Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『リアル 完全なる首長竜の日』

tohoシネマズ渋谷で公開初日の朝イチの回に行ってきたが満席ではなかった。比較的年齢層高い感じ、若いって感じはなかった。黒沢清監督ファン層なのかなあ主演の二人からするともっと若い人が多くてもよさそうだったけど。



監督・黒沢清
主演・佐藤健/藤田浩市、綾瀬はるか/和淳美オダギリジョー/淳美の担当編集者、染谷将太/淳美のアシスタント、堀部圭亮脳神経/外科医、小泉今日子中谷美紀


解説/第9回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した乾緑郎の小説「完全なる首長竜の日」を、佐藤健綾瀬はるか主演、黒沢清監督で映画化。浩市と淳美は幼なじみで恋人同士だったが、淳美は1年前に自殺未遂で昏睡状態に陥り、いまも眠り続けていた。浩市は淳美を目覚めさせるため、「センシング」という最新医療技術を使って淳美の意識の中へ入り込み、彼女がなぜ自殺を図ったのかを探る。センシング中に出会った淳美は、浩市に「首長竜の絵を探してきてほしい」と頼み、浩市はその絵を探しながら淳美との対話を続ける。しかし、センシングを繰り返すうちに、浩市は見覚えのない少年の幻覚を見るようになり……。
(映画.comより)


少し前に原作である乾緑郎著『完全なる首長竜の日』を読んでいました。このミス大賞なだけあって面白くこれを映像化するのはどう展開するのか、しかも黒沢監督だしと思って観に行ったわけです。ここからはネタバレはしていくので。


前半の描写、ふいに現れるものたちや画の角度みたいなものは黒沢清作品だあ!と楽しめた。『叫』とかああいう黒沢さんの怖さみたいなものが時々出てきて佐藤健綾瀬はるかも宣伝でテレビ出たりしてるけどそういう部分はあえて宣伝してないのかなあ。原作では二人の関係は姉と弟なのが映画では幼なじみの恋人という風に変えられているし、センシングするのは漫画家の姉で昏睡状態な弟とやりとりするのが映画では藤田が漫画家の和が昏睡状態でセンシングでやりとりするようになっている。
後半のオチも原作と同じでオチがわかってからがちと長く感じるし首長竜との対決シーンは迫力を感じない。前半まではかなりいいけど後半がちょっと微妙だし黒沢監督のよさがあんまりない。もっと独自のことをやりきればいいんだろうけどバジェットがデカイし有名な所謂売れている役者がメインだからかどうも中途半端な感じがある。
黒沢清監督作品の常連なオダギリジョー小泉今日子も出てるしまあ見所はある。でも、原作の方が楽しめた感じは最後に出てくるあれの印象かもしれない。つまり首長竜とのやりとりが長いし、あいつ暴れてるからジュラシックパークぽいかなと思うんだけど迫力が微妙にないんだ。
それに最後のミスチルの主題歌が合ってなさすぎてなんでこの曲にしたん?ミスチルだったらもっと違うヤツあるでしょ、TBSとか大手でがっつり作るのはいいけどなんだかなって思う部分も多々。


オチはまあわかる。だいたいこういうミステリーで原作は小説だからトリックとして機能するし叙述トリック的には最後に「おおお!」ってなるし理由とか伏線上手く回収されたら完成度高いと思う。だいたいセンシングなんていう不思議なもので意思疎通できるとかでてきて相手が昏睡状態になっているとかだったら普通に思う、主人公が本当は逆の立場なんだろうなってわかる。映画も観ててもちろんそうやって佐藤健が実は昏睡状態になっていてとかわかってからが長い、モリオだっけ海パンの少年ね、実は犯人つうかあの子。あの辺りがコンパクトになってたらよかったような気が。


黒沢清監督だと『アカルイミライ』『ドッペルゲンガー』『トウキョウソナタ』がオススメです!



黒沢清監督『アカルイミライ』からもう十年経ってるのか、経たなあ〜。
THE BACK HORN/未来