Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

『水やりはいつも深夜だけど』


野性時代』掲載時に読んでいた短編をもう一度一冊の書物と綴られた流れで読み直すと最初に読んだ時よりも細部がグサリグサリと染み込んでくる。
僕は結婚もしたことも子供もいないのに五つの短編の中にあるそれぞれの家族や夫婦や子供の生活が限りなく自分に近しいものとして感じられる。
感情は登場人物に知らないうちに寄り添っていてぐるぐると苦しくなっていくがそれぞれの終わりに温かいものや希望に似た続いていく毎日がある。


窪美澄さんという小説家は読者に寄り添える物語を書ける少ない作家だと思う。
生き苦しさやどうしようもならないことや行き場のない怒りや罪にも似たような後悔なんかを抱えた登場人物の気持ちを毎日の生活をきちんと掬い上げてなにか希望に似た優しさや祈りに近い微笑みの先に彼らを、いや読者である僕らを連れて行く。
生活する中で抱える痛みを優しく撫でるように。
逃げてもいいんだよ、だけども死なないでという、生きていてという生への肯定を窪さんの作品を読んでいていつも感じる。



 窪さんはいろんな想いとか気持ちについてずっと考え続けてる人だからこそこんなにも丁寧に人に寄り添える文章を書けるんだと思う。また泣かされそうになってしまった。
 結婚してない人には『よるのふくらみ』を、結婚してる人には『水やりはいつも深夜だけど』をオススメしたい。年末に両方読めば尚更いいと思いますが。僕は『よるのふくらみ』読んだ時のダメージが凄すぎましたけどね。





 大家さんの家解体中でパワーショベルが置かれていて思い出したのは貞本さん表紙イラストの『comic新現実』。



自分にモノづくりは向いてない、と思っていた時代【第1回】
https://cakes.mu/posts/7547
佐久間 面接の場に、僕ともう一人、事業部志望の女の子がいたんですね。その子は帰国子女で、たくさんの特技を持っていて……。彼女の話がものすごくおもしろくて、僕がついつい「それ、すごくないすか!?」なんて彼女に話しかけちゃったんですよ。それを見た面接官の方がげらげら笑って、「面接中に隣の人に興味持てるような奴は絶対制作向きだ」と。


 この面接官の人が人生変えてんだもんなあ。伊坂幸太郎小説にありそうなエピソードだ、たいていこの子と結婚する流れの。

水やりはいつも深夜だけど

水やりはいつも深夜だけど

よるのふくらみ

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できないことはやりません ~テレ東的開き直り仕事術~

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