レッドブルを飲んだ次の日には爆睡するのは疲労の蓄積のせいだろうか。遅刻をしました。
今日は棚卸しで深夜の一時に終わったので、ツタヤに寄り本屋を物色。帰郷する時用に江國香織「左岸」を行きの新幹線の中で読もうと思ったら、辻仁成「右岸」が平段に積まれているのに左側がスコンと空いていてなかった。やっぱり江國さんのほうをみんな読むのか?どうなんだろうか、僕としては女性視線からの物語を読んで男性側からの視線の物語を読む方がいいなあって思ったんだけど。
ABC六本木店での「古川日出男さんの本棚」のコーナーに江國香織さんの作品は3作品あって「がらくた」「思いわずらうことなく愉しく生きよ」「雨はコーラがのめない」だったので久しぶりに江國さん読もうと思ったら「左岸」出てたから気になっていたんだけど。
帰るまでに買えたら新幹線で読もう、帰ってからはのんびりと古川日出男「13」を一気に読もうと考えている。
新書コーナーに大塚英志「ストーリーメーカー」があった、最近の大塚さんは「物語」の作り方についての本が何冊か出ている、大学でそういうのを教えているのもあるし、もともと先生になろうとして試験落ちてマンガ編集の道に進んだ人らしいから教えると言うことは向いているというかやりたいことなんだろう。
あとがきからいつも通り読むと秋葉原の事件などのことに少し触れている。最近の事件を起こした若い人に小説めいたものを書いていたり、ブログに書いたりしている人間が多い事について、自分の内面を不用意に出した事で一線を越えてしまう人が多いと指摘している。そういうものが稀に文学になりえることはあると認めてはいる、だからこそ不用意に書き出して内面が暴走するのを抑えることに「物語」を書くということは意味があると。
新書は出てるけど大塚さん「新現実」をいつ出してくれるのか。
でコミックコーナーに行くと「ALL ABOUT 渚カヲル」というエヴァの関連本が。すごく角川的な匂いがしたので裏を見たらやっぱり角川が出してた。大塚英志原作「MADARA」シリーズにおいてのメディアミックスの実験以降角川はそれをきちんと確立した感がある。「渚」と書いて「シ者=使者」であるカヲルの本ってと思いながら手に取った。
ひょっとして新劇場版の第二弾「破」が来年夏公開だからそこまでひっぱるために角川はエヴァキャンペーンやってるんじゃないかという邪推が。たぶん儲けれる所はいくらでもやるという良い意味での株式会社である角川、貪欲にマニアから金を吸い上げる商品を作るなあ。
完全に渚カヲルのアニメと映画のシーン説明とマンガでのカヲルとシンジが出会って握りしめて殺す所までを収録。
本をめくると最初の所で新劇場版「序」の終盤のカヲルが目が覚ますシーンの映像がコマ割りで使われ台詞が書かれている。そして劇場で観た時に監督である庵野秀明氏が映画公開前に出したコメントにあったエヴァは繰返しの物語ですの意味であるかのような台詞「また三番目とはね。変わらないな、君は」が。
完全に渚カヲルのアニメと映画のシーン説明とマンガでのカヲルとシンジが出会って握りしめて殺す所までを収録。
押井守「スカイ・クロラ」を観た時にオチがこれも新劇場版「エヴァ」と同じっていうか、アニメ界の第一線のクリエーターがなんでどうも同じように繰返しの世界を書くのか不思議だったけど。僕には新鮮じゃないというか最初にハマったサブカル的な作品が「MADARA」だったからもういいじゃんって思ってしまう所はある。
「MADARA」は輪廻転生の物語、つまりは何度も生まれて出会って死んで、また違う時間や場所で出会ってという繰返しの物語だった、これはメディアミックスを展開するために必要だったのかもしれない。「MADARA」を構成する物語は設定上108あるとされていたし、最終的には輪廻転生の繰返しの中で壊れていく者がいたりしてそれは物語だけど生々しくてリアルに思えた。
