Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

ダライ・ラマと古谷実とエクス・ポ

likeaswimmingangel2008-11-07

 ダライ・ラマ法王の講演を聞きに両国国技館に行ってきた。中々生で見れる機会もないし、今の法王が死ぬと次のダライ・ラマがどうなるかという問題とかもあって。外人さんが多かったなあという感じ。

 
 始まるまで時間があったので行く途中に買っていた古谷実の新刊「ヒメアノ〜ル」一巻を読む。席が二階席なんだが枡席で座布団があって二人で一つの席みたいな感じだった。生まれた時に股関節に難があってコルセットみたいな矯正具みたいなのをしていたので股関節が未だに固い、なので胡座をかけない、かいてもすぐにしんどくなるので正座か女座りしないといけない、のである意味集中できない席だった。


 一人で読みながら国技館で笑ってました。笑ってるけどしんどいのもあったけど。
 清掃員のバイトをしている岡田は希望もなくつまらない日常が過ぎていく、恋人もいない人生を不満に思っている。職場の年上の安藤に自分と同じように思っているのか聞こうと飯に誘った所、めっちゃ恋してると言う発言をされて岡田は巻き込まれていく。
 カフェのバイトの女の子(ユカ)に恋してるという安藤に付き添ってその店に行くと「絶対ムリじゃないですか?」と言わざるおえないかわいい子だった。そのカフェで岡田は高校時代の同級生でめっちゃ虐められていた森田をみかける。森田はパチンコ屋の常連に誘われて金持ちのおばさんの旦那を殺す計画に参加するのだが、という感じでしょうか。


 かなりしんどいです、面白くもありますが。
 ひとりぼっちの自分が女の子と付き合えば今よりもマシで自分は幸せになれると考えている節がある岡田と安藤。ユカの友人として現れたキノコ女(例によって古谷マンガにおけるかわいい娘の隣りにはめっちゃブス)に二人は痛い所を突かれまくって凹みます。


 前作の「わにとかげぎす」と同様の展開が見られます。
 ネタバレにすらならないですが、ユカが好きになるのは岡田です。そして彼らをつけていた安藤はユカが告白するのを聞いてしまうという事態。
 かわいい女の子が自分のことを好きだと言ってくれるというのは嬉しくていちゃいちゃしたくて堪らないわけですが、問題は安藤との関係性です。


 誰かに認めてもらって好かれてもそれで幸せになれるというわけではなく、それによって新たな問題も出てくるわけで。
 秋葉原の事件の彼のように自分を承認してくれる恋人さえいれば僕は幸せなのにと思っていても、そんな人がもしも現れたとしても問題はそこからまた出てくるし、という想像力は彼らにはありません。


 彼らと今の所はあまり関わりのない森田の物語と交わり始めるのが二巻以降でしょう。めっちゃ恋してると嬉しそうに語ったりとかいきなりかわいい女の子に告白されるとかの日常と同じ日常で人は人を殺したり騙したりもしています。という世界がこの世の中で瞬間瞬間で起きている出来事。


 古谷実ヒミズ」以降はかなり痛い事を描いているけど、空気感的に今の時代の空気だと思うし、「シガテラ」の終わり方の方が僕には「ヒミズ」よりも痛かったりしたけど。
 古谷作品の一番の皮肉は普通だったりダメな主人公を認めてくれる彼女や女の子がいるところ、しかも胸まである!
 皮肉だと僕は思ってるけどそんなにかわいくて胸もあるスタイルいい子はいねえよっていう、いても僕らに近づいて来ないよっていう。まあ作者の願望の可能性も高いけどね。


 ダライ・ラマ法王の講演は登壇してみんな立ち上がちゃったので僕も立ち上がって拍手して右の方を見たら見たことある光景だと思った。前に夢で見た事がある角度、目に見える人の服や仕草、とか一瞬だけ世界がカチッとするようなデジャブ。まあ、たまにあるけど何の役にも立たない。


