Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「hibari」「あるキング」

 こないだ「やりすぎコージー」見てて気になったサガミのコンドームのCM。


 概要は男は福岡から、女は東京から、その愛を確かめるため、走りました。 およそ一ヶ月に及ぶドキュメンタリーを経て、完成したCFをご覧 ください。2009年カンヌ国際広告祭フィルム部門で、日本では13年ぶりとなる金賞を受賞しました。ってやつ。


 男女のカップルがずっと走ってて真ん中に数字が出ててどんどん近づくと数字が減っていって単位はmmでこれ何のCMだって思ったら最後に二人抱き合って大阪城か? をバックに花火があがってサガミのコンドームのCMってわかる。


 最後にテロップで「それでも、愛に距離を 世界最薄コンドーム0.02mm」って出て巧いなって思ったんだけど、流れているのがなんか教授(坂本龍一)っぽいなって思ってて、聴いた事あるなって。
 で今日教授が昭和女子大でやったピアノライブのiTunesで買ったの聴いてたらその流れている曲やってた。どうり聴いた事あると思ったら。タイトルは「hibari」でその後のMCでピアノ二つで伴奏してるやつみたい。


Love Distance CF


 「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan」というこないだまでやっていたライブのベストトラックを集めたのがCDで出るらしい。「hibari」は思いっきり一番目に収録されてた。

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan


古川日出男「4444」8話「どこでアトムは記憶をなくしたか?」配信
http://mag.kawade.co.jp/4444/2009/08/8.html


 もはや集英社での古川日出男公式サイトが「聖家族」刊行し半年後になくなってから古川さんの情報はなくなってしまった。河出書房のこの小説連載サイトの近況での欄が今の所唯一の情報網。


 昨日ブログに書いた「ダンストリエンナーレ トーキョー 2009―限りなき瞬間― infinite moments トークイベント アーティストトーク黒田育世×古川日出男」がとりあえず最新のニュース。去年の時点で話に出てた「LOVE」の続編にあたる「MUSIC」は本当に今年刊行されるんだろうか? 一部はフルカワヒデオプラス「MUSIC:無謀の季節」に入ってるんだけど、読みたいんだよなあ、「MUSIC」を。

聖家族

聖家族

LOVE

LOVE

MUSIC: 無謀の季節

MUSIC: 無謀の季節


伊坂幸太郎著「あるキング」読了。


「おまえは王になるためにこの世に生まれてきた」


 天才が同空間に存在するとき、周囲の人間は恐れ敬うのか、それともー
 王になるべき運命づけられた男の物語 帯より


 あらすじ
 弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求(おうく)。“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられたひとりの少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。
 期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるためにー。


 210ページほどですね、読みやすいので集中すれば二時間かからない感じ。読んだ感想としては「おやっ? いつもの伊坂さんとは少し違うような」感じでしょうか。


 前作「モダンタイムス」と前々作「ゴールデンスランバー」とはかなり違う意識で書いたんじゃないかな。この二作と比べるとあんまり考えないで読み進める内容だった。


 「ゴールデンスランバー」の最後にあるどんでん返しみたいな伏線を張り巡らせて一気に片をつける爽快感ではないが、伊坂さんの短編の時の感覚って言っても伊坂さんは短編が数話の集団で長編の形になってたりするのでややこしいが、短編における人物のリンクとか伏線の使い方をした長編というところだろう。


 実際は主人公の王求が、まあこの名前普通に横にしたら球っていう、確実に虐められるぞみたいな、それすらも軽く乗り越えるだろう、王になる男ならという両親の優しいのか優しくないんだがわからないことで付けられているが、彼の何歳っていう、例えば0歳の章、3歳の章って続いて、毎年あるわけじゃないんだが、一つの章を短編と考えれなくもない。


 伊坂作品におけるこの人物がここで出てきたとか、あっこんな人物が前半に出てきたなみたいな登場はもちろんある。他の伊坂作品とは今作はリンクしてないっぽい。
 まあ、仙台が仙醍になっている時点でこの世界とは違うパラレルワールド設定なので仕方ないな、黒澤でも、泉や春が出てきたりしたらもろリンクだが、まあない。


 作品としては物語の基本「行って帰ってくる」構造かな、厳密には違うけど終わり方はそういう感じだった。伊坂さんぽいなっていう台詞は、


「ひまわりの種に、ひまわりを目指しているんですか、って質問する?」


 というある意味回りくどく、癖のある言い方。これが読んでいると問題ないのだが、たぶん実際に言われたらイラっとくるかもしれない。


 そういう部分が映像化した時の問題点でもあるんだろう。脚本でまったく小説と同じ台詞を使うと実際にこんな言い方しないよってなる。


 読んでてそういえば伊坂作品って今作なら王求だったり、「重力ピエロ」ならば弟の春、「アヒルと鴨のコインロッカー」では河崎などの主人公であってもおかしくない人物を春なら兄の泉、河崎なら椎名と周りの人物から見た視線で物語が展開される。王求ならば神の視点や、同級生など。