「スカイ・クロラ」は何度も死んでは生き返って記憶を無くして経験値だけは上がって、でも世界で唯一の大人ティーチャーには勝てない、大人になれない世界で成熟を留保していると鈴木謙介氏も語っていた。
「ストーリーメーカー」のあとがきでも大塚英志氏が村上春樹「スプートニクの恋人」で宮崎駿が「風の谷のナウシカ」以降、女性達の自己実現の物語を構造的に洗練した形式をもって描きつつ、その前に世界に届いたジャパニメーションや海外に届いた文学(大江健三郎、村上春樹、吉本ばなな)は総じて「構造」が突出していて柄谷行人が汎世界化した日本文化を「構造しかない」と言い捨てたと書いている。
しかしこの国の近代的な男性作者は女性の自己実現の物語を好んで描く一方で、男性たちには成熟を留保させる印象があります。彼らは「構造」的な物語に作り手として向かいながら、その「構造」が強いてくる主題に抵抗し、そこに作品としての固有性が成立している印象さえあります。と。
繰返しの中で留保すること、答えを出すのを恐れているかのような感じ、なんで男性には成熟を留保させるのか、と短絡的に考えると名前の上がった作家は戦争の頃を知っていたり、学生運動や革命を叫んでいた同年代がいたり、それをテレビとかでリアルタイムで幼少期に見ていたりする。
負けたことを引きずりながら生きて来た世代、あるいは勝てない事を知っているからこそ留保?女性の自己実現を描くことで女性的な世界を求める、あるいは女性的な価値感の世界になることを目指した?どうだろう。だけど戦争は男性的な視線の上で成り立つとも考えられるし、フロイトによればピストルは男根の象徴らしい、戦争は銃をぶっ放す、精液の掛け合いみたいなものだから、それを拒否するために成熟を留保しているのかもしれない。
ツタヤで買ってから同じ職場の人の家にもう一人のバイトと行く。行って部屋でずっとガキの使いの昔の録画したDVDを観た。ブラマヨ小杉さんの七変化とか、なんやねん「伝統芸能はげ踊り」って笑うわ、あれは。あとは浜田さんが聖飢魔?のデーモン小暮さんのような格好をしてバンドをやる回とかね、爆笑です、ハイテンションとかも観て。
それから販売されている「山崎vsモリマン」を。観覧募集応募したから当たったと仮定しての過去の対決を振り返る。圧倒的に負ける山崎邦正という奇跡、笑いの神が舞い降りてきて、笑いの神が小躍りしているかのような出来事、リアクション、なにもかもが笑いと言うものへ向いている、それを起こすだけで彼の価値は笑いと言う面では素晴らしい、計算できないことが起きる、それを笑いの神が舞い降りたと表現するのは間違っていない。
繰り返される負け戦、経験値は役に立たない、ティーチャーというべき存在の実力のモリマンに負け続ける山崎邦正と言う名の永遠のベビーフェイス、それはすなわち「キルドレ」ではないのか、劇場版「スカイ・クロラ」と「山崎vsモリマン」を並べてこんなことを論じるというか言ってるやつは僕だけだろうな。
RADWIMPS - オーダーメイド
「エクス・ポ」vol.6第一期最終号で鈴木謙介連載「うろ覚えJポップ時評」最終回「祈りから願いへ」の中で扱われているRADWIMPS 「 オーダーメイド」。「90年代の繰り返しゲーム」のようですらあった00年代のほんとうの終わりとして前面に出てきた「願い」を歌うRADWIMPS。彼らは一気に支持されて多くのファンがいるのは彼らの歌が「願い」として共有されているからこそ届いたとすれば、その意識を持つ世代がの感覚がこれからの10年代にその「願い」が形になると少しは変わっていくのかな、世界は。
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ストーリーメーカー 創作のための物語論 (アスキー新書 84)
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