 ダライ・ラマは英語で話をして、何分か話した後に通訳さんが話すと言う感じで。英語わからないから通訳するまで待つのがしんどかった。見た目は普通のおじいちゃんだよ。そういうのを確かめたかった。
 ヒーリング能力とか信じてないよみたいな、あるんならこの間胆石の手術する前に治してもらいたかったみたいなことを言っていた。


 不安とか怒りとか心の不安を解消するのにはその反対の感情を持って解消するしかないとか。それたぶん一番難しいことだと思うんだよね。

 恨んでる感情を消すにはその相手に尊敬だとか愛情を向けるってことだろうから、それってしんどいなあって。恨みで生きていける人はいる、恨みとかいいとは言えない感情でもあれば人は生きる理由ができたりするし。


 後半はほぼ寝てましたけど。最後は質疑応答みたいな感じでアリーナに列を作って一人ずつ質問してそれに答えるという形を取ったので、あまりにも背中が痛くなったので帰った。 昨日は両国国技館まで行って「ヒメアノ〜ル」を読むと言うレアな日でした。


 前回のVOL.2に行った「エクス・ポナイト」が年末に2DAYSやるとは聞いてましたが、かんなり執筆陣総集合ですね。
 まあ、29日はCOUNTDOWN JAPANに行くんで30日だけはなんとしても行きますね。だって、LIVEで大友良英×ジム・オルーク/フルカワヒデオプラス(古川日出男 + 植野隆司(テニスコーツ)+ イトケン(d.v.d) + 戸塚泰雄(nu))があるんで。


 大友良英×ジム・オルークは以前に書いた→http://d.hatena.ne.jp/likeaswimmingangel/20080914での 「ダニ・カラヴァン展+1−音楽とともに展覧会を鑑賞する」の時に初めて聴いたと言うか体感した。フルカワヒデオプラスも前回のVOL.2で観たと言うか聴いたと言うか体感したので観たい。
 あとはchralieこと鈴木謙介氏が東浩紀氏の前でどうなるかなっていうのもね。charlieは舞台を一緒に観に行った時に東さんの前ではムチャしないと言っていたがきっとみんなに酒をショットで飲まされるだろう、まあ年末だから飲んで騒げばいいと思うけど。二日酔いのままで年越しはしたくないので僕はのんびり飲もうと思いますが。


 「エクス・ポナイト VOL.3」http://expoexpo.exblog.jp/8835948/


年末の超押し迫った時期ではありますが、超豪華版でお送りします。


2008. 12.29(月)/30(火)
会場:渋谷 O-nest(Tel: 03-3462-4420 http://www.shibuya-o.com/
時間:両日ともopen 16:00/ start 17:00〜 ※開場時間にご注意下さい。
料金:各日 ? 3,000(drink別) ※ 当日券のみの販売となります。


《12月29日》


●LIVE
空間現代
にせんねんもんだい
DJまほうつかい AKA 西島大介
大谷能生トリオ(仮)


TALK
*マイク・パフォーマンス「エクス・ポ第一期レギュラー(ほぼ)全員集合!」
吉田アミ雨宮まみ松江哲明鈴木謙介福永信冨田明宏栗原裕一郎西島大介大谷能生、生西康典、藤井仁子豊崎由美仲俣暁生円城塔、萩田洋文、冨永昌敬、スズキロク、宇波拓佐々木敦、ETC...(全て予定)


スペシャル座談会「"雑誌"のサヴァイヴァル」
矢野優(「新潮」編集長)×品川亮(「スタジオボイス」編集長)×山本充(「ユリイカ」編集長)×太田克史講談社BOX部長)+佐々木敦(「エクス・ポ」編集長)


《12月30日》


●LIVE
HOSE
大友良英×ジム・オルーク
フルカワヒデオプラス(古川日出男 + 植野隆司(テニスコーツ)+ イトケン(d.v.d) + 戸塚泰雄(nu))
他(追って告知します)


TALK
*「小説と小説以外と小説」岡田利規×長嶋有×福永信
*「メタ国家論とサブカル(チャー)」鈴木謙介×萱野稔人×東浩紀
*「増殖するカオスモス大友良英×宇川直宏×菊地成孔
(内容は11月1日時点での予定です)

ヒメアノ~ル(1) (ヤンマガKCスペシャル)

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