんな場所にアジールを作る話があるんで、それが良いか悪いかではなく結局老人が増えて若者が減ったら労働力確保で移民は受け入れるしかないでしょうという彼の考えがフィクションと結びついているということっぽい。


 真実を知られないためには都市伝説を装って嘘か本当かわからない都市伝説にまぎれさせて真実にフォルターをかけて隠すんだとか大塚英志作品に多々見られるというか大塚さんのある意味での現実をフィクションにぶちこむっていう作業を低年齢向けの小説でもやってしまっているということがびっくりで、けっこうアトムはこじつけで使った感じで、そういう世界の在り方を「アトム」の関連本として伝えようとしているのかなって。


「そうだ、確かに今はロボットは法律上ではモノとしてしかあつかわれていない。ちょうど昔、アメリカではアフリカ系アメリカ人が奴隷としてあつかわれ、人としての権利をみとめられずモノ扱いだったのと同じだ。けれど彼らはモノじゃない。何故なら、彼らにも心がある。心は誰のものでもない。君の心が君以外の誰のものでもないようにね」


 これを子供に読んで聞かせた後の親って・・・、歴史の経緯から説明する事がたくさんあるし、道徳上の問題も親がきちんとしてないと聞かれた事に関して答えられないしとか。大塚さんってもともと学校の先生になりたかったけど諸事情で編集者の道に入った人だから、今は大学で漫画の作り方とか教えてたりするんだけど、資質的に先生的なものがあるからこういうメッセージを自分の作品に入れて届く所には届かそうとしちゃうんだろうなあってここ数年強く感じる。


 仲俣さんに借りた本の二冊目「ヴァリス」が凄く難しくて進まないので「小説 アトム大使」に浮気っていうか手を出してみたり、本は同時多発的に何冊も平行して読んだ方がいいらしいとか聞くけど。で、昔立ち読みしたけどきちんと読んでなかった文芸誌「フィクションゼロ」って本をアマゾンで頼んだが来たのでさっきそれを買った理由のひとつである収録されている古川日出男「デーモン」を読了、舞台は渋谷だった。


 反対側から読むと『探求「話法」のゼロ地点 「ギーステイスト」とポストセカイ系世界』(トーク東浩紀桜坂洋仲俣暁生)ってのがあってそっちはページ数少ないから届いた時に一気に読んだ。東さんが若いっていうか痩せてる感じだ。仲俣さん全然変わってないけど。


「文化系トークラジオ Life」2009年9月27日「"居場所"の現在」Part5
http://www.tbsradio.jp/life/2009/10/2009927part5.html


 「デーモン」を読みながらサウンドトラックはSigur Rósにしてて終わりかけの頃に↑Part5が配信されたのでそっちに移行しながら読んでいたら仲俣さんが『探求「話法」のゼロ地点 「ギーステイスト」とポストセカイ系世界』での「ギーステイスト」の話を出して、あら今繋がったわと「デーモン」の世界にいながら感じた。


 「デーモン」の舞台は渋谷、ひとりの「少年」とひとりの「少女」が前半と後半に別れている、二人は出会わない。二人はあっちの世界で死んでいてこっちの世界に来たばかりで満員電車に乗っている。やがて内なる声の導きによって五感を取り戻して行く、そして視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚を取り戻すと暗闇の世界からこっちの世界の中へ。


 辿り着いた渋谷は閑散としている。渋谷は「すり鉢上」で谷で。スクランブル交差点が底になっていてそこから広がるすり鉢上の世界だということを自らのテリトリーを広げながら掴んでいく。こっちの世界の者たちは死んだ時の状態で留まっている、だから十一歳に見えるバイクにまたがって野犬を狩る少年はこの世界で十八年も過ごしている、「少年」は十八の誕生日を間近に控えていたが彼が十八になることは永遠にない。
 朝の五時、正確には朝の五時七分、に世界はリセットされる。自分の「属性」にないものは消える、盗んだバイクも護身用のスタンガンも自分の「属性」でないものはその時間にリセットされる。


 そして最後に九州には「デーモン」が上陸したんですよって言われた「少女」は「デーモン」を知らない、「少年」と「少女」は出会わない。あきらかに続きがあるだろうし、展開していく話に思えるが「フィクションゼロ」はこの一冊しか出ていないので続きはない。この本が売れなかったから二冊目が出なかったのかもしれない。