 まあ、春の視点で書くと最初からネタバレだし、まあ河崎もだけど。王求の場合はそれと少し違って、彼は「天才」であり「王」であるので彼の視点からの物語はズレるんだよね。


 周りにいる平凡な人間から見える畏敬してしまう彼を彼らが物語ることで彼がいかに凡人離れしているか、超越してしまっているかを描いている。


 今作が今までの伊坂作品とは違って「おまえは」っていうこれは王求のことだが、神視点で語られることもどこか雰囲気が違っている要因。


 途中で古川(日出男)さん方面に行こうとしてんのかって思ったし。


 伊坂さんの方が圧倒的に古川さんよりも本売れてるんだけど、どちらも村上春樹影響下にあって、伊坂さんは春樹チルドレンと呼ばれる作家の一人だったりする。


 古川さんはあえて違うやりかた(インプットは同じでもアウトプットの方法論がまるで違う)で作品を書いている、だからある意味でカルト的な人気というか、古川文学と言われる特殊性を持っている文体になる。たぶん古川さんと村上さんは精神的には似ているというか近い印象を受ける。


 伊坂作品が好きならば基本的には村上春樹作品は好きになる。というのは村上春樹の文体や、センス、世界観に影響を受け、それを受け継いでいる作家が春樹チルドレンだから。


 「1Q84」がなんだかんだ言っても今年一番売れた文芸作品であることは間違いない、これ抜ける作家いねえだろ。かなりラノベじゃねえのか、これっていうツッコミがあるのと「エヴァ」以降的な作風というかけっこう意識したんじゃないかなって思う部分もあるんだけどね。


 村上春樹は未だに多くの世代に読まれている作家で読者の母体数もかなりの数だ。だから彼の文体やセンス世界観を引き継ぐ作家が売れるのは至極当然と言えば当然なのだが。多くの彼の読者はすでに抗体ができているようなもんだから。


 僕は村上作品の長編を読むには読んだがそこまでハマっていない、それ以前に彼の影響下の作家の作品を先に読んでいたので新鮮みがなかったっていう。
 伊坂さん読んで古川さん読んで、じゃあやっぱりその作家が影響を受けた作家を読むのはしとこうっていうノリで先祖帰りした。


 「あるキング」はけっこう好きですね、まあ終わり方が好きというかメビウスの輪みたいな終わりと始まりが連続しているように見えるあたりが。 最近文庫化された「終末のフール」あたりの短編が連続して長編の形になっている伊坂作品の新作も読みたいけど。


斎藤和義「幸福な朝食 退屈な夕食」



 伊坂作品読む時のBGMは斎藤和義。伊坂さんが作家になろうと思った時に肩を押してくれたのが「幸福な食卓 退屈な夕食」だったらしく前に一緒に本だしたりとかしてた。


 しかし、読書の秋だけど「1Q84」の続きの「BOOK3」とか「BOOK4」とか出してきそうだなあ、冬から来年の初冬にかけて、秋にいきなり出してくれてもいいんだけど、読むから。


 だって、出てるの上下巻じゃなくて「BOOK1」「BOOK2」だし「BOOK2」の終わり方が投げっぱなしジャーマン・スープレックスだからすげえ消化不良なんだよねえ。


 気持ちとしては「エヴァ」旧劇場版の最後のアスカの「気持ち悪い」発言まで行かないで、病室で寝ているアスカをおかずにオナニーをして「最低だ俺」っていうシンジで終わってて、「えっこれからどうなんの?」っていう。


 レジ前の大型テレビでずっとこのUNOのCM流れててさあ、もはや見飽きてきた。四人のバージョンひたすら繰り返しだから。ロンドンでロケってるんだよね、でも一番の驚きは菅井きんさんが出るっていうとこ。


 瑛太って昔「濱マイク」のドラマ版に出てた時は英語表記のEITAだったよねえ。資生堂って良い意味でも悪い意味でもCMに金かける姿勢は崩さない。その分商品にその料金付加されたら本末転倒なんだけど。


 18歳の社員の子に聞いたら好きな感じのバンドは9mmにラッドにエルレ(ザ・ハイエイタス)らしい。なんか十代の終わりから大学生ぐらいまでのロキノン系だとこうなるんだろうな。


 キングってことで最近はRCサクセション「RHAPSODY NAKED [Live] 」をよく聴くんだけど「トランジスタ・ラジオ」が入ってないんだよなあ。


トランジスタ・ラジオ」忌野清志郎 佐野元春

あるキング

あるキング

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2