Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「グーグーだって猫である」

likeaswimmingangel2008-09-11

 シネマライズ犬童一心監督・小泉今日子主演「グーグーだって猫である」を観る。犬童作品は同じくシネマライズで「メゾン・ド・ヒミコ」を二回観て以来だ。
 犬童監督「タッチ」は観てないし観るつもりも1ミクロンもない、あだち充原理主義者としてはまったく惹かれる要素がなかったのだ。
 「ラフ」が一番好きな作品だが映画「ラフ」も観る気が起きず、そこまでやるなら「みゆき」も映画でしろやと思ったがしなかった。昔永瀬正敏さんで「みゆき」の映画をやったような気がしなくもないが観た事はない。


 犬童一心監督「ジョゼと虎と魚たち」が一番好きな映画だと言ってしまうような人間ではあるが、まあ、あのラストが一人でシネクイントで観て項垂れて帰る僕には強く残ってしまった、ある種トラウマだな。
 「帰れって言われて帰るようなヤツは帰れ・・・おって」等秀逸な台詞も響くのだが、あのラストだからこそ多くの人に中に残っているのだと思う。


 恒夫(妻夫木聡)の選択によって、自らの選択で彼は嗚咽すら漏らす、まったく情けない、でもわかるあの感じ男の情けなさがそこにある、大事なものを手放してしまう。大事だからもう一緒にはいれないからこその選択で彼は想い出と後ろめたさで歩けなくなってしまう、そして恒夫が去って行った家に一人いるジョゼ(池脇千鶴)は自動車イスで街をすいすいと進んでいく、かつて車イスを押してくれた恒夫はいなく、でも自らの足を手に入れて彼女の日々は進み、いつかこの人はいなくなってしまうだろうと覚悟していた諦めていた彼女は内面を出さないで自動車イスを走らせる。
 男は恋愛すると弱くなって、女は強くなるって「ハチクロ」の真山が言ってたのかなあ、まさしくな終わり方でした。


 「グーグーだって猫である」は少女漫画チックな匂いがする作品っぽいので観ようとは思っていた。あだち充少女コミックっぽさはあったりはするのだけど、フラワーコミックスで「スローステップ」を連載してたこともあったしね。岩井俊二作品も少女漫画チックな匂いはするけど、犬童作品とのそれとはフィルターの通し方が違うのでだいぶ印象が違う。


 朝一と昼の12時からしかなくて12時からのを観た。朝帰って寝ようとしたが寝れずにレッドブルの力をお借りして渋谷までとぼとぼと歩く、日差しというか終夏の空気の肌触りは歩きやすい。


 リブロで「エクス・ポ」vol.5をようやく買いました、vol.5になって初めて買った、知り合いの人が数人関わっているんだけど触手が動かなくて申し訳ありません。
 今回はZAZEN BOYSの向井さんの4thアルバムのインタビューと古川日出男さんの「フルカワヒデオプラス」と黒沢清監督の「トウキョウソナタ」のインタビューとこりゃあ読みたいっすと思って。しかしまあ、内容が濃いし、文字はこれでもかって押し込んであって今ある程度読み終わって目が痛い。


 で、映画は漫画家の麻子さん(小泉今日子)と愛猫(初代サバが15年一緒に暮らして死んで落ち込む麻子さんが二代目として迎えた二代目グーグー)、そしてアシスタントの上野樹里森三中の合わせ技の森四中とスタッフに呼ばれていたらしいが、年下の青年・青自(加瀬亮)と出会ったり、吉祥寺周辺が舞台の物語です。
 音楽が「メゾン・ド・ヒミコ」でも犬童監督と組んだ細野晴臣さんでかなりゆったりとしてて違和感無く耳に入ってきて画に合っていた。グーグーがメス猫を追いかけるシーンでの足音の音も可愛い音になっていて愛猫家にはたまらないでしょう。


 ファンタジー的な要素も入っていて死神で英会話講師でもあって吉祥寺をアナウンスする役がマーティ・フリードマンだったり、死んだサバの実体として「セクシーボイスアンドロボ」の大後寿々花、麻子さんとサバが会話するお店はかなり前に行った井の頭公園側にあるアジアン料理店でした、タイ料理屋だったけな? そこでいろんな国のビールを飲んだなあと思い出しました。
 あとは小林亜星さんとか(頑固オヤジではなかったけど)楳図かずおさんがそのまんま楳図氏として、山本浩司さんや田中哲司さんとかいい感じでバイプレーヤーがいて、あとは平川地一丁目の弟君も出てた。


 サバが死んで漫画が書けなくなった麻子さん、しかしグーグーを飼い出してまた漫画を書き始めたり、青自と出会ったりするのだけど、麻子さんは女性特有の病気になってしまう。それでも麻子さんは・・・っていう流れかな。


 客層は圧倒的に女性でしたね、7、8割方は。グーグーの愛らしい感じで笑いが起きてました、猫好きには堪らないみたいです。僕はああこういうので笑うんだなあとぼんやり思いました。
 あと麻子さんの病院のシーンでみんなが励ますところですすり泣きが聞こえるというか気配の感触としてあったので女性の麻子さんと同年齢の人には他人事だとは思えないものがあるのでしょう。


 映画としては好きでも嫌いでもない、まあ普通な感じでした。映画館で観なくてもいいかな、猫好きならもっと評価高いと思うけど。
 青自と麻子さんの関係とか放置プレイに近いものだったし、でも観ていて吉祥寺には住みたいなとは思いましたけどね。


 小泉今日子っていう人の魅力はさすがだなあと思う。どんなに若々しく見えてもアップでよればさすがにね、皮膚感の衰えはわかってしまうけど、小泉今日子さんのデビューって僕の生まれた年だと思うとそれは当たり前の事なんだなあ。でもそれを差し引いても若い。


 僕らの世代で言うと広末涼子がデビュー時点から見ててアイドルから女優になった人なんだけど、兄貴ぐらい(30ちょい)だと内田有紀なのかな、そういう人が42歳とかになって主演でまだやれているのを同じ年になった僕らが観るとどういう感じを持つのだろうか。


 小泉さんがお母さん役で出ている黒沢清監督「トウキョウソナタ」が今一番観たい、「亀とアキレス」「パコと魔法の絵本」と今月は観たい映画がたくさんありすぎなんだなあ。


 リストラをされたことを家族に言えないーお父さん(香川照之)、ドーナツを作っても食べてもらえないーお母さん(小泉今日子)、アメリカ軍に入隊するーお兄ちゃん、こっそりピアノを習っている小学六年生のーボク。


 黒沢監督だと「アカルイミライ」も好きだけど、「叫」葉月里緒菜の幽霊とそのオチはゾクッとするけど、「ドッペルゲンガー」が面白かったなあ、おいおいっていう最後の展開がね。それにしても「アカルイミライ」のクラゲはどこに行ったのだろう。

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