 冒頭には古川日出男による「フィクションゼロ宣言」があり、これが真っ当にいさぎよくカッコいい。


「本物の意志にはノイズなんて、ないんだから。そうだろう? さあ、光の中へ行こう。この瞬間から。いまから」


 これは最後部分だけども。「デーモン」の続きが読みたいと思うけどこれだと書き下ろしで出すしかないのかな。しかし二年前に出た雑誌が今の僕に届くってのはすごく素晴らしい事で。ネット上にも文字は残り続けるかもしれないけど本としてそこに記した文字の連なりが物質として存在して手に取って読むという行為から僕は離れられないだろうなあ。


フルカワヒデオスピークス!+200ミニッツ!!!
10月23日(金)渋谷O-NESTでの古川日出男200分連続朗読パフォーマンス
http://expoexpo.exblog.jp/10264677/


 ↑予約しました。いやあ、ここで「デーモン」してくれないかなって今思いました。しかし200ミニッツは古川さんも大変なのは重々承知ですが、たぶん渋谷O-NEST椅子とか出さないだろうから聴く方もバテるでしょう。まず立ちっぱで集中して聴くとなると精神力が一気になくなって終演後ボロボロになりそうです。しかし、今月の楽しみなんでなにがあろうと行きます。


『フルカワヒデオスピークス!』TWITTER
http://twitter.com/furukawaspeaks


 昨日TWITTER登録して一時間以内に登録解除しました。もう、いろんなとこに登録するのめんどくさいってこととmixiはてなで充分だなって思って。しかしTWITTERも宣伝に使われるんだなあ、というかそういうものなんでしょうね、ネットの文化って。


「kyanosblue」
http://kyanosblue.blog45.fc2.com/


 小説家の桜井亜美さんのオフィシャルブログ↑で「乙桜学園祭2」での情報が出てる。前回の「乙桜学園祭」に行った時は二年ぐらい前かな、トークゲストは当時まだ無名で園子温監督「紀子の食卓」を観ているか「時効警察」(園さんの演出の回)にちょいと出ているのを知っている人は知っているぐらいの知名度だった、今はっていうか今クールからの月9のヒロインになってしまっている吉高由里子だった。桜井さんとはデビュー前から知り合いって事だった。


 数日前に桜井さんが脚本を書いた「虹の女神」という映画で関わっていた岩井俊二氏がゲストだった。最近岩井さんのサイト「円都通信」もサイトリニューアルでずっと停止中だし、PWからのメールも来ないのでどう動いているのかまったくわからない。で、今日もゲストが岩井さんらしい、休めねえから行けない。岩井さんにはある意味で縁がない。


「天体小説 乙桜学園祭2」
http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=227


 一日には押井守さんがゲストだったらしくて、「乙桜学園祭」は小説家の桜井亜美さんと安達寛高(乙一)さんお二人の撮った映画を上映してゲストを呼んでトークする感じなんだが、乙一さんの奥さんって押井さんの娘だから、義理の父と義理の息子がトークショーって思うと面白かったんだろうなって、しかし行けるのが木曜ぐらいだから、だとするとゲストは「時をかける少女」の細田さんの日ぐらいか。

 
 このイベントに行けなくても今週末には下北沢で友人うっちーが所属するコントユニット・スペースラジオの単独ライブがあるのでこっちは絶対に行きます。トゥインクル所属なのでラーメンズエレキコミック好きな人は好きな感じのコントだと思います。


スペースラジオ第五回単独公演 『エンピツ』
日時: 10月10日(土)19時開演 10月11日(日)18時開演 (開場は30分前)
料金: 前売/2300円 当日/2500円 (全席自由)
場所:しもきた空間リバティ (下北沢駅南口より徒歩1分)


チケット:ローソンチケット
Lコード:30071
※特製鉛筆1本プレゼント。


スペースラジオのコント!コント!コント!」
http://spaceradio.jp/


スペースラジオ「映画予告編(presents)」.wmv


スペースラジオ「神よ!」.wmv


スペースラジオ「道徳の授業(presentより)」.wmv


スペースラジオ「ANTENNA」
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20080706


「CUTE ELEVATOR GIRL」
http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20090119

FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO

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エクス・ポ・ブックス1 フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)

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LAST DIARY